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第二会社方式による事業再生ガイド|会社分割・事業譲渡と資金

公開: 2026-06-08

第二会社方式とは、過剰債務で再生が難しい企業から採算の取れるGood事業だけを会社分割・事業譲渡で第二会社へ移し、過剰債務を抱えたBad会社を特別清算・破産で処理する抜本再生スキームだ。中小企業承継事業再生計画の認定を受ければ許認可の承継・税制特例・金融支援が使える。本記事は仕組みと資金面、詐害行為を避ける適正手続きを整理する。

ポイント

この記事のポイント

スキームの基本構造

Good事業を第二会社へ承継/Bad会社(過剰債務)を清算

出典: J-Net21(中小機構)第二会社方式の解説

認定による3つの支援

許認可の承継・登録免許税の軽減・金融支援(公庫融資/信用保険特例)

出典: 中小企業庁 中小企業承継事業再生計画(J-Net21・中小企業庁公表資料)

承継の2手法

会社分割(包括承継・消費税非課税)/事業譲渡(個別承継・消費税課税)

出典: J-Net21(中小機構)第二会社方式の解説

認定の前提

公正な債権者調整(活性化協議会等)を経て金融機関の合意を得ること

出典: J-Net21(中小機構)第二会社方式の認定要件

第二会社方式とは:Good事業を切り出しBad会社を清算する仕組み

第二会社方式は、過剰債務を抱えて再生が難しい会社から、採算の取れる優良事業(Good事業)だけを会社分割や事業譲渡によって別の会社(第二会社)へ移し、不採算事業と過剰債務が残ったBad会社(旧会社)を特別清算や破産で処理する事業再生の手法だ。事業そのものは第二会社で存続させながら、返済しきれない債務は旧会社の清算手続のなかで法的に整理する点が特徴になる。単なるリスケジュール(返済猶予)や追加融資では支えきれないほど債務が膨らんだケースで、雇用や取引関係を守りつつ事業を生き残らせる選択肢として用いられる。実行にあたっては、旧会社の債権者を不当に害さないよう、中小企業活性化協議会など公正な第三者を交えた手続きを踏むのが原則だ。

Good/Badの切り分けは「事業の採算性」で行う

どの事業を第二会社へ移し、何を旧会社に残すかは、過剰債務の付け替えではなく「事業として採算が取れるか」を基準に切り分ける。本業のうち黒字を生む部門・主要な取引先・必要な従業員・営業に不可欠な資産はGood側として第二会社へ。回収不能な不良資産や採算の取れない部門、過剰な借入金はBad側(旧会社)に残し、清算手続のなかで整理する。ここで恣意的に債務だけを旧会社へ寄せ、資産を不当に安く第二会社へ移すと、後述の詐害行為や否認の問題になる。あくまで事業の実態に即した合理的な切り分けと、適正な対価の支払いが前提だ。

会社分割と事業譲渡:どちらでGood事業を移すか

Good事業を第二会社へ移す手段は、大きく会社分割と事業譲渡の2つがある。会社分割は事業に関する権利義務を包括的に承継させる手法で、個別の契約の同意取得が原則不要なため移転がスムーズだが、簿外債務や偶発債務まで引き継ぐリスクに注意がいる。事業譲渡は資産・契約を個別の合意に基づいて選んで移すため、不要な債務を引き継がずに済む反面、契約ごとに相手方の同意が必要で手続きの手間が大きい。税務面でも差があり、会社分割は消費税が非課税で、後述の認定を受ければ登録免許税の軽減が使える一方、事業譲渡は消費税が課税され税制上の軽減措置がない。どちらを選ぶかは、移転対象の規模・契約数・税負担・引き継ぐ債務の見極めやすさを総合して決める。

会社分割と事業譲渡の比較(第二会社方式での承継手段)

観点会社分割事業譲渡
承継の方式包括承継(権利義務をまとめて移転)個別承継(資産・契約を選んで移転)
契約の同意取得原則不要契約ごとに相手方の同意が必要
簿外・偶発債務引き継ぐリスクあり選別して回避しやすい
消費税非課税課税
登録免許税の軽減認定で軽減対象になりうる同上(不動産移転登記等)

中小企業承継事業再生計画の認定で使える支援措置

第二会社方式は、産業競争力強化法に基づく「中小企業承継事業再生計画」の認定を受けることで、3つの支援措置を活用できる。第1に許認可の承継で、旧会社が持っていた事業上の許認可(旅館業許可や建設業許可など)を第二会社が引き継げる。許認可の取り直しは会社分割等の大きなボトルネックだったため、これは実務上の効果が大きい。第2に税制特例で、第二会社の設立登記や不動産移転登記にかかる登録免許税が軽減される。第3に金融支援で、日本政策金融公庫の融資制度や中小企業信用保険法の特例制度を利用できる。認定の前提として、中小企業活性化協議会や事業再生ADRなど公正な債権者調整プロセスを経て金融機関の合意を得ること、従業員との適切な雇用調整、旧会社の取引先の売掛債権を毀損させないことが求められる。具体的な軽減率や金融支援の条件は制度・案件で変わるため、認定支援機関や所管窓口で個別に確認したい。

