予定納税・中間納税の資金ガイド|期中の納税負担に備える
公開: 2026-06-08
期中の納税(法人税・消費税の中間申告、所得税の予定納税)は前期実績から金額がほぼ読める固定的な支出だ。前期実績ベースなら金額は事前に計算でき、別口座での積立や仮決算による圧縮、不足時の納税資金融資・猶予制度で備えられる。本記事は期中納税に特化して資金繰りを整理する。
この記事のポイント
法人税 中間申告が必要になる基準
前事業年度の確定法人税額が20万円を超える普通法人(事業年度開始から6か月経過日後2か月以内に申告・納付)
出典: 国税庁「法人税の中間(予定)税額の算出方法について」(nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/24/04.htm)
所得税 予定納税の基準額と納付回数
予定納税基準額が15万円以上で対象。基準額の3分の1ずつを第1期分(7月1日〜31日)・第2期分(11月1日〜30日)の年2回納付
出典: 国税庁 タックスアンサー No.2040「予定納税」(nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2040.htm)
消費税 中間申告の回数区分
前年の確定消費税額(国税分)が48万円超〜400万円以下で年1回、400万円超〜4,800万円以下で年3回、4,800万円超で年11回
出典: 国税庁 タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」(nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6609.htm)
中間納付額の計算方式
前期実績による予定申告(前年税額を月割りした額)と、上半期を仮の事業年度として計算する仮決算の2方式から選択できる
出典: 国税庁 タックスアンサー No.6609「中間申告の方法」(nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6609.htm)
期中に発生する納税は「読める固定支出」として扱う
決算後の確定納付とは別に、事業年度の途中で発生する納税がある。法人税・地方法人税の中間申告納付、消費税の中間申告納付、そして個人事業主・経営者個人の所得税の予定納税だ。これらに共通する特徴は、原則として「前期(前年)の実績」をもとに金額が決まる点にある。前期実績による予定申告を選べば、納付額は決算が終わった時点で計算でき、いつ・いくら出ていくかが事前に読める。つまり期中納税は突発的な支出ではなく、家賃や人件費と同じ「固定的に出ていくスケジュール支出」として資金繰り表に先に組み込んでおける性質のものだ。逆にこれを資金繰り表に載せず確定申告分しか見ていないと、期中に数十万〜数百万円規模の予定外支出として現れ、資金ショートの引き金になる。まず自社にどの期中納税が、いつ、おおよそいくら発生するのかを前期の納税額から逆算し、年間の資金繰り表へ織り込むことが出発点になる。
前期実績ベースか仮決算かを選べる
法人税・消費税の中間納付額は2つの方式から選択できる。1つは前期実績による予定申告で、前年の確定税額を月割りした額を納付する方式。計算が簡便で、業績が前期と横ばいか上向きならこの方式で問題ない。もう1つは仮決算による中間申告で、事業年度開始から6か月を1つの仮の事業年度とみなして実際に決算・税額計算を行う方式だ。今期の業績が前期より大幅に落ちている場合は、前期実績ベースだと過大な納付になりやすいため、仮決算を選ぶことで中間納付額を実態に近づけ、手元資金の流出を抑えられる。ただし仮決算は半期分の本決算に相当する経理処理が必要でコストもかかるため、税理士と相談して圧縮効果が事務負担に見合うかを判断する。
税目ごとの基準と納付スケジュールを押さえる
期中納税は税目ごとに「対象になる基準」と「回数・時期」が異なる。法人税は前事業年度の確定法人税額が20万円を超える普通法人が対象で、事業年度開始から6か月を経過した日以後2か月以内に中間申告・納付を行う。消費税は前年(前事業年度)の確定消費税額(国税分)が48万円を超えると中間申告が必要になり、金額帯に応じて年1回・年3回・年11回と回数が増える。所得税の予定納税は、予定納税基準額が15万円以上の個人が対象で、基準額の3分の1ずつを7月(第1期分)と11月(第2期分)の年2回納める。これらの基準額・回数・期限は国税庁の公式情報で確認できる固定ルールなので、自社・経営者個人それぞれについて「どの税目で・年何回・いつ」が発生するかを一覧化しておくと、資金繰り表への落とし込みが確実になる。なお具体的な税額や最新の基準は、必ず最新の国税庁情報および顧問税理士で確認すること。
期中に発生する主な納税の基準と回数(国税庁公式基準より)
| 税目 | 対象になる基準 | 回数・時期 |
|---|---|---|
| 法人税(中間申告) | 前事業年度の確定法人税額が20万円超 | 年1回(事業年度開始6か月経過日後2か月以内) |
