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納税・社会保険料の資金調達と滞納対処法

融資審査への影響と分割納付の活用

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-04-28 / 更新: 2026-10-01

税金・社会保険料の滞納は融資審査の最重要チェック項目の一つだ。滞納が発覚すると融資否決の直接原因になることがあり、差押えに発展すると事業継続そのものが困難になる。納税資金融資を早期に活用し、滞納を未然に防ぐことが最善の対策となる。

要点

この記事で先に確認すること

01
税金滞納が融資審査に与える影響
滞納の記録(差押え・延滞税の存在)は銀行の審査で大きなマイナス評価になる
出典: 当サイト調査(銀行スコアリング基準より)
02
納税証明書が必要な場面
銀行融資申込時・信用保証協会保証申込時に納税証明書の提出を求められる
出典: 各金融機関の申込要件
03
分割納付制度
国税(所得税・法人税等)は税務署への申請で分割納付が認められる場合がある
出典: 国税庁「納税に関する総合案内」猶予制度の概要・申請方法(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/annai/index.htm)
04
猶予中の国税の納税証明書
その1は備考欄に猶予中である旨と猶予期限を記載し、その3・その3の2・その3の3は猶予中の税目について発行されない
出典: 国税庁徴収課「国税の納税の猶予制度 FAQ」問11(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_05.pdf)
05
延滞税の割合(2026年1月1日〜12月31日)
納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、その翌日以後は年9.1%
出典: 国税庁「延滞税の割合」(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm)
関連銀行日本政策金融公庫政府系
→

SECTION 01

税金滞納が融資に与えるリスク:最重要の確認事項

金融機関は融資審査において「納税証明書」の提出を求めることが多く、税金や社会保険料の滞納がある場合は審査で大きなマイナス評価につながる。滞納があると「企業の資金繰りが既に逼迫している」「法令順守意識に問題がある」と判断されるためだ。特に差押え(税務署・年金事務所による強制徴収)が発生している場合、金融機関は融資によって回収した資金が差押えに充当されるリスクを懸念するため、融資拒否の直接原因になり得る。

信用保証協会の保証付き融資でも同様で、滞納がある場合は保証を断られるケースがある。法人税・消費税・社会保険料(健康保険・厚生年金)いずれの滞納も同様に評価されるため、納税・社会保険料の期日管理は資金調達力の維持に直結する重要事項と認識する必要がある。

SECTION 02

納税資金融資:申込のタイミングと注意点

納税時期(法人税の申告・消費税の申告・社会保険料の月次支払い)が到来する前に、「納税資金」として銀行融資を申込む方法が最も低コストで確実な対策だ。納税期日直前・直後の申込では「既に資金不足が顕在化している」と判断され審査が厳しくなることがある。理想的なタイミングは納税期日の1〜2ヶ月前で、余裕をもって申込むことで審査にかかる日数に対応できる。

審査の日数は金融機関や案件ごとに異なり、全金融機関に共通する標準日数は公表されていない。公表されている例では、日本政策金融公庫(国民生活事業)が、融資が決まるまでの平均所要日数を2〜3週間程度(土日・祝日を含む)としている。

日本政策金融公庫も短期の運転資金として納税資金融資に対応している。また、消費税は売上に対して先受けする性質があるため「消費税分を別の口座で管理する」習慣をつけることが根本的な予防策になる。申込時には「何の税金に、いくら必要か」を具体的に説明できるよう、納付書・税額通知書を手元に準備しておくことが重要だ。

SECTION 03

滞納してしまった場合の対処法:分割納付と差押え回避

既に税金・社会保険料を滞納してしまった場合、最優先の行動は「税務署・年金事務所への自発的な申し出と分割納付の相談」だ。滞納を放置すると延滞税が累積し、最終的に差押え(預金口座・売掛債権・動産等)に発展する。一方、自ら分割納付を申し出て合意した計画通りに支払いを続けている場合は、差押えを回避できるケースが多い。