第二会社の事業資金はどう調達するか

第二会社は旧会社の過剰債務を引き継がない一方、事業を回す運転資金や設備資金を改めて確保する必要がある。認定を受けた計画では日本政策金融公庫の融資制度や信用保険の特例が使えるため、まずこの公的な金融支援を軸に据えるのが基本になる。加えて、Good事業の収益力を裏づける事業計画と、債権者調整を経た再生計画の合理性を示せれば、取引金融機関からの新規融資の交渉余地も広がる。資金繰りの空白を作らないよう、承継のタイミングと資金実行のタイミングをそろえて設計することが重要だ。M&Aを伴う買収資金の調達は /guide/m-and-a-funding 、再生局面での既存債務の組み替えは /guide/debt-excess-loan も参照されたい。

詐害行為を避ける適正手続きと専門家の役割

第二会社方式は「債務を踏み倒す手法」ではない。旧会社の優良事業を不当に安い対価で第二会社へ移せば、旧会社の債権者を害したとして詐害行為取消や、清算手続のなかで管財人による否認の対象になりうる。これを避けるには、移転する事業を公認会計士等が適正に評価し、第二会社がその実態に見合った対価を支払うことが不可欠だ。手続面でも、中小企業活性化協議会や事業再生ADRといった公正な債権者調整の枠組みを使い、金融機関を含む債権者の合意形成を経て進める必要がある。法的整理(特別清算・破産)の選択や会社分割・事業譲渡の設計、債権者対応には弁護士の関与が欠かせず、税務・財務面では公認会計士・税理士が事業評価と税制特例の適用を担う。専門家を早期に交え、適正な対価と透明な手続きを担保することが、再生の正当性と認定取得の前提になる。

相談はどこから始めるか

第二会社方式は会社法・税務・金融機関交渉が複雑に絡むため、自社だけで進めるのは現実的でない。まずは中小企業活性化協議会に相談し、再生の方向性と債権者調整の枠組みを固めるのが入口になる。協議会は再生計画の策定支援や金融機関との調整を担い、資金繰りに行き詰まる前の早期相談が望ましいとされる。並行して、事業再生に実績のある弁護士・公認会計士へ依頼し、スキーム設計と認定申請の準備を進める。廃業を含めた経営者個人の保証債務の整理は /guide/guarantee-on-business-closure 、返済猶予から正常化を目指す段階の手当ては /guide/reschedule-recovery で扱っている。

FAQ

よくある質問

Q第二会社方式とは何ですか?
A

過剰債務で再生が難しい会社から、採算の取れるGood事業だけを会社分割や事業譲渡で第二会社へ移し、過剰債務が残った旧会社(Bad会社)を特別清算や破産で清算する事業再生の手法です。事業を存続させつつ、返済しきれない債務を旧会社の清算手続で整理します。

Q会社分割と事業譲渡のどちらを使うべきですか?
A

会社分割は権利義務を包括的に移せて契約の個別同意が原則不要、消費税も非課税ですが簿外債務を引き継ぐリスクがあります。事業譲渡は資産・契約を選んで移せる反面、契約ごとの同意が必要で消費税が課税されます。移転規模・契約数・税負担・債務の見極めやすさで判断します。

Q中小企業承継事業再生計画の認定を受けると何が得られますか?
A

産業競争力強化法に基づくこの計画の認定を受けると、旧会社の許認可(旅館業許可や建設業許可など)を第二会社が承継でき、設立登記や不動産移転登記の登録免許税が軽減され、日本政策金融公庫の融資制度や信用保険の特例といった金融支援を利用できます。

Q第二会社方式は債権者の権利を害さないのですか?
A

優良事業を不当に安い対価で第二会社へ移すと、詐害行為取消や否認の対象になります。これを避けるため、事業を公認会計士等が適正に評価し、見合った対価を支払うことが必須です。中小企業活性化協議会など公正な債権者調整の枠組みを経て金融機関の合意を得て進めます。

Q第二会社の事業資金はどのように調達しますか?
A

第二会社は旧会社の過剰債務を引き継がない一方、運転資金や設備資金を新たに確保する必要があります。認定計画では日本政策金融公庫の融資制度や信用保険の特例が使えるため、これを軸にしつつ、Good事業の収益力を示す事業計画で取引金融機関の新規融資も交渉します。

Q第二会社方式はどこに相談すればよいですか?
A

まず中小企業活性化協議会に相談し、再生の方向性と債権者調整の枠組みを固めるのが入口です。並行して事業再生に実績のある弁護士・公認会計士に依頼し、スキーム設計と認定申請を進めます。資金繰りに行き詰まる前の早期相談が望ましいとされています。

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