本文へスキップ
法人融資ナビ2026年最新版
Guide

保証金・敷金の資金ガイド|店舗・事務所賃借の初期費用

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-06-08 / 更新: 2026-07-16

店舗や事務所を借りるときの保証金・敷金・礼金・前家賃は、開業時の設備資金(一部は運転資金)として融資で組める。保証金は退去時に一部返還される性質があり、敷引き・償却の有無で実質負担が変わる。契約と融資実行のタイミング調整が成否を左右する。

要点

この記事で先に確認すること

01
公庫・新規開業資金の融資限度額
7,200万円(うち運転資金4,800万円)。設備資金として保証金・内装等に充当可能
出典: 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(公式)
02
設備資金・運転資金の返済期間
設備資金20年以内・運転資金10年以内(据置期間はいずれも5年以内)
出典: 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(公式)
03
事業用テナントの保証金の性質
住宅より高額になる傾向。敷引き・償却がある契約では一部が退去時に返還されない
出典: CBRE「敷金・保証金における償却の仕訳・会計処理」
関連銀行日本政策金融公庫政府系
詳細を見る →

SECTION 01

保証金・敷金・礼金・前家賃の違いと、融資で組める範囲

店舗・事務所の賃借にかかる初期費用は、性質ごとに分けて理解する必要がある。保証金・敷金は契約終了時に原状回復費などを差し引いた残額が返還される「預け金」の性質を持つ。礼金・前家賃・仲介手数料は返還されない支出だ。

事業用テナントの保証金は住宅の敷金より高額になる傾向があり、出店コストの中で大きな割合を占めることが多い。これらの初期費用は、開業時の設備資金(保証金・内装・什器)と運転資金(前家賃・当面の家賃や仕入れ)に分けて融資申込に組み込むのが実務上の整理だ。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は設備資金・運転資金の両方が対象で、保証金もこの枠で調達できる。

賃借初期費用の性質と資金使途の整理

費用返還の有無融資上の主な区分
保証金・敷金原状回復費等を差し引いた残額が返還される設備資金
礼金返還されない設備資金
前家賃返還されない(家賃の前払い)運転資金
仲介手数料返還されない設備資金

SECTION 02

敷引き・償却を含めた資金計画の立て方

保証金は全額が戻るわけではない。事業用賃貸では契約時に「敷引き」「償却」として、退去時に返還されない一定額があらかじめ定められているケースが多い。償却条項では、実際の原状回復費が少なくても契約で決めた額は返ってこない。

会計上は、返還される部分は資産(差入保証金)として、返還されない部分は長期前払費用などとして処理する。資金計画では、保証金のうち「実質的に戻らない部分」を礼金と同様の費用として見込み、退去時に返ってくる金額を過大に期待しないことが重要だ。フリーレント(一定期間の家賃を無料にする条件)が付く物件では、開業直後のキャッシュアウトを抑えられるため、家賃発生時期を踏まえて運転資金の必要額を見積もる。

保証金の月数を「相場」で決め打ちしない

事業用テナントの保証金が家賃の何ヶ月分になるかは物件・地域・貸主によって大きく異なる。「家賃の◯ヶ月分が相場」と決め打ちで資金計画を組むと、実際の契約条件とずれて資金不足を招く。必ず対象物件の契約条件(保証金額・敷引き/償却の割合・前家賃の有無・フリーレント期間)を不動産仲介業者に確認し、確定した数字で計画を立てる。

SECTION 03

物件契約と融資実行のタイミング調整

初期費用の融資で最も難しいのが、物件契約と融資実行の順番だ。金融機関は「どの物件で・家賃いくらで・どんな事業をするか」が具体化していないと、現実的な事業計画として評価できない。一方で、融資が下りるか分からない段階で本契約をして保証金・敷金を支払うと、融資が不調なら開業できず初期費用を失うリスクがある。

実務では、物件を「融資が実行されれば本契約できる」状態まで内定させ(仮押さえ・申込)、その条件で事業計画書を作って融資申込に進むのが一般的だ。融資の内諾を得てから本契約・保証金支払いに進むことで、資金未調達のまま契約してしまうリスクを抑えられる。仮押さえの可否や保持期間は物件により異なるため、仲介業者と早めに調整する。