国税については「換価の猶予」と「納税の猶予」があり、納税の猶予は災害・病気・事業廃止等の特定事由に該当する場合に適用が認められる。社会保険料(協会けんぽ・厚生年金)も、年金事務所へ「換価の猶予」を申請して認められれば分割納付ができる。いずれの場合も「自発的な相談」が差押え回避の最大の鍵で、通知書・督促状が届いてからではなく、支払いが困難と判断した時点で早期に相談を開始することが最善策だ。

換価の猶予(国税)の申請期限・分割納付・延滞税の割合

国税庁の案内では、一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがあり、納税について誠実な意思があり、ほかの国税に滞納がなければ、納期限から6か月以内の申請で換価の猶予を受けられる(国税徴収法第151条の2)。決算が黒字でも、要件を満たせば猶予の対象になる。

猶予期間は1年の範囲内で、原則として猶予期間中の各月に分割して納める。担保は原則必要だが、猶予額が100万円以下か、猶予期間が3か月以内か、提供できる担保がない場合は不要だ。分割納付の計画どおりに納めない場合や、ほかの国税を新たに滞納した場合は、猶予が取り消されることがある。

延滞税は納期限の翌日からかかり、2026年中の割合は納期限の翌日から2か月を経過する日までが年2.8%、その翌日以後が年9.1%だ。猶予による延滞税の軽減は申請日からで、納期限を過ぎて申請すると、納期限の翌日から申請日の前日までの分は軽減されない。

厚生年金保険料等の換価の猶予・納付の猶予(年金事務所)

日本年金機構の案内では、健康保険料・厚生年金保険料も、一時に納付すると事業の継続が困難になるおそれがあり、納付に誠実な意思があれば、納期限から6か月以内に年金事務所へ申請して換価の猶予を受けられる。認められると1年以内の猶予期間に分割して納付でき、猶予期間中の延滞金の一部が免除される。

猶予を申請する対象の月以外の保険料を滞納していると、換価の猶予は原則として認められない。事業の休廃止や著しい損失(申請前の1年間に、前年の利益の2分の1を超える赤字)などの場合は、年金事務所を経由して地方厚生(支)局長へ申請する「納付の猶予」がある。

税金・社会保険料の滞納対処手段の比較

手段効果条件・注意点
換価の猶予(国税)差押え・換価が猶予され、原則1年以内に各月分割で納付納期限から6か月以内に税務署へ申請、計画どおりの納付
納税の猶予(国税)原則1年以内の納付猶予、延滞税の軽減又は免除災害・病気・事業の休廃止・著しい損失などの事実
社会保険料の換価の猶予(年金事務所)差押え・換価が猶予され、1年以内に分割で納付納期限から6か月以内に申請、対象月以外の滞納なし(原則)
納税資金融資(銀行・公庫)期日通りに一括納付できる滞納前・滞納初期の申込が前提

SECTION 04

猶予を受けている国税の納税証明書(その1・その3・その4)

国税庁の猶予制度FAQによると、猶予を受けている国税は、納税証明書のその1(納付すべき税額・未納税額等の証明)の備考欄に、猶予中である旨と猶予期限が記載される。

未納の税額がないことの証明(その3・その3の2・その3の3)は、猶予を受けている税目については発行されない。その4(滞納処分を受けたことがないことの証明)は、証明期間に滞納処分を受けていなければ猶予中でも発行され、猶予の旨も記載されない。

猶予を使う場合は、融資の申込前に、未納の税額がないことの証明に代わる書類を申込先に確認しておく必要がある。なお、国税庁の納税証明書の請求時の留意事項によると、コンビニエンスストアで納付した場合、納付済みの納税証明書を発行できるのは納付の委託から約3週間後だ。

SECTION 05

納期限前に支払予定と相談記録を整理する

税金や社会保険料の支払が難しいと分かった時点で、税目・保険料、対象期間、金額、納期限、現在の資金残高を一覧にします。猶予や分割の可否・要件は状況で異なるため、納期限を過ぎる前に税務署、自治体、年金事務所など所管窓口へ直接確認してください。

