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クラウドファンディングと銀行融資の違い

投資型のうち融資型(ソーシャルレンディング)を金利・調達スピード・規制で比較

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-05-21 / 更新: 2026-10-01

投資型クラウドファンディングのうち融資型(ソーシャルレンディング)は、銀行融資と比べて金利は高めだが審査が柔軟。担保や決算実績が弱い中小企業の補完的な調達手段として位置付けるのが現実的で、主力にすべきではない。

要点

この記事で先に確認すること

01
融資型CFの利回りとリスク
高い利回りである場合、商品によっては貸付先の返済遅延やデフォルトなどのリスクが高い
出典: 金融庁・第二種金融商品取引業協会「ソーシャルレンディング」(2019年5月作成、https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/social-lending_201905.pdf)
02
取扱事業者の登録要件
第二種金融商品取引業の登録が必要(貸付型ファンド持分の募集)。無登録業者の募集には一切関わらないよう金融庁が注意喚起
出典: 金融庁「ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください」(https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/index.html)
03
株式投資型の発行総額の上限
1社あたり過去1年間の合計で5億円未満(2025年2月の改正前は1億円未満)
出典: 日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング 制度の概要」(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/gaiyou/index.html)・「株式投資型クラウドファンディング業務」に係るQ&A(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/kisoku/files/20250715_cf_qa.pdf)
04
株式投資型の投資家1人あたりの上限
同じ会社に過去1年間で最大200万円。個人は純資産の5%・前年収入の5%・50万円のうち高い額(特定投資家は法令上の上限なし)
出典: 日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング業務」に係るQ&A(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/kisoku/files/20250715_cf_qa.pdf)
05
ファンド型の発行総額・投資額の上限
少額電子募集取扱業者でない第二種金融商品取引業者が扱う貸付型などのファンド型には、発行総額・投資額の上限(少額要件)が適用されていない(株式に投資する株主一元化ファンドは、2025年3月19日から協会の自主規制で株式投資型と同様の規制)
出典: 金融庁 規制改革推進会議スタートアップ・イノベーション促進WG説明資料(2025年4月21日、金融審議会市場制度WG報告書2024年7月2日の抜粋、https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_04startup/250421/startup05_04.pdf)・第二種金融商品取引業協会「電子申込型電子募集業務等及び電子申込型電子募集取扱業務等に関する規則」等の改正(令和7年3月19日施行、https://www.t2fifa.or.jp/about/public-comment/collect/result/1266/)
06
貸付型の投資家と貸金業法
借り手が法人で、借り手と投資家の接触を禁じる措置などがあれば、投資家は貸金業者に当たらない(2019年3月18日回答)
出典: 金融庁 法令適用事前確認手続(回答書)(https://www.fsa.go.jp/common/noact/kaitou/024/024_13b.pdf)
関連銀行日本政策金融公庫政府系
→

SECTION 01

投資型クラウドファンディングの分類と融資型の位置付け

投資型クラウドファンディングは大きく「株式型」「ファンド型」に分類され、ファンド型のなかに事業型・有価証券投資型・貸付型(融資型/ソーシャルレンディング)が含まれる。中小企業が「融資の代替」として利用できるのは主に貸付型で、事業者が個人投資家から集めた資金を借り手企業に貸し付ける仕組みになる。

借り手は元本に金利を上乗せして事業者に返済し、事業者が手数料を差し引いて投資家へ分配する流れで、商流上は事業者からの借入と同じだが、原資が不特定多数の投資家である点が銀行融資と決定的に異なる。

銀行融資の代わりになる貸付型(融資型)

株式型は出資、購入型は前受金的な性質であり「融資」ではない。返済義務を負って資金を調達したい中小企業が比較対象にすべきは貸付型クラウドファンディングであり、本記事の比較も主にこの貸付型を対象としている。事業型ファンドは成果分配型のため、安定した元利返済を前提とする運転資金調達には向かない。

投資型クラウドファンディングの主な分類

類型投資家が得るもの中小企業から見た性質
株式型(株式投資型CF)非上場株式出資(返済義務なし/持分希薄化あり)
ファンド型 事業型事業ファンド持分出資的(成果連動の分配)
ファンド型 貸付型(融資型)貸付債権からの分配金借入(元利返済義務あり)

SECTION 02

株式型・ファンド型・貸付型の法的な位置づけと必要な登録

投資型クラウドファンディングの制度は、2014年5月に成立した改正金融商品取引法で整えられ、株式型の制度は2015年5月に始まった。インターネットで投資を募る業者は、扱う商品に応じて金融商品取引業の登録を受ける。株式なら第一種、ファンドなら第二種の登録になる。

少額の案件だけを扱う業者は「少額電子募集取扱業者」として登録でき、登録に必要な資本金の額が下がる。第一種は5,000万円が1,000万円に、第二種は1,000万円が500万円になる。

貸付型(融資型)の運営事業者には第二種金融商品取引業の登録が必須で、金融庁は無登録業者の募集に一切関わらないよう呼びかけている。登録の有無は、金融庁の「免許・許可・登録等を受けている業者一覧」で確かめられる。

