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決算期の変更と融資ガイド|決算月をいつにするか・後から変える手続き

公開: 2026-06-08

法人の決算月(事業年度の区切り)は会社が任意に決められ、設立後でも変更できる。ただし変更には株主総会の特別決議による定款変更と税務署等への届出が必要で、変更した年は事業年度が短く区切られ申告・納税が前倒しになる。本記事は決算月の決め方と変更手続き、資金繰り・融資への影響を整理する。

ポイント

この記事のポイント

決算月は任意に決められ後から変更も可能

事業年度(決算月)は会社法・税法上いつにするかを会社が任意に決められ、設立後でも変更できる。3月決算が多いのは慣習で、3月・9月・12月に集中する傾向はあるが、自社の都合に合わせて選んでよい

出典: クラウド会計ソフト マネーフォワード「決算期は任意で変更可能!メリットや必要な手続きは?」(biz.moneyforward.com/accounting/basic/75437/)/住信SBIネット銀行「決算期はいつにすべき?あとから変更可能?税理士がわかりやすく解説」(netbk.co.jp/contents/hojin/tips/2021/1216_001924.html)

事業年度は1年を超えられない

事業年度は会社法上原則1年以内(法人税法上は例外なく1年を超えられない)。決算期を変更した年は、新しい決算月までで一度区切られるため、12ヶ月未満の短い事業年度となり、その短い期間について申告・納税が発生する

出典: 国税庁「1 事業年度」(nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/070313/02.htm)/ARDOR税理士事務所「決算期は変えられる!決算期の変更手順と注意点」(ardor-tax.jp/management/change-of-fiscal-year/)

変更には株主総会の特別決議による定款変更が必要

事業年度は定款の記載事項のため、変更には株主総会の特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)で定款を変更する必要がある。事業年度は登記事項ではないため、法務局への登記申請は不要

出典: 小谷野税理士法人「決算期変更の手続きの流れについて解説!メリット・デメリットや注意点も」(koyano-cpa.gr.jp/nobiyo-kaikei/column/7224/)/GVA法人登記「決算期変更の手続きとは?議事録ひな形や届出を解説」(corporate.ai-con.lawyer/articles/management/7)

税務署等への異動届出書の提出が必要

事業年度の変更は国税庁の異動届出書(異動事項に関する届出)の対象。決算期を変更したら、遅滞なく所轄の税務署・都道府県税事務所・市区町村へ異動届出書を提出し、変更を決議した株主総会議事録の写しを添付する(議事録の原本は不要)

出典: 国税庁「C1-8 異動事項に関する届出」(nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/hojin/annai/1554_5.htm)/税理士法人センチュリーパートナーズ「事業年度変更の届出手続きと株主総会議事録のひな型」(century-partners.jp/17466985249648)

決算月は繁忙期・大きな入金・納税資金で考える

決算日から原則2ヶ月は決算・申告業務で多忙になるため、本業の繁忙期と重ねない方が決算事務が楽になる。在庫が多い時期を決算月にすると棚卸の負担が増える。大きな売上が入金される月の直後に決算月を置くと、決算後2ヶ月以内に来る納税の資金を確保しやすい

出典: クラウド会計ソフト マネーフォワード「決算期は任意で変更可能!メリットや必要な手続きは?」(biz.moneyforward.com/accounting/basic/75437/)/千代田税理士法人「決算月はいつがいい?決める際のポイント4つと変更方法を紹介」(chiyoda-tax.or.jp/column/establishment/fiscal-term/)

決算月は任意に決められる:「事業年度をどこで区切るか」という設計

法人の決算月とは、1年間の事業年度をどの月末で区切るかを定めたもので、会社が任意に決められる。3月決算の会社が多いのは、国の会計年度や多くの取引先・親会社の決算に合わせる慣習や、株主総会の集中などの事情によるもので、法律で3月と決まっているわけではない。実際には3月・9月・12月に決算が集中する傾向はあるが、これは「合わせると便利な場面が多い」というだけで、自社の事業実態に合わせて何月を決算月にしてもよい。ここで意識したいのは、決算月は単なる事務上の締め日ではなく、「1年分の利益をどの時点で確定し、いつ申告・納税し、いつ銀行に決算書を出すか」を決める設計だという点だ。たとえば季節性の強い事業なら、繁忙期と決算事務が重なるか、納税の時期に手元資金が厚いか薄いかが、決算月の置き方ひとつで変わる。設立時に深く考えず決めた決算月が、数年後に資金繰りや決算事務の負担として効いてくることもあるため、自社の事業サイクルと照らして「どこで1年を区切るのが楽で、資金繰り上も無理がないか」という視点で捉えるとよい。なお本記事は決算月(事業年度の区切り方)の設計に絞る。利益を残すか節税するかといった決算「対策」は別記事(/guide/settlement-measures-loan)で整理している。

