本文へスキップ
法人融資ナビ2026年最新版
Guide

事業用不動産の取得資金ガイド|店舗・事務所・工場の購入と不動産担保ローンとの違い

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-06-08 / 更新: 2026-07-25

事業用不動産の取得は設備資金として相談できますが、取得物件があれば大型・長期融資を受けられるとは限りません。購入価格、担保評価、自己資金、返済原資に加え、固定資産税、保険、修繕、移転費を含めて賃借と比較します。この記事では資金の組み方と判断項目を整理します。

要点

この記事で先に確認すること

01
不動産取得資金の返済期間
物件、資金制度、担保評価、返済可能性に応じて個別に決定
出典: 日本政策金融公庫「融資制度を探す」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/
02
日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金の設備資金返済期間
20年以内(うち据置期間5年以内)
出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」公式ページ
03
同制度の融資限度額
7,200万円(設備・運転合計)
出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」公式ページ
04
所有時に確認する費用
取得時費用、固定資産税、保険、修繕、減価償却の扱いを個別試算
出典: 国税庁「減価償却」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm
05
不動産担保ローン(法人)の資金使途
運転資金・借換資金・納税資金・設備投資資金など事業性資金全般(投機資金は除く)
出典: 愛知信用金庫「あいしん不動産担保ローン(事業性資金型)」公式商品ページ
06
不動産担保ローン(法人)で担保にできる不動産
法人所有の不動産、または代表者本人・三親等以内の親族が所有する既存の不動産
出典: 京都中央信用金庫「京都中信不動産担保ローン」公式商品ページ
関連銀行日本政策金融公庫政府系
詳細を見る →

SECTION 01

事業用不動産の取得資金は「長期の設備資金」として組む

店舗・事務所・工場・倉庫など事業に使う不動産の購入は、設備資金として金融機関へ相談します。返済期間は物件の用途・構造・耐用年数、担保評価、自己資金、事業の返済可能性、利用する融資制度で変わり、物件を担保にできることだけで長期・大型融資が決まるわけではありません。売買価格に加え、仲介・登記・税・改修・移転の費用を資金使途へ含めます。

日本政策金融公庫など制度融資を検討する場合は、対象者、限度額、返済期間を申込時点の公式ページで確認します。民間銀行とも比較し、金利、期間、元金返済、担保設定費用、繰上返済条件を同じ表へまとめます。月々の返済額を下げるためだけに期間を長くせず、事業で物件を使う期間と将来の修繕・売却可能性まで考慮してください

不動産取得を含む設備資金と運転資金の比較

項目不動産取得(設備資金)運転資金
目的店舗・事務所・工場・倉庫など不動産の購入仕入・人件費・外注費など日常資金
返済期間物件・制度・返済可能性で個別決定資金使途と返済原資で個別決定
担保取得物件への担保設定を求められる場合がある担保・保証の要否は案件ごと
審査の重点不動産の評価額・事業性・返済財源返済能力・資金使途の明確さ
必要書類決算書・売買契約書(案)・登記事項・事業計画書決算書・資金繰り表・試算表

SECTION 02

取得する不動産を担保にする仕組みと自己資金

不動産取得資金では、購入する不動産そのものに抵当権を設定し担保とするのが一般的だ。抵当権とは、返済が滞った場合に金融機関がその不動産を売却して融資額を回収できる権利のことで、設定には登記費用と司法書士報酬が初期費用として発生する。

担保があることで無担保融資より大きな金額・長い期間・低い金利になりやすい一方、融資額は不動産の評価額をもとに決まり、評価額の全額を借りられるとは限らない。このため取得価格と融資可能額の差を自己資金で補う必要がある。

必要な自己資金の割合は不動産の評価・申込者の財務内容・金融機関の方針によって変わるため、具体的な比率は担当者に確認したうえで資金計画を立てる必要がある。自己資金が厚いほど審査・条件の面で有利になりやすい

担保評価と融資額の関係

不動産の担保評価は路線価・積算価格・収益価格などをもとに行われ、評価額に対して一定割合までが融資の上限の目安となる。築年数が古い建物・流動性の低い立地は評価が下がりやすく、結果として必要な自己資金が増える。

逆に立地が良く流動性の高い物件は評価が出やすい。評価額や融資可能額は物件ごとに大きく異なるため、購入を検討する段階で金融機関に物件情報を提示して概算を確認しておくと資金計画が立てやすい。

SECTION 03

購入と賃借の比較:固定資産税など取得後のコストも含めて判断する

事業用不動産は購入だけでなく賃借という選択肢があり、同じ利用期間と事業計画で比較します。購入案には取得価格、借入利息、仲介・登記費用、固定資産税、保険、修繕、管理、将来の売却費用を含めます。賃借案には保証金、賃料、共益費、更新、原状回復、移転費用を含め、単純な購入価格と家賃総額だけで比べないことが重要です

購入は物件を自社資産として保有できる一方、需要変化に合わせた移転が難しくなり、修繕や価格下落のリスクも負います。賃借は初期支出を抑えやすい一方、契約更新や賃料改定の影響を受けます。税務処理と減価償却は物件・法人の状況で異なるため、一般的な節税効果を前提にせず、税理士へ個別に確認してください。