投資型クラウドファンディングの類型別の法的な位置づけ

類型取り扱う業者の登録自主規制の規則を定める団体調達額の上限
株式型第一種金融商品取引業(少額だけなら第一種少額電子募集取扱業者)日本証券業協会1社あたり過去1年間の合計で5億円未満
ファンド型(事業型)第二種金融商品取引業(少額だけなら第二種少額電子募集取扱業者)第二種金融商品取引業協会少額電子募集取扱業者でない業者が扱う場合、発行総額・投資額の法令上の上限はない
貸付型(融資型)第二種金融商品取引業。借り手に貸し付けるファンド事業者は貸金業者第二種金融商品取引業協会少額電子募集取扱業者でない業者が扱う場合、発行総額・投資額の法令上の上限はない

SECTION 03

株式投資型の上限額(発行総額5億円未満・投資家1人あたり最大200万円)

株式投資型で1社が集められる金額は、過去1年間の合計で5億円未満である。2025年2月の金融商品取引法施行令等の改正で、それまでの1億円未満から引き上げられた。

この合計には、ほかの業者を通じた株式投資型の募集も含まれる。一方、特定投資家(金融商品取引法でプロとして扱われる投資家)だけに勧誘する「特定投資家私募」などで集めた額は、一般の募集と分けて計算する。

投資家1人が同じ会社に払い込める額は、特定投資家を除いて過去1年間で最大200万円である。個人の上限は、住まいを除く純資産の5%、前年の収入の5%、50万円のうち最も高い額になる。上限を一律50万円にしている業者もある。

勧誘は原則としてウェブサイトと電子メールで行い、電話や訪問による勧誘は原則として禁止されている。投資家は、申込みの日から8日間は申込みを撤回できる。

発行する会社は、業者から事業の実在性、財務状況、事業計画の妥当性などの審査を受ける。赤字の会社でも、それだけで対象外にはならない。

1億円未満の募集なら、決算を一度も終えていない会社も、それだけで対象外にはならない。これらの場合は、業者のウェブサイトなどでリスクとして投資家に示される。

業者は、事業計画に照らした目標募集額を設定する。日本証券業協会のQ&Aは、発行者へ伝える留意点の例として、株主が増えて管理の手間が増えることや、その後の上場・M&Aへの影響を挙げている。

SECTION 04

銀行融資と融資型クラウドファンディングを5軸で比較

融資型クラウドファンディングと銀行融資は「同じ借入」だが、金利・スピード・調達上限・審査観点・継続性の各軸で性質が大きく異なる。融資型CFは案件ごとに資金を募集するため、銀行融資のようなプロパー枠や当座貸越での継続的な調達には適さない。

一方で短期の事業性資金やプロジェクト単位の資金需要には機動的に対応できる場合がある。金利水準は事業者・案件によって幅があり、銀行プロパー融資より高くなる場合もあるため、調達コストを事業収益で吸収できるかが採用判断の中心になる。

銀行融資と融資型クラウドファンディングの比較

比較軸銀行融資(プロパー・保証協会付)融資型クラウドファンディング
資金コスト相対的に低い相対的に高い(事業者により幅)
調達スピード審査に2週間〜2ヶ月程度案件成立後はやや早いがファンド募集期間に依存
調達上限財務基盤に応じて大口対応少額電子募集取扱業者でない業者が扱う場合、法令上の上限はない。実際の額は事業者の審査と投資家の応募で決まる
審査の観点決算書・財務指標・担保が中心事業者ごとの審査+担保・保証スキーム
取引の継続性担当者を通じて継続的に拡張案件単位で完結。継続関係を築きにくい

SECTION 05

貸付型で借り手企業の社名・財務情報が投資家に示される範囲

貸付型では、ファンド事業者が匿名組合契約(出資者が事業者の営業に出資し、その利益の分配を受ける契約)などで投資家から資金を集める。借り手企業と金銭消費貸借契約を結んで貸し付けるのはファンド事業者で、投資家ではない。

金融庁は2019年3月18日の回答で、借り手が法人の貸付型について考え方を示した。事業者が貸付条件を決め、借り手と投資家が貸付について接触しない措置をとれば、投資家は貸金業者(お金を貸すことを業として登録した事業者)に当たらないとした。

この仕組みでは、借り手の企業も、貸付について投資家と直接やり取りすることが禁じられる。接触すると投資家が貸金業法違反とみなされるおそれがある、と金融庁は指摘している。

金融庁と第二種金融商品取引業協会が2019年5月に作った資料では、貸付先が法人なら、商号・名称や所在地などは特段の理由がない限り投資家へ提供されるとしている。同じ資料は、貸付先の財務状況、担保の有無、資金使途、債務超過や返済猶予の状況も情報提供の例に挙げている。

借り手が法人の貸付型では、社名や財務の状況が多数の投資家に示される前提で、決算書や資金使途の説明を準備する必要がある。

SECTION 06

中小企業が融資型クラウドファンディングを使う際の注意点

融資型CFは規制上「第二種金融商品取引業」の登録事業者のみが取り扱える。過去にはずさんな運用や虚偽説明で行政処分を受けた事業者も存在し、運営会社の財務基盤・行政処分歴・案件の担保有無を確認することが前提になる。

