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事業承継・M&A資金調達ガイド:融資・補助金の活用法と手続きの流れ

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-04-28 / 更新: 2026-07-10

事業承継・M&Aの資金調達は「誰が受け継ぐか」によって使える制度が大きく変わる。親族内承継・MBO・第三者M&Aのそれぞれに対応した融資制度と補助金があり、早期に金融機関へ相談することで調達コストを大幅に抑えられる。

要点

この記事で先に確認すること

01
中小企業の事業承継に関する政策融資
日本政策金融公庫「事業承継・集約・活性化支援資金」が主要制度
出典: 日本政策金融公庫 公式サイト
02
事業承継補助金の対象
後継者が主体となる事業転換・新展開などの取組が対象
出典: 中小企業庁 事業承継補助金公募要領
03
中小企業のM&A支援機関
中小企業M&Aアドバイザリー登録機関が全国に多数存在(中小M&A支援機関登録制度)
出典: 中小企業庁 中小M&A支援機関登録制度(2023年)
04
経営承継円滑化法の認定による支援
都道府県知事の認定で事業承継税制(納税猶予・免除)と金融支援(別枠保証・公庫特例で後継者個人も融資対象)が利用可。遺留分の民法特例は経済産業大臣の確認+家庭裁判所の許可で利用する
出典: 中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」
関連銀行日本政策金融公庫政府系
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SECTION 01

事業承継融資の全体像:親族承継・MBO・M&Aで何が違うか

事業承継の資金ニーズは承継の形態によって全く異なる。親族内承継では株式の買い取り資金や相続税納税資金が必要になるケースが多い。MBO(経営陣による買収)では経営者本人が自社株式を取得する資金が必要となり、担保となる資産が限られるため融資の難易度が上がる。

M&Aでは買収対象企業の株式・事業の取得資金が必要で、規模によっては数千万〜数億円規模になる。日本政策金融公庫は「事業承継・集約・活性化支援資金」として、これらいずれのケースにも対応した制度融資を提供している。

商工組合中央金庫(商工中金)も中小企業向けの事業承継支援融資を取り扱っており、政策金融と民間銀行の両方に相談することで条件を比較検討できる

承継形態別・主な資金調達手段

承継形態主な資金ニーズ活用しやすい制度
親族内承継株式取得・相続税納税日本政策金融公庫・地方銀行
MBO(経営陣買収)自社株式取得資金日本政策金融公庫・商工中金
第三者へのM&A株式・事業取得資金民間銀行・政策金融・M&Aファンド

SECTION 02

金融機関への相談:早期着手が条件を左右する

事業承継融資の相談は「承継の2〜3年前」から始めるのが理想とされる。後継者の属性(年齢・実績・資産状況)が融資審査の鍵になるため、後継者が経営に参画した実績を積んでから申込む形が望ましい。

相談の際に用意すべき書類は①直近3期分の決算書②承継後の事業計画(売上・収益見通し)③株式評価額の算定資料(M&Aの場合)の3点が基本セットだ。担当者への説明で特に重要なのは「誰が経営を引き継ぐか」と「引き継いだ後の返済財源がどこにあるか」の2点。

承継後の事業継続性を数字で示すことが、融資可否を分ける最大のポイントになる

SECTION 03

事業承継補助金と融資の組み合わせ方

補助金と融資は目的が異なるため、両方を組み合わせて使うのが基本だ。事業承継補助金は「承継後の事業転換・新展開」に対する経費補助(設備投資・専門家費用など)が主な対象で、株式取得資金や借入返済には使えない。

一方、融資は株式取得や運転資金など広い用途に使える。補助金は後払い(支出後に精算)であるため、融資で先に資金を確保してから補助金申請するのが現実的な順序になる。

補助金の採択・交付決定が出てから融資申込するパターンも有効で、採択実績が「事業計画の実現可能性の証明」として融資審査でプラスに働くケースがある

事業承継補助金と融資の比較

項目補助金融資
返済義務なしあり
使途設備・専門家費用など(株式取得不可)株式取得・運転資金など広範
受取タイミング後払い(精算後)前払い(実行後すぐ使える)
申請の難易度書類審査・競争率あり財務内容・事業計画が鍵

SECTION 04

経営承継円滑化法の認定で使える3つの特例

事業承継の制度支援を束ねる法律が「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)だ。都道府県知事の認定を受けることで、①事業承継税制(後継者が贈与・相続で取得した非上場株式等にかかる贈与税・相続税の納税が猶予・免除される)②金融支援(信用保証協会の別枠保証や、日本政策金融公庫法の特例により会社だけでなく後継者個人も融資対象になる等)が利用できる。

さらに同法には③遺留分に関する民法特例(先代経営者から贈与された株式を遺留分の対象から除外する合意等)もあり、こちらは知事認定ではなく、推定相続人全員の合意を前提に経済産業大臣の確認と家庭裁判所の許可を経て利用する。特に②の金融支援は、株式買取資金を「個人」として調達しなければならないMBO・親族内承継の場面で選択肢を大きく広げる

認定手続きは都道府県の担当窓口が入口になるため、承継計画の初期段階で税理士などの支援機関とともに確認しておきたい。

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    中小企業の事業承継に関する政策融資

    出典: 日本政策金融公庫 公式サイト

  2. 02

    事業承継補助金の対象

    出典: 中小企業庁 事業承継補助金公募要領

  3. 03
  4. 04

    経営承継円滑化法の認定による支援

    出典: 中小企業庁「経営承継円滑化法による支援」

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q後継者が若くて資産がない場合でも融資を受けられますか?
A

日本政策金融公庫の事業承継融資は後継者の年齢・資産の少なさを一定程度考慮する設計になっている。ただし承継後の事業計画の具体性と返済財源の説明が審査の中心になるため、事業計画書を丁寧に作成することが最優先の対策だ。

QMBOで自社株式を取得するための融資はどこに相談すればよいですか?
A

日本政策金融公庫と商工組合中央金庫(商工中金)が中小企業のMBO資金融資に対応している。民間銀行でも取り扱いがあるが、担保・保証の条件が厳しくなる傾向があるため、まず政策金融機関に相談することを推奨する。

Q第三者へのM&Aで買収資金を借りることは可能ですか?
A

可能だが、買収対象企業の財務内容・買収後のキャッシュフロー計画が審査の中心になる。買収価格の算定根拠(株式評価額)と買収後の統合計画を文書化した上で、民間銀行・政策金融機関の双方に相談するのが望ましい。

Q事業承継補助金と融資は同時に申込できますか?
A

補助金と融資は制度が別々なので同時並行で申込できる。補助金の採択決定前に融資を申込むことも可能だが、採択後に融資申込すると事業計画の実現可能性の証明として審査でプラスに評価されるケースがある。

Q事業承継融資の審査で特に重視されるポイントは何ですか?
A

①後継者が実際に経営を担える実績・能力があるか②承継後の事業継続性(顧客・取引先・従業員の引き継ぎ)③承継後の返済財源となるキャッシュフローの見通し、の3点が最重要評価ポイントになる。

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