金融機関へは、滞納の有無だけでなく、発生原因、相談状況、今後の支払計画、通常の納付へ戻る時期を説明します。借入で一時的に支払っても毎期不足するなら、納税積立、価格、利益、役員報酬、投資計画を見直し、次回納期限を含む資金繰りへ改めます。

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    税金滞納が融資審査に与える影響

    出典: 当サイト調査(銀行スコアリング基準より)

  2. 02

    納税証明書が必要な場面

    出典: 各金融機関の申込要件

  3. 03

    分割納付制度

    出典: 国税庁「納税に関する総合案内」猶予制度の概要・申請方法(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/annai/index.htm)

  4. 04

    猶予中の国税の納税証明書

    出典: 国税庁徴収課「国税の納税の猶予制度 FAQ」問11(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan/pdf/0021001-141_05.pdf)

  5. 05

    延滞税の割合(2026年1月1日〜12月31日)

    出典: 国税庁「延滞税の割合」(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/entaizei/keisan/entai_wariai.htm)

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q納税証明書はいつ、どの場面で必要になりますか?▼
A

銀行への融資申込時・信用保証協会の保証申込時・公共工事の入札時などに提出を求められることが多い。必要な種類は、法人なら「その3の3」(法人税・消費税に未納がないことの証明、個人事業者は「その3の2」)が一般的で、信用保証協会では「その1」を求められる場合もある。

税務署の窓口またはe-Taxで取得できる。融資申込前に取得状況を確認しておくことを推奨する。

Q社会保険料の滞納と税金の滞納では、融資審査への影響に違いがありますか?▼
A

融資審査でのマイナス評価という点では両方とも深刻だ。ただし差押えの発動タイミングは機関によって異なり、国税(税務署)・地方税(都道府県税事務所・市区町村)・社会保険料(年金事務所)はそれぞれ別に管理している。どちらの滞納も「資金繰り悪化のサイン」として銀行が捉えるため、いずれも早期解消が最優先課題になる。

Q滞納を解消した後、すぐに融資を申込めますか?▼
A

完済後に納税証明書を取得できれば申込自体は可能だ。ただし滞納の記録が銀行内の与信管理情報に残っている場合、審査でその事実を説明する必要がある。解消してから6ヶ月〜1年程度、正常な納税実績を積んでから申込む方が審査通過率は高くなる傾向がある。

Q消費税の滞納は特に問題になりますか?▼
A

消費税は事業者が消費者から預かって納付する「預かり金」の性質があるため、滞納すると「顧客から預かったお金を流用している」と評価される場合がある。融資審査でのマイナス評価が特に大きくなることがあり、消費税分を別口座で管理する・申告サイクルを短くするなどの予防策が有効だ。

Q差押えが実行された状態で銀行融資を申込めますか?▼
A

差押えが実行されると銀行口座が凍結されることがあり、融資の実行自体が困難になるケースがある。まず税務署・年金事務所と差押え解除に向けた分割納付計画を合意することが最優先だ。並行して中小企業支援機関(商工会議所・よろず支援拠点)に相談し、資金繰り全体の立て直しを進める必要がある。

Q給付金や緊急融資で手元資金が増えると、国税の猶予を受けられる金額は減りますか?▼
A

国税庁の猶予制度FAQは、納付可能金額(手元資金から当面の資金繰りに必要な額を差し引いた額)が納付すべき国税の額に満たない場合を「一時に納付が困難」にあたるとしている。手元資金には計算上、国等からの給付金や緊急融資の額も含める。

ただし、事業継続などのために支出先が決まっている場合は、運転資金や臨時支出として同じ額を加算するため、実質的には猶予を受けられる額に影響しないとされている。当面の資金繰りに必要な額は事業の状況で異なるとしつつ、事業継続のため1か月以内に支出が予定されている金額は運転資金として納税資金から除外するとしている。

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