決算月の決め方:繁忙期・在庫・納税資金・消費税の4つの軸

決算月を決める・見直すときの代表的な判断軸は4つある。第一に繁忙期だ。決算日からおおむね2ヶ月は、棚卸・帳簿の整理・会計事務所との打ち合わせ・申告書作成といった決算事務が本業に上乗せされる。この時期が本業の最盛期と重なると、現場も経理も手が回らず混乱しやすい。決算月を繁忙期から外すと、落ち着いた時期に腰を据えて決算を組める。第二に在庫(棚卸資産)だ。決算では期末時点の在庫を実地で数える棚卸が必要になるため、在庫が最も積み上がる時期を決算月にすると棚卸作業の負担が大きくなる。在庫が少ない時期を決算月にすれば、棚卸の手間と誤差を減らせる。第三に納税資金だ。決算後おおむね2ヶ月以内に法人税・消費税の申告と納付が来る(届出による延長を除く)。大きな売上が入金される月の直後を決算月に置けば、納税のタイミングに手元資金が厚く、資金繰りに余裕を持って納税できる。逆に大きな仕入や賞与の支払いと納税が重なる時期を決算月にすると、現預金が一気に薄くなりやすい。第四に消費税だ。設立直後の消費税の免税の取り扱いなど、事業年度の区切り方が消費税の計算・負担に影響する場面があるため、これは個社の状況によって有利・不利が分かれる。いずれの軸も「自社にとって何月が最善か」は事業の性質によって変わるため、一律に「◯月が得」とは言えない。判断に迷う場合は税理士に自社の事情を伝えて相談するのが確実だ。

決算月を考えるときの主な判断軸

判断軸考え方狙い
繁忙期決算後2ヶ月の決算事務と本業の最盛期を重ねない決算・申告の負担を平準化する
在庫(棚卸)在庫が最も積み上がる時期を決算月から外す棚卸作業の手間・誤差を減らす
納税資金大きな入金の直後を決算月にする納税時期に手元資金を厚くする
消費税免税の取り扱いなど個社の事情を確認事業年度の区切りによる影響を踏まえる

決算期を後から変更する手続き:定款変更・届出・短い事業年度

決算月は設立後でも変更できる。手順は大きく3段階だ。第一に、株主総会の特別決議で定款を変更する。事業年度は定款の記載事項のため、変更には出席株主の議決権の3分の2以上の賛成による特別決議が必要で、変更を決議した株主総会議事録を作成する。なお事業年度は登記事項ではないため、法務局への登記申請は不要だ(定款記載事項だが登記事項ではない、という点が混同しやすいので注意したい)。第二に、税務署等へ異動届出書を提出する。事業年度の変更は国税庁の異動届出書(異動事項に関する届出)の対象で、決算期を変更したら遅滞なく、所轄の税務署・都道府県税事務所・市区町村へ異動届出書を出し、決議した株主総会議事録の写しを添付する(議事録の原本は不要)。第三に、変更した年の短い事業年度について申告・納税を行う。事業年度は1年を超えられないため、決算月を変更した年は新しい決算月までで一度区切られ、12ヶ月未満の短い事業年度が生じる。この短い期間についても通常どおり決算・申告・納税が必要になり、申告・納税の期限が前倒しで到来する点に注意がいる。手続き自体は難しくないが、変更のタイミングや短い事業年度の税負担・消費税への影響は個社で異なるため、最新の公式情報を確認のうえ税理士に相談して進めるのが確実だ。

決算期変更の手続きの流れ

ステップ内容ポイント
1. 定款変更株主総会の特別決議で事業年度の定款を変更議事録を作成。登記は不要(登記事項ではない)
2. 税務署等へ届出税務署・都道府県・市区町村へ異動届出書を提出議事録の写しを添付し遅滞なく提出
3. 短い事業年度の申告変更した年は12ヶ月未満で区切られ申告・納税申告・納税の期限が前倒しで到来する