借り手側の留意点は3つある。1つ目は、銀行融資より高い金利を支払う前提で、資金使途と回収シナリオを明確にすること。2つ目は、メインバンクとの関係に影響しないよう、調達計画全体のなかで位置付けること。

3つ目は、調達後の情報開示や担保差入れの条件を契約前に精査すること。銀行融資が原則として通る企業は、まず日本政策金融公庫や信用保証協会付き融資を検討し、それでも埋まらないファイナンスギャップに対して融資型CFを補完的に使うのが現実的な順序になる。

SECTION 07

募集未達・手数料・実行時期を銀行融資と比較する

投資型クラウドファンディングを検討するときは、募集額が全額集まる前提だけで資金日程を組まない。審査、募集準備、公開、成立、入金までの工程と、募集未達時の扱いを運営事業者へ確認しておく。

インターネットで申込みが完結する募集では、目標募集額に届かなかったときの応募代金の扱いを、業者があらかじめ決めて示す。目標額に届いたときだけ発行する方式では、届くまで応募代金が発行者へ払い込まれない措置が業者に求められる。

投資家への分配・償還、プラットフォーム手数料、情報開示、契約管理を含む総コストを整理し、銀行融資の利息・手数料・担保・返済条件と同じ期間で比較する。多数の投資家へ説明する内容と金融機関へ提出する計画に矛盾がないよう、資金使途、リスク、業績見通しを一元管理することも重要である。

契約前には運営事業者の登録状況と契約書を確認し、元本保証や確実な募集成立をうたう説明だけで判断しない。

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    融資型CFの利回りとリスク

    出典: 金融庁・第二種金融商品取引業協会「ソーシャルレンディング」(2019年5月作成、https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/social-lending_201905.pdf)

  2. 02

    取扱事業者の登録要件

    出典: 金融庁「ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください」(https://www.fsa.go.jp/ordinary/social-lending/index.html)

  3. 03

    株式投資型の発行総額の上限

    出典: 日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング 制度の概要」(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/gaiyou/index.html)・「株式投資型クラウドファンディング業務」に係るQ&A(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/kisoku/files/20250715_cf_qa.pdf)

  4. 04

    株式投資型の投資家1人あたりの上限

    出典: 日本証券業協会「株式投資型クラウドファンディング業務」に係るQ&A(https://market.jsda.or.jp/shijyo/kabucrowdfunding/seido/kisoku/files/20250715_cf_qa.pdf)

  5. 05

    ファンド型の発行総額・投資額の上限

    出典: 金融庁 規制改革推進会議スタートアップ・イノベーション促進WG説明資料(2025年4月21日、金融審議会市場制度WG報告書2024年7月2日の抜粋、https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_04startup/250421/startup05_04.pdf)・第二種金融商品取引業協会「電子申込型電子募集業務等及び電子申込型電子募集取扱業務等に関する規則」等の改正(令和7年3月19日施行、https://www.t2fifa.or.jp/about/public-comment/collect/result/1266/)

  6. 06

    貸付型の投資家と貸金業法

    出典: 金融庁 法令適用事前確認手続(回答書)(https://www.fsa.go.jp/common/noact/kaitou/024/024_13b.pdf)

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q融資型クラウドファンディングは銀行融資より審査が緩いですか?▼
A

一概には言えないが、事業者ごとに独自の審査基準を持ち、銀行ほど決算書の年数や財務指標に縛られない案件も存在する。ただし担保や事業計画の精査は必須で「無審査」ではない。

Q金利は銀行融資と比べてどのくらい高くなりますか?▼
A

事業者・案件により幅があり、一律の水準はない。借り手の支払う金利から事業者の手数料と投資家への分配がまかなわれるため、銀行プロパー融資より高くなる場合がある。金融庁と第二種金融商品取引業協会の2019年5月の資料は、高い利回りである場合、商品によっては返済遅延やデフォルトなどのリスクが高いとしている。

Qクラウドファンディング事業者はどのような登録が必要ですか?▼
A

融資型(貸付型ファンド持分の募集)を取り扱うには第二種金融商品取引業の登録が必要で、少額電子募集取扱業務として登録要件が緩和されたスキームも存在する。金融庁登録の有無は事前に確認すべき。

Qメインバンクとの関係に悪影響は出ませんか?▼
A

銀行融資の借入残高は決算書に表れるため、過剰な高金利借入は将来の銀行融資審査に影響する可能性がある。資金調達全体のバランスは銀行担当者にも事前共有しておくのが望ましい。詳細は他の比較ガイド記事も参照。

Q株式投資型クラウドファンディング(FUNDINNO等)も融資ですか?▼
A

株式投資型は出資による資金調達で返済義務はないが、株主が増えて持分が希薄化する。1社が集められるのは過去1年間の合計で5億円未満。融資としての位置付けで比較したい場合は貸付型(融資型)CFが対象になる。

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