信用保証協会の一般保証枠は普通保証2億円・無担保保証8,000万円の合計2億8,000万円(組合は4億8,000万円)だ。8,000万円までは担保なしで使え、原則80%を協会が保証する責任共有制度のもと、創業関連やセーフティネット保証の一部は100%保証の例外になる。保証料率はCRDで財務を評価した9区分で決まる。
この記事で先に確認すること
- 一般保証枠の合計限度額
- 2億8,000万円(組合4億8,000万円)
- 出典: 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」(zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)
- 責任共有保証料率の区分
- CRDで財務を評価した9区分
- 出典: 東京信用保証協会「信用保証料率の体系」(cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/system.html)
SECTION 01
信用保証協会の保証限度額:普通2億円・無担保8,000万円の構造
信用保証協会の一般保証枠は、信用保険制度の保険限度額に対応して2系統で組み立てられている。普通保証(有担保を含む)の限度額が2億円(組合4億円)、無担保保証の限度額が8,000万円(組合も同額)で、これらを合わせた一般保証枠の合計は2億8,000万円(組合4億8,000万円)だ。1企業に対するこの2億8,000万円が「使える保証の総枠」の基本になる。
注意したいのは、この枠は会社ごとに合算で管理される点で、複数の金融機関で保証付き融資を受けても枠は1つに集約される。すでに保証付き融資の残高がある場合、新規に使えるのは「枠-現在の保証残高」になるため、申込前に各信用保証協会で現在の保証利用残高を確認しておくと資金計画が立てやすい。
無担保枠8,000万円が意味すること
無担保保証の限度額8,000万円は、原則として担保を差し入れなくても利用できる枠を指す。中小企業の多くは担保にできる不動産を十分に持たないため、この無担保枠が実務上の主戦場になる。
8,000万円を超えて借りたい場合は、普通保証(有担保)の枠を使って不動産等の担保を提供することになり、無担保枠と有担保枠を組み合わせて合計2億8,000万円まで積み上げる設計になる。逆に言えば、無担保枠8,000万円を早い段階で使い切ってしまうと、追加調達のたびに担保提供を求められる局面が増える。無担保枠は「いざという時の無担保調達余力」として、ある程度残しておく運用が安全だ。
SECTION 02
責任共有制度:原則80%保証と100%保証の特例
2007年10月に導入された責任共有制度により、信用保証協会と金融機関が責任を分担するようになった。負担割合は信用保証協会が80%、金融機関が20%で、これにより金融機関にも一定の審査責任が生まれる仕組みだ。実現方法には2つあり、融資額の80%を協会が保証する「部分保証方式」と、100%を保証しつつ金融機関が実績に応じた負担金を支払う「負担金方式」があるが、どちらも金融機関の実質負担割合は20%で同じだ。
一方で、一定の政策目的の保証は責任共有制度の対象外となり、協会が100%を保証する。具体的には経営安定関連保証(セーフティネット保証)1号〜4号および6号、創業に係る保証、小口零細企業保証、危機関連保証などが100%保証の例外として扱われる。なお5号は2018年4月から80%保証に変更されており、号数によって保証割合が異なる点に注意したい。
100%保証になる制度を使い分ける
事業者にとって100%保証の制度は、金融機関が回収リスクを負わないぶん融資判断が前向きになりやすいという実務的なメリットがある。創業期であれば創業関連保証、業況が急変したときはセーフティネット保証1〜4号・6号や危機関連保証が100%保証の対象になり得るため、自社の状況に合う制度があるか市区町村や金融機関に確認する価値が高い。
ただし100%保証は「借りやすさ」と引き換えに、最終的な返済責任が事業者本人に残る点は通常の保証と変わらない。協会が金融機関へ代位弁済しても、その後は協会から事業者へ求償される。100%保証だから返さなくてよいわけではない、という基本は押さえておきたい。
SECTION 03
保証料率はどう決まるか:CRDによる9区分
信用保証料率は一律ではなく、申込企業の経営状況に応じて変動する。責任共有制度の対象となる保証では「責任共有保証料率」が基本となり、これは中小企業の経営状況に応じた9区分に分かれている。
区分の判定には、一般社団法人CRD協会が運営する中小企業信用リスク情報データベース(CRD)が使われ、直前期の確定決算(貸借対照表・損益計算書)の財務情報を評価して料率区分が決まる仕組みだ。CRDは全国一律の中立的な尺度で、すべての信用保証協会が共通で使うため、財務内容が良い企業ほど低い料率区分になりやすい。
具体的な料率の数値は協会・制度・区分によって異なり、事前に示される料率はあくまで目安で、最終的な保証料率は保証決定の際に確定する。だからこそ、決算内容を整えて良い区分を取りに行くことが、保証料の実質的なコスト削減につながる。