SECTION 04

よく混同される「不動産担保ローン(法人)」との違いを整理する

「不動産担保ローン」は、法人や個人事業主が既に所有している不動産を担保に、運転資金・設備資金・借換資金・納税資金など事業性資金全般を借り入れる融資手法で、本記事が扱う「これから不動産を取得するための資金」とは目的が異なる。不動産担保ローンで担保にできるのは、法人が所有する不動産のほか、代表者本人または三親等以内の親族が所有する不動産であり、いずれも申込み時点で既に保有している物件が前提になる。

投機目的の資金は対象外とされるが、それ以外の事業性資金であれば使いみちは比較的自由で、融資額は担保となる不動産の評価額をもとに決まる。一方、本記事で解説する取得資金は、これから購入する店舗・工場・事務所などの不動産そのものを担保にする点が異なり、資金使途もその物件の取得費用に限定される。「不動産を担保にする」という仕組みは共通しているが、担保にする不動産が既存保有物件か、これから取得する物件かによって商品としての位置づけが分かれる

法人所有不動産の担保提供と経営者保証の関係

中小企業庁と全国銀行協会がまとめる「経営者保証に関するガイドライン」では、法人のみの資産・収益力で返済が可能であることや、法人と経営者の資産・経理が明確に分離されていることなどの要件に加えて、法人または代表者等が所有する不動産の担保提供によって十分な保全が図られる場合は、経営者保証を求めないことができるとされている。つまり法人所有の不動産(本社ビル・工場・倉庫など)を担保に差し入れることは、資金調達の手段であると同時に、代表者個人の保証負担を軽くする材料にもなり得る。ただし実際に経営者保証が不要になるかどうかは金融機関ごとの審査によるため、担当者への確認が前提となる。

「不動産担保ローン(法人)」と本記事の取得資金の違い

項目不動産担保ローン(法人向け)本記事:不動産の取得資金
目的運転資金・設備資金・借換資金・納税資金など事業性資金全般(投機資金は除く)これから取得する店舗・事務所・工場等の購入費用
担保となる不動産法人所有、または代表者本人・三親等以内の親族が所有する既存の不動産これから取得する物件そのもの
資金使途の自由度事業性資金であれば比較的自由対象不動産の取得費用に限定される
主な提供者銀行・信用金庫・不動産担保ローン専業会社日本政策金融公庫・商工中金・銀行等(設備資金)

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    不動産取得資金の返済期間

    出典: 日本政策金融公庫「融資制度を探す」(https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/

  2. 02

    日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金の設備資金返済期間

    出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」公式ページ

  3. 03
  4. 04

    所有時に確認する費用

    出典: 国税庁「減価償却」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2100.htm

  5. 05

    不動産担保ローン(法人)の資金使途

    出典: 愛知信用金庫「あいしん不動産担保ローン(事業性資金型)」公式商品ページ

  6. 06

    不動産担保ローン(法人)で担保にできる不動産

    出典: 京都中央信用金庫「京都中信不動産担保ローン」公式商品ページ

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q事業用不動産の取得資金は運転資金として借りるのですか?
A

原則として「設備資金」として借ります。購入対象の不動産が明確で担保にもなるため、運転資金より長期・大型で組みやすいのが特徴です。資金使途は売買契約書(案)や見積で明確に示します。

Q取得する不動産自体を担保にできますか?
A

できます。購入する不動産に抵当権を設定して担保とするのが一般的です。担保があることで無担保より大きな金額・長い期間・低めの金利になりやすい一方、登記費用や司法書士報酬が初期費用として発生します。

Q返済期間はどのくらい取れますか?
A

不動産は耐用年数が長いため10〜20年の長期で組まれることが多いです。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では設備資金の返済期間が20年以内(据置5年以内)と定められています。長期にすると月々の負担を抑えられます。

Q自己資金はどのくらい必要ですか?
A

融資額は不動産の評価額をもとに決まり全額を借りられるとは限らないため、取得価格との差を自己資金で補う必要があります。必要な割合は物件評価や財務内容、金融機関の方針で変わるため、担当者に確認して資金計画を立ててください。

Q購入と賃借はどちらが有利ですか?
A

一概には言えません。購入は不動産が資産として残り長期的に家賃が不要になりますが、固定資産税・修繕費・管理費が毎年かかります。

賃借は初期投資が小さく移転しやすい反面、資産は残りません。保有コストと家賃総額を同じ期間で比較して判断します。

Q購入後にかかる費用には何がありますか?
A

毎年の固定資産税・都市計画税に加え、建物の修繕費・管理費が自己負担になります。融資の返済額だけでなくこれらの保有コストも含めて資金繰りを見込んでおくことが重要です。具体的な税額は物件の評価額により異なります。

Q「不動産担保ローン」とこの記事の取得資金は同じ商品ですか?
A

別物です。不動産担保ローンは、法人や代表者等が既に所有している不動産を担保に、運転資金・設備資金・借換資金など事業性資金全般を借りる融資手法です。本記事の取得資金は、これから購入する不動産そのものを担保にし、資金使途もその物件の取得費用に限られる点が異なります。

関連ページ

資金使途・業種・規模・地域から探す

関連する用語

この記事に出てくる用語を確認する