融資のタイミングとの兼ね合い:決算書が「最も新しい」状態を意識する

決算月の置き方・変更は、銀行融資のタイミングとも関わる。銀行は融資審査で決算書を重視するため、「直近の決算からどれだけ時間が経っているか」が借入のしやすさに影響しうる。決算直後は1年分の業績が確定した新しい決算書を提示できるのに対し、決算から時間が経つほど決算書の数字は古くなり、銀行は最新の試算表での補足を求めることが多い。業績が好調なら、その業績が反映された決算書が新しいうちに融資を申し込めると、現状を数字で示しやすい。決算期の変更を検討する局面では、変更によって「次の決算がいつ来るか」「短い事業年度の決算書をどう銀行に説明するか」も併せて考えるとよい。短い事業年度の決算書は12ヶ月分の通常の決算書と単純比較できないため、変更の理由(繁忙期や納税資金の都合など)と前後の事業年度の業績を口頭・資料で補足できると、銀行に正しく読まれやすい。決算月そのものを融資のためだけに頻繁に動かすのは現実的ではないが、繁忙期・在庫・納税資金といった本来の決め方の軸を整えた結果として、決算書を最も新しく見せられる時期と融資ニーズが重なるよう意識しておくと、資金調達の局面で動きやすくなる。資金繰りの月次管理は /guide/monthly-cash-forecast 、納税資金の準備は /guide/settlement-measures-loan も参考にしてほしい。

FAQ

よくある質問

Q決算月は会社が自由に決められますか?
A

決められる。法人の事業年度(決算月)は会社が任意に定めてよく、法律で特定の月に決められているわけではない。3月決算が多いのは、国の会計年度や取引先・親会社に合わせる慣習によるもので、自社の事業の繁忙期や資金繰りに合わせて何月を決算月にしても問題ない。設立後でも所定の手続きを踏めば変更できる。

Q決算月を後から変更するには何が必要ですか?
A

事業年度は定款の記載事項のため、株主総会の特別決議(出席株主の議決権の3分の2以上の賛成)で定款を変更し、変更を決議した議事録を作成する。そのうえで所轄の税務署・都道府県税事務所・市区町村へ異動届出書を提出し、議事録の写しを添付する。事業年度は登記事項ではないため、法務局への登記申請は不要だ。

Q決算期を変更した年は申告や納税はどうなりますか?
A

事業年度は1年を超えられないため、決算月を変更した年は新しい決算月までで一度区切られ、12ヶ月未満の短い事業年度が生じる。この短い期間についても通常どおり決算・申告・納税が必要で、申告・納税の期限が前倒しで到来する。変更のタイミングによって税負担や資金繰りへの影響が変わるため、事前に税理士へ確認するのが確実だ。

Q決算月を決めるとき、繁忙期は避けたほうがよいですか?
A

避けたほうが決算事務は楽になる。決算日からおおむね2ヶ月は、棚卸・帳簿整理・申告書作成といった決算業務が本業に上乗せされる。この時期が本業の繁忙期と重なると、現場も経理も手が回らず混乱しやすい。繁忙期を決算月から外せば、落ち着いた時期に腰を据えて決算を組めるため、繁忙期を避けるのは有力な考え方だ。

Q決算月を納税資金の観点から考えるとどうなりますか?
A

決算後おおむね2ヶ月以内に法人税・消費税の申告と納付が来る。大きな売上が入金される月の直後を決算月に置けば、納税のタイミングで手元資金が厚く、資金繰りに余裕を持って納税しやすい。逆に大きな仕入や賞与の支払いと納税時期が重なる決算月にすると、現預金が一気に薄くなりやすいため、自社の入出金の波を踏まえて検討するとよい。

Q決算月の変更は登記が必要ですか?
A

不要だ。事業年度は定款の記載事項だが、商業登記の登記事項ではないため、決算月を変更しても法務局への登記申請は要らない。必要なのは株主総会の特別決議による定款変更と、税務署・都道府県・市区町村への異動届出書の提出だ。定款記載事項と登記事項を混同しやすいので、登記不要だが届出は必要という点を押さえておきたい。

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