SECTION 04
保証枠を使い切らない運用と保証メニューの併用
保証枠の運用で重要なのは「一般枠2億8,000万円を一度に埋めない」という発想だ。好調時に一般枠を上限近くまで使ってしまうと、業況が悪化して本当に資金が必要になったときに追加保証の余地がなくなる。
そこで活用したいのが、一般保証枠とは別枠で利用できる政策保証だ。セーフティネット保証は、市区町村の認定を受けることで一般枠とは別に最大2億8,000万円の別枠を使える。つまり一般枠を使い切っていても、要件を満たせば別枠で新たな調達余地が生まれる。
普段は一般枠を温存し、危機時にセーフティネット保証の別枠を発動する、という二段構えが資金繰りの安全余力を高める。複数の保証メニューを「同時に最大化する」のではなく「局面ごとに使い分ける」ことが、保証枠を長期的に有効活用する基本姿勢になる。
SOURCES
この記事で参照した根拠
- 01
普通保証の限度額
出典: 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」(zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)
- 02
無担保保証の限度額
出典: 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」(zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)
- 03
一般保証枠の合計限度額
出典: 全国信用保証協会連合会「ご利用条件」(zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)
- 04
責任共有制度の負担割合
出典: 名古屋市信用保証協会「責任共有制度について」(cgc-nagoya.or.jp/about-cgc/liability.html)
- 05
責任共有保証料率の区分
出典: 東京信用保証協会「信用保証料率の体系」(cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/system.html)
数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q無担保保証の8,000万円は、必ず担保なしで借りられるという意味ですか?▼
原則として8,000万円までは担保を差し入れずに信用保証協会の保証を利用できる枠を指す。ただし保証審査では財務内容や返済能力が見られるため、無担保枠の範囲内であっても希望額がそのまま満額保証されるとは限らない。あくまで「担保なしで使える上限枠」であり、保証可否は別途審査される。
Q一般保証枠2億8,000万円は、1社で必ず全額使えますか?▼
これは制度上の限度額であって、すべての企業が満額使えるわけではない。実際に保証してもらえる金額は、財務内容・返済能力・事業計画をもとにした保証審査で個別に決まる。限度額は「ここまでなら保証対象になり得る天井」と理解し、自社の実力に見合った金額を計画することが大切だ。
Q責任共有制度で「80%保証」だと、残り20%は誰がどうするのですか?▼
残り20%は融資した金融機関が負担する仕組みだ。借りる事業者側の返済義務が80%に減るわけではなく、事業者は借入全額の返済責任を負う。80%・20%はあくまで協会と金融機関の間のリスク分担であり、万一返済が滞った場合の損失をどちらがどれだけかぶるかという内部的な割合だと理解しておくとよい。
Q保証料率を下げるには何をすればよいですか?▼
保証料率はCRDが直前期の決算(貸借対照表・損益計算書)を評価して9区分で決まるため、財務内容を改善することが最も直接的だ。自己資本比率を高める、利益を確保する、債務の圧縮を進めるといった財務改善が良い料率区分につながる。事前に示される料率は目安で、最終的な料率は保証決定時に確定する点も押さえておきたい。
Q一般保証枠を使い切ってしまったら、もう保証付き融資は受けられませんか?▼
一般枠を使い切っても、別枠で使える政策保証が残っている場合がある。代表的なのがセーフティネット保証で、市区町村の認定を受ければ一般枠とは別に最大2億8,000万円の別枠を利用できる。業況悪化や取引先倒産などの要件に該当するかを確認し、別枠の活用余地があるか金融機関・信用保証協会に相談するとよい。
Q100%保証の制度なら、返済できなくても自分は責任を負わないのですか?▼
そうではない。100%保証は協会が金融機関へ全額を代位弁済する仕組みだが、その後は協会から事業者本人へ求償が行われる。
つまり返済責任は最終的に事業者に残る。100%保証は金融機関が融資判断をしやすくなる制度であって、事業者の返済義務を免除するものではない点を正しく理解しておく必要がある。
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