SECTION 04

敷金・保証金と内装・運転資金を分けて準備する

店舗や事務所を借りる際は、敷金・保証金、礼金、仲介、前払賃料、保証会社、内装、原状回復を契約書と見積書から分けます。保証金が将来返還される予定でも、返還時期や控除条件があるため、開業時の現金支出として資金計画へ入れてください。

融資相談では賃貸借契約の締結前に、物件条件、必要額、融資実行時期を金融機関へ共有します。契約後に融資が不足する事態を避けるため、手付・申込金の返還条件も確認します。開業後の家賃と運転資金を別に試算し、初期費用へ資金を使い切らないことが重要です

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01
  2. 02
  3. 03

    事業用テナントの保証金の性質

    出典: CBRE「敷金・保証金における償却の仕訳・会計処理」

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q店舗の保証金や敷金は、運転資金ではなく設備資金として融資を組めますか?
A

保証金・敷金・礼金・仲介手数料は開業時の設備資金として申込むのが一般的です。前家賃や開業後しばらくの家賃・仕入れは運転資金に区分します。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は設備資金・運転資金の両方が対象です。

Q保証金は退去時に全額返ってきますか?
A

全額は戻らないことが多いです。事業用賃貸では「敷引き」「償却」として退去時に返還されない額が契約で定められているケースが多く、原状回復費も差し引かれます。返ってこない部分は資金計画上、費用として見込んでおくべきです。

Q保証金は家賃の何ヶ月分が目安ですか?
A

物件・地域・貸主によって大きく異なるため、一律の月数を断定はできません。事業用テナントは住宅の敷金より高額になる傾向があります。必ず対象物件の契約条件を不動産仲介業者に確認し、確定した金額で資金計画を立ててください。

Q物件の本契約と融資の申込は、どちらを先にすべきですか?
A

融資が下りるか分からない段階で本契約をして保証金を支払うのは避けるべきです。物件を「融資が実行されれば本契約できる」状態まで内定させ、その条件で事業計画書を作って融資申込に進み、内諾を得てから本契約・保証金支払いに進むのが安全です。仮押さえの可否は仲介業者に相談します。

Qフリーレントが付いていると資金計画はどう変わりますか?
A

フリーレントは一定期間の家賃が無料になる条件で、開業直後のキャッシュアウトを抑えられます。ただし家賃が発生し始める時期以降の支払いは必要なので、無料期間が終わった後の家賃・運転資金を見込んで必要額を計算してください。

関連ページ

資金使途・業種・規模・地域から探す

関連する用語

この記事に出てくる用語を確認する

関連記事

次に確認したい記事

千葉県の制度融資2026年度版:資金メニューと金利・限度額の使い方

千葉県の令和8年度(2026年度)中小企業者向け制度融資を解説。事業資金・小規模事業資金・創業資金・セーフティネット資金など16メニューの限度額・固定金利・千葉県信用保証協会との連携を実務目線で整理します。

北海道の制度融資完全ガイド:中小企業総合振興資金の活用

北海道の中小企業総合振興資金(制度融資)を解説。一般貸付の限度額8,000万円・固定金利年2.1〜2.7%、令和7年に創設された経営者保証非提供促進型、北海道信用保証協会との連携を整理します。

神奈川県の制度融資完全ガイド:令和8年度メニューと使い方

神奈川県中小企業制度融資の令和8年度(2026年度)メニューを整理。創業支援融資・生産性向上支援融資・事業振興融資の対象・限度額・利率・信用保証料を県公式と神奈川県信用保証協会の情報で解説します。

山形県の制度融資ガイド|商工業振興資金融資制度のメニューと申込手順

山形県商工業振興資金融資制度を解説。産業活性化支援資金や事業承継支援資金など主要メニュー、1企業3億円までの融資限度額、固定金利、信用保証料を県と市町村が一部負担する特徴、山形県信用保証協会を通じた申込手順を整理します。