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店舗・オフィスの改装資金ガイド

内装・設備更新の融資

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-06-08 / 更新: 2026-10-02

店舗・オフィスの改装費は「設備資金」として運転資金より長い返済期間で組めるのが大きな利点だ。一方で賃借物件は原状回復義務の存在、リニューアルは売上回復・客単価向上という投資対効果を事業計画で示せるかが審査の分かれ目になる。補助金の併用、改装費の税務上の区分、相見積もりの取り方も含めて整理する。

要点

この記事で先に確認すること

01
改装・内装の資金区分
運転資金ではなく「設備資金」として扱われ、返済期間を長く組める
出典: けいえいさぽーとぷらすα 設備資金の融資解説(keiei-support-plus-a.com)
02
日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金の設備資金返済期間
20年以内(うち据置期間5年以内)/運転資金は10年以内・融資限度額7,200万円
出典: 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(公式)
03
小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の補助上限・補助率(第20回公募)
基本50万円・補助率2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)。インボイス特例と賃金引上げ特例の両方を満たすと最大250万円。店舗改装・バリアフリー化工事は「委託・外注費」の対象経費例
出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 第8版・2026年7月21日改版(r6.jizokukahojokin.info/doc/r6_koubover8_ip20.pdf)
04
持続化補助金 第20回公募の申請受付期間
2026年11月5日〜12月15日17:00(事業支援計画書の発行受付は12月4日まで)。第19回は2026年4月30日に受付終了(2026年10月2日確認)
出典: 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局(r6.jizokukahojokin.info)/商工会地区 同事務局(official.jizokukanb.com)
05
改装費の税務上の区分(資本的支出と修繕費)
用途変更のための模様替えなど改造・改装に直接要した費用は原則として資本的支出。一つの修理・改良が20万円未満、またはおおむね3年以内の周期で行う場合は修繕費にできる
出典: 国税庁 法人税基本通達 第7章第8節「資本的支出と修繕費」(nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm)/タックスアンサー No.5402(nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm)
関連銀行日本政策金融公庫政府系
→

SECTION 01

改装・内装費は「設備資金」として長期で組める

店舗・オフィスの改装、内装リニューアル、什器・空調・厨房などの設備更新にかかる費用は、日常の仕入・人件費とは異なり「設備資金」として扱われる。設備資金は会社で長期間使用する資産への投資であるため、返済期間も運転資金より長く設定できるのが実務上の原則だ。たとえば日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金の返済期間が20年以内(うち据置期間5年以内)に対し、運転資金は10年以内と差がある。

改装は売上を生むまでに時間がかかり回収も長期になるため、この長い返済期間を活かして月々の返済負担を抑えられる点が、改装資金を設備資金として申し込む最大のメリットになる。ただし制度上の上限がそのまま適用されるとは限らず、実際の返済期間は設備の使用見込み年数や事業計画を踏まえて担当者と相談して決まる。

改装資金(設備資金)と運転資金の扱いの違い

項目改装・内装(設備資金)運転資金
対象内装工事・什器・空調・厨房など長期使用の資産仕入・人件費・外注費など日常資金
返済期間の目安長め(公庫の設備資金は最長20年以内の制度もある)短め(公庫の運転資金は10年以内)
審査の焦点改装による売上回復・客単価向上などの投資対効果返済能力・資金使途の明確さ
必要書類決算書・内装工事の見積書・事業計画書決算書・資金繰り表・試算表

SECTION 02

改装費の税務上の区分(資本的支出と修繕費の判定基準)

改装工事に払った費用は、税務上「資本的支出」と「修繕費」のどちらかに分けて処理する。資本的支出は、固定資産の価値を高めたり耐久性を増したりする部分の費用で、減価償却で数年に分けて費用にする。修繕費は、通常の維持管理や、き損した部分を元に戻すための費用で、支出した時に費用にできる。

国税庁の通達は、用途変更のための模様替えなど改造・改装に直接要した費用を、原則として資本的支出に当たる例に挙げている。区分は「修繕費」「改良費」といった名目ではなく、工事の実質で判定する。

模様替えなど用途変更のための改装は原則として資本的支出になるが、一つの工事が20万円未満の場合など、国税庁が定める基準に当たる支出は修繕費にできる。個人事業主は所得税の通達で、金額の基準は同じで、取得価額は前年12月31日の金額で見る。工事ごとの判定は、見積書の内訳を持って税理士または税務署に確認する。

