M&A・事業承継資金融資の選び方|審査・金利・必要書類・向いている銀行【2026年】
企業の買収・合併や事業承継(親族内・従業員・第三者)には多額の資金が必要です。通常の設備資金や運転資金とは異なる特別な審査基準が適用されますが、政府系金融機関の優遇制度や専門の融資商品を活用することで実現できます。
執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-04-20 / 更新: 2026-07-23
特徴・仕組み
M&A融資は「株式取得資金」「のれん代」「PMI(統合後の経営安定化)費用」を対象とします。LBO(レバレッジドバイアウト)では買収する会社の資産・収益を担保に融資を受ける手法が使われます。返済期間は3〜7年が一般的です。
向いている銀行
商工中金の事業承継支援貸付は、事業譲受資金や納税資金、退職資金のほか、後継者の株式取得資金にも対応する(融資の時点で、商工中金の株主である中小企業団体の構成員等になる必要がある)。日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」は、融資限度額が国民生活事業 別枠7,200万円、中小企業事業 直接貸付14億4千万円で、利用する方の区分に応じた特別利率がある。全国地方銀行協会の2025年度の取り組み状況(2026年9月公表)によると、地方銀行はM&Aの相手先の紹介や、融資・出資を通じた資金面の支援を行っている。2025年度の地方銀行の事業承継の支援先数は32,051先(災害対応のため回答できなかった1行を除く)。
審査のポイント
買収先企業の財務内容・事業価値の評価が核心。「買収後の統合計画(PMI)」「シナジー効果の試算」「資金回収スケジュール」を事業計画書で示す。後継者の属性・経営能力も審査対象。DD(デューデリジェンス)結果の提出が求められることも多い。
必要書類
買収先・承継先の直近3期の決算書、売買契約書・基本合意書、事業価値評価報告書(DD結果)、PMI計画書・統合後の事業計画書、後継者の略歴・経営方針書。
注意点
M&A融資で買収額の全額をまかなえるとは限らず、自己資金をどれだけ求めるかは金融機関・案件ごとの審査で決まる。「のれん」は実態資産でないため担保評価されないことがある。事業の継続性・後継者の能力が銀行の最大の懸念点であることを意識して準備する。
金利の目安
日本政策金融公庫(国民生活事業)の事業承継・集約・活性化支援資金:利用する方の区分に応じて基準利率・特別利率A・特別利率B。2026年(令和8年)10月1日現在、無担保・税務申告2期終了の場合 基準利率 年4.05〜5.65%、特別利率A 年3.65〜5.25%、特別利率B 年3.40〜5.00%。中小企業事業の同資金は、区分に応じて基準利率から0.4〜0.9%引き下げた利率(8億円超や一部の区分は基準利率)。地方銀行・都市銀行:日本銀行の貸出約定平均金利(2026年7月分。業態全体の平均で、M&A・事業承継向けに限らない)では、7月中に実行された1年以上の長期貸出の約定金利の平均は都市銀行 年2.014%、地方銀行 年1.870%。個々の金利は審査で決まる。商工中金の事業承継支援貸付は案内に金利の記載がないため、取引店で確かめる。
この融資に向いている銀行
よくある質問
MBO(経営陣による買収)に使える融資はありますか?
あります。日本政策金融公庫の「事業承継・集約・活性化支援資金」は、安定的な経営権の確保などにより事業を承継・集約する方も対象で、融資限度額は国民生活事業 別枠7,200万円、中小企業事業 直接貸付14億4千万円です。中小企業事業では、事業会社の株式を取得する持株会社や、株主等から自己株式を取得する法人などに、8億円まで基準利率から0.4%引き下げた利率の区分があります。MBOという言葉は案内にないため、当てはまるかは支店で確かめてください。事業承継などの買収資金には、LBOローン(買収される会社の資産やキャッシュフローを担保にして、買収資金を借り入れる融資)も使われます。PEファンド(投資ファンド)が関わる国内案件についての金融庁の調査(2024年7月公表)では、大手銀行に加えて地域銀行も取り組んでおり、地域銀行100行のうち77行が取組み実績ありと回答しています。MBOでは「買収後の経営を主導する人物の能力・実績」が最も重視されます。
従業員が会社を買い取る場合(MBI)に融資は受けられますか?
可能ですが、後継者となる従業員の「経営能力・事業への理解・リーダーシップ」が厳しく評価されます。事業承継・引継ぎ補助金(最大600万円)と組み合わせることで初期コストを抑えられます。地域の事業承継・引継ぎ支援センターへの相談が支援機関・資金の両面で有効です。
事業承継をするとき銀行融資の保証・担保はどうなりますか?
経営者が変わる場合、既存の融資の経営者保証も承継先の後継者に引き継がれるのが一般的です。2024年以降は「経営者保証に関するガイドライン」の普及で保証不要の事業承継が増えていますが、銀行との交渉が必要です。事前に既存融資の保証条件を確認し、承継前に整理しておくことが重要です。
※ 制度名・金額は目安です。最新情報は公式情報でご確認ください。