| 消費税(中間申告) | 前年の確定消費税額(国税分)48万円超 | 48万円超〜400万円以下:年1回/400万円超〜4,800万円以下:年3回/4,800万円超:年11回 |
| 所得税(予定納税) | 予定納税基準額が15万円以上 | 年2回(第1期分7月・第2期分11月、各3分の1) |
期中納税に資金が足りないときの3つの備え
前期実績で金額が読めても、今期のキャッシュフローが想定より悪化すれば納付資金が不足することはある。備えは大きく3つだ。第一は予防策としての別口座積立で、特に消費税は顧客から預かった分を納付する預り金的な性格が強いため、売上入金のたびに消費税相当額や納税準備分を本業の運転資金口座と分けて積み立てておくと、期中納税で資金繰りが崩れにくくなる。第二は納税資金融資で、主取引銀行や日本政策金融公庫に「使途=中間納付・予定納税」と明確にして短期で借り入れる方法だ。資金使途が明確で短期回収のため銀行も貸しやすい区分だが、毎期連続して借りる状態は財務体質の弱さと見られるため一時的な調整手段に留める。第三は国税の猶予制度で、一時に納付すると事業継続が困難な場合の「換価の猶予」、災害・病気・事業の著しい損失等の特定事由がある場合の「納税の猶予」がある。滞納してから動くと融資審査も猶予交渉も不利になるため、不足が見えた時点で早めに税務署・金融機関へ相談するのが鉄則だ。
別口座積立を「先取り」で仕組み化する
納税資金は「利益が出てから残った分を回す」のではなく、入金時点で先取りして別口座に分けるほうが確実だ。特に消費税は事業者が顧客から預かって国に納める預り金的な性格を持つため、これを本業の運転資金として使ってしまうと、中間納付・確定納付のたびに資金が不足する構造に陥りやすい。売上入金のたびに消費税相当額(および見込みの法人税・予定納税分の月割り額)を納税準備預金などの別口座へ移しておけば、期中納税が来ても本業のキャッシュを取り崩さずに済む。前期の年間納税額を12か月で割り、毎月の積立目安額を決めておくと運用しやすい。
不足が見えたら滞納前に相談する
期中納税の資金が足りないと分かった段階で取るべき順序は、滞納してから対応するより圧倒的に有利だ。まず納税資金融資を検討するなら納期限の1〜2か月前に主取引銀行へ相談し、通常の審査期間に余裕をもたせる。融資が難しい場合は、納期限前に税務署へ換価の猶予・納税の猶予を相談する。猶予が認められれば分割納付ができ、延滞税も軽減される。逆に滞納して差押えに至ると、銀行口座凍結で融資実行自体が困難になり、猶予申請の要件も満たしにくくなる。「払えないかもしれない」と思った時点で動くことが、選択肢を最大化する。
よくある質問
Q法人税の中間申告はどの会社でも必要ですか?▼
必要なのは前事業年度の確定法人税額が20万円を超える普通法人で、事業年度開始から6か月を経過した日以後2か月以内に申告・納付します。前期の確定法人税額が20万円以下なら中間申告は不要です。設立初年度など前期がない場合も原則対象外です。詳細は国税庁の公式情報で確認してください。
Q所得税の予定納税はいくらから・いつ払うのですか?▼
予定納税基準額が15万円以上の個人が対象です。基準額の3分の1ずつを第1期分として7月1日〜31日、第2期分として11月1日〜30日の年2回納付します。対象者には6月中旬ごろ税務署から通知書が送られるため自己申告は不要です。金額や対象は最新の国税庁情報で確認してください。
Q消費税の中間申告は何回になりますか?▼
前年(前事業年度)の確定消費税額(国税分)によって回数が変わります。48万円超〜400万円以下は年1回、400万円超〜4,800万円以下は年3回、4,800万円超は年11回です。48万円以下は原則不要ですが任意の中間申告制度もあります。具体的な区分は国税庁タックスアンサーで確認してください。
Q今期の業績が悪いのに前期ベースで多く払うのは避けられますか?▼
仮決算による中間申告を選べば、上半期を仮の事業年度として実際に税額を計算するため、業績悪化時は前期実績ベースより納付額を圧縮できる可能性があります。ただし半期分の決算に相当する経理処理が必要でコストもかかるため、圧縮効果が事務負担に見合うか税理士と相談して判断してください。
Q期中納税の資金が足りないときはどう備えればよいですか?▼
基本は売上入金時に消費税相当額や納税見込み分を別口座へ先取り積立することです。それでも不足する場合は、主取引銀行や日本政策金融公庫の納税資金融資、国税の換価の猶予・納税の猶予を検討します。いずれも滞納してから動くと不利になるため、不足が見えた時点で早めに相談するのが重要です。
Q中間納付した分は払い損になりませんか?▼
払い損にはなりません。中間納付した税額は、その事業年度(その年分)の確定申告時に年間の確定税額から控除されます。中間納付額が確定税額を上回った場合は、超過分が還付されます。つまり中間納付は年税額の前払い・分割払いであり、確定申告で精算される仕組みです。
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