改装費を修繕費として処理できる主な基準(法人の場合)

支出の内容処理条件
用途変更のための模様替えなど改造・改装に直接要した費用原則として資本的支出建物の避難階段の取付けなど、物理的に付け加えた部分の費用も同じ扱い
一つの修理・改良の費用が20万円未満修繕費にできる一つの計画で同じ固定資産に行う修理・改良の金額で判断する
おおむね3年以内の周期で行う修理・改良修繕費にできる過去の実績などから周期が明らかな場合
資本的支出か修繕費か明らかでない金額修繕費にできる60万円未満、または前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下
上の基準に当たらず、区分が明らかでない金額一部を修繕費にできる継続して、金額の30%相当額と前期末の取得価額の10%相当額のうち少ない方を修繕費とし、残りを資本的支出にする

SECTION 03

リニューアルの投資対効果を事業計画で示す

改装融資の審査では「その改装でいくら売上・利益が増えるのか」が問われる。老朽化対策や見た目の刷新だけでは投資対効果を説明しにくく、審査担当者を納得させにくい。客席レイアウトの変更による回転率や客単価の向上、動線改善による省人化、新メニュー・新サービスに対応するための設備更新など、改装が売上回復や生産性向上にどうつながるかを数値で落とし込むことが重要だ。

「内装を新しくしたい」ではなく「席数を○席増やし客単価を○円引き上げ、月商○万円の増加を見込む」というレベルまで具体化できると、設備資金としての事業性が伝わりやすい。改装の効果が出るまでの期間も返済は続くため、効果が見込みだけで既存事業のキャッシュフローが返済に足りない場合は審査が厳しくなる点にも注意する。

賃借物件は原状回復義務を織り込む

賃借している店舗・オフィスを改装する場合、退去時に借主の負担で原状回復工事を行う義務があるのが一般的だ。特に店舗は内装の作り込みが大きく、契約や特約によっては入居時がスケルトン(内装なしの状態)であれば退去時もスケルトンに戻す「スケルトン返し」を求められることがある。

原状回復はビルオーナー指定の業者で行うよう義務付けられているケースもあり、費用が高額になりがちだ。改装投資を検討する際は、将来の原状回復費用も含めて回収できるか、賃貸借契約書の原状回復に関する特約を確認したうえで投資判断を行う。

SECTION 04

補助金との組み合わせと相見積もりの取り方

改装資金は融資だけでなく補助金との組み合わせで実質負担を下げられる。小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の第20回公募は、2026年11月5日から12月15日17時までが申請受付の予定だ。第19回は2026年4月30日に受付を終えている(2026年10月2日確認)。

補助上限は基本50万円、補助率は2/3(賃金引上げ特例のうち赤字事業者は3/4)だ。インボイス特例(上乗せ50万円)と賃金引上げ特例(上乗せ150万円)の両方を満たすと、最大250万円になる。特例を希望して要件を1つでも満たさない場合は、上乗せ分だけでなく補助金の全体が交付されないため、要件は公募要領で確認する。

店舗改装・バリアフリー化工事と利用客向けトイレの改装工事は、公募要領の「委託・外注費」の対象経費例に載っている。看板の作成・設置は「広報費」に区分され、広報費の補助金交付申請額は上限30万円(税込)だ。販路開拓や業務効率化に結びつかない工事は対象外で、住宅兼店舗の住宅部分の改装や建物の増築・増床が例に挙がる。

敷金・保証金・仲介手数料と修理費は、補助対象経費として認められない。工事の発注・契約・支払いを交付決定より前に行った場合も対象外になる。

補助金は後払いのため、採択後も工事代金は自己資金や融資で先に支払う必要があり、入金までの立替期間を融資でカバーするのが実務的な活用法だ。第20回の採択発表は2027年3月頃の予定で、交付決定は採択発表から概ね1〜2か月かかる場合があると公募要領に書かれている。

店舗改装で50万円(税抜き)以上の外注工事を行うと、補助金を受け取った後も一定期間は、補助事業の目的外の使用・譲渡・担保提供・廃棄などが制限される「処分制限財産」に該当することがある。処分する場合は、事前に補助金事務局へ承認を申請する。

融資・補助金いずれの審査でも工事の見積書は中核になるため、原則として2〜3社から相見積もりを取り、価格の妥当性を示せるようにしておく。持続化補助金の公募要領は、発注1件が50万円(税込)を超える場合に2者以上からの見積りを求めている。

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    改装・内装の資金区分

    出典: けいえいさぽーとぷらすα 設備資金の融資解説(keiei-support-plus-a.com)

  2. 02

    日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金の設備資金返済期間

    出典: 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(公式)

  3. 03

    小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の補助上限・補助率(第20回公募)

    出典: 小規模事業者持続化補助金<一般型 通常枠>第20回公募 公募要領 第8版・2026年7月21日改版(r6.jizokukahojokin.info/doc/r6_koubover8_ip20.pdf)

  4. 04

    持続化補助金 第20回公募の申請受付期間

    出典: 商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金事務局(r6.jizokukahojokin.info)/商工会地区 同事務局(official.jizokukanb.com)

  5. 05

    改装費の税務上の区分(資本的支出と修繕費)

    出典: 国税庁 法人税基本通達 第7章第8節「資本的支出と修繕費」(nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/07/07_08.htm)/タックスアンサー No.5402(nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5402.htm)

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q店舗の改装費は運転資金と設備資金のどちらで申し込めばいいですか?▼
A

内装工事・什器・空調・厨房など長期間使う資産への投資は「設備資金」として申し込むのが基本だ。設備資金は運転資金より返済期間を長く組めるため、月々の返済負担を抑えやすい。仕入や人件費など日常資金は運転資金で別途扱う。

Q改装資金はどのくらいの期間で返済できますか?▼
A

設備資金は長めの返済期間を設定できる。たとえば日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では設備資金の返済期間が20年以内(うち据置期間5年以内)の制度もある。実際の期間は設備の使用見込み年数や事業計画を踏まえ担当者と相談して決まり、上限がそのまま適用されるとは限らない。

Q賃借物件を改装するとき注意すべき点は何ですか?▼
A

退去時に借主負担で原状回復工事を行う義務があるのが一般的で、契約によっては内装をすべて撤去するスケルトン返しを求められることもある。ビルオーナー指定業者で工事するよう定められ高額になる場合もあるため、賃貸借契約書の原状回復特約を確認し、将来の撤去費用まで含めて投資判断する。

Q店舗改装に使える補助金はありますか?▼
A

小規模事業者持続化補助金(一般型・通常枠)の対象になり得る。公募要領では、店舗改装・バリアフリー化工事や利用客向けトイレの改装工事が「委託・外注費」の対象経費例に載っている。第20回公募の基本の補助上限は50万円・補助率2/3で、インボイス特例と賃金引上げ特例の両方を満たすと最大250万円になる。

販路開拓や業務効率化に結びつかない工事、住宅兼店舗の住宅部分の改装、建物の増築・増床は対象外だ。第20回の申請受付は2026年11月5日から12月15日17時までの予定で、第19回は2026年4月30日に終了している(2026年10月2日確認)。

Q補助金と融資は同時に使えますか?▼
A

補助金は後払いのため、採択後も工事代金は自己資金や融資で先に支払う必要がある。補助金と融資を組み合わせてよいかを述べた公式の案内は確認できていないため、融資の相談先と補助金の事務局のそれぞれに確認する。

採択は補助金の支払いや融資を約束するものではない。補助金額は工事の実績報告のあとに確定し、要件を満たしていると認められない場合は交付決定通知書の金額より少なくなることがあるため、返済計画には減額も見込む。

Q改装工事の見積書は何社から取ればいいですか?▼
A

原則として2〜3社から相見積もりを取るのが望ましい。融資・補助金いずれの審査でも見積書は中核となる書類で、複数社の見積もりがあると価格の妥当性を示しやすい。持続化補助金の公募要領は、発注1件が50万円(税込)を超える場合に2者以上からの見積りを求めている。

金額が市場価格から著しくかけ離れているなど、価格が妥当ではないと判断された経費は補助対象外になる。

Q改装費は資本的支出と修繕費のどちらで処理しますか?▼
A

模様替えなど用途変更のための改造・改装に直接要した費用は、国税庁の通達で原則として資本的支出の例とされ、減価償却で数年に分けて費用にします。ただし、一つの修理・改良の費用が20万円未満の場合や、おおむね3年以内の周期で行うことが明らかな場合は、修繕費として処理できます。

資本的支出か修繕費か明らかでない金額は、60万円未満、または対象の固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下なら修繕費にできます(個人事業主は前年12月31日の取得価額)。工事ごとの判定は、見積書の内訳を持って税理士または税務署に確認してください(2026年10月2日確認)。

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