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美容室・ヘアサロンの開業資金ガイド|設備と使える融資制度

公開: 2026-06-08

美容室・ヘアサロンの開業資金は、セット面・シャンプー台・内装といった設備資金が中心になる。美容業は「生活衛生関係営業」にあたり、日本政策金融公庫の「生活衛生貸付」が使える点が一般の創業融資と異なる。本記事では生活衛生貸付・新規開業・スタートアップ支援資金・制度融資の使い分けと、面貸し・シェアサロンとの違いを整理する。

ポイント

この記事のポイント

一般貸付(生活衛生貸付)美容業の融資限度額・資金使途

設備資金7,200万円。資金の使いみちは設備資金で、運転資金は対象外。返済期間13年以内(うち据置期間1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)

出典: 日本政策金融公庫「一般貸付(生活衛生貸付)」公式(jfc.go.jp/n/finance/search/32_ippankashitsuke_m.html)

美容業が生活衛生貸付の対象であること

一般貸付(生活衛生貸付)の対象「生活衛生関係の事業を営む方」に理容業・美容業が明記されており、美容室・ヘアサロンは対象になる

出典: 日本政策金融公庫「一般貸付(生活衛生貸付)」公式(jfc.go.jp/n/finance/search/32_ippankashitsuke_m.html)

生活衛生改善貸付の対象者・限度額

融資限度額2,000万円・無担保無保証人。常時使用する従業員数5人以下の会社または個人で、生活衛生同業組合等の長の推薦を受けた小規模事業者が対象

出典: 日本政策金融公庫「生活衛生改善貸付」公式(jfc.go.jp/n/finance/search/34_eiseikaizen_m.html)

新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額・対象者

7,200万円。対象は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)

出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」公式(jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)

美容室・ヘアサロンの資金需要:設備資金が中心になる

美容室・ヘアサロンの開業資金は、設備資金の比重が高いのが特徴だ。施術スペースの中心になるセット面(スタイリングチェアと鏡・セット台)とシャンプー台は美容室固有の什器で、席数に応じて台数を揃えるため設備投資のウェイトが大きい。これに加えてテナントの保証金・敷金、コンセプトに合わせた内装工事(給排水・電気・換気を含むためシャンプー台の設置工事は一般オフィスより重くなりやすい)、カラー剤・パーマ液・トリートメントといった薬剤や消耗品の在庫、タオルやドライヤー等の備品が必要になる。さらに開業直後は集客が安定するまでの家賃・人件費・水道光熱費といった運転資金を別枠で確保しておく必要がある。具体的な金額は立地・席数・規模・居抜きかスケルトンかによって大きく変動するため、内装・設備の見積りを複数業者から取って積み上げ、それに開業後数か月分の運転資金を加えて算定するのが前提になる。設備を一度に新品で揃えるか、中古什器や居抜き物件を活用して初期投資を抑えるかという方針が、必要融資額を大きく左右する。

美容室・ヘアサロン開業時の主な資金項目と性質

資金項目主な内容資金の性質
テナント取得費保証金・敷金・礼金設備資金(長期)
内装工事給排水・電気・換気・シャンプー台設置工事設備資金(長期)
セット面・シャンプー台スタイリングチェア・セット台・鏡・シャンプー台設備資金(長期)・中古/居抜き活用も
薬剤・備品カラー剤・パーマ液・タオル・ドライヤー等運転資金(消耗品・在庫)
当面の運転資金家賃・人件費・水道光熱費・広告宣伝費運転資金(集客が安定するまでの固定費)

なぜ美容室は生活衛生貸付が使えるのか:3制度の使い分け

美容室・ヘアサロンを営む美容業は、理容業・飲食店営業・クリーニング業・旅館業などと並ぶ「生活衛生関係営業」にあたり、日本政策金融公庫の「生活衛生貸付」を利用できる。これが一般の創業融資と決定的に違う点だ。日本政策金融公庫の一般貸付(生活衛生貸付)の対象「生活衛生関係の事業を営む方」には理容業・美容業が明記されている。美容業に関わる主な制度は次の3つになる。①一般貸付(生活衛生貸付):生活衛生関係の事業を営む方が広く使える基本の制度で、美容業の設備資金限度は7,200万円、返済期間は13年以内(うち据置期間1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)。ただし資金の使いみちは設備資金で、運転資金はこの制度では対象外になる。②生活衛生改善貸付:常時使用する従業員数5人以下の小規模事業者向けで、生活衛生同業組合等の長の推薦を受けると融資限度額2,000万円・無担保無保証人で利用できる。担保や保証人を用意しにくい個人開業の美容室に向く。③新規開業・スタートアップ支援資金:生活衛生貸付とは別系統だが、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象に設備資金と運転資金を1制度内で組成できる(後述)。どの制度を使うかは「設備中心か運転資金も要るか」「組合に加入しているか」「規模(従業員数)」で判断し、開業時は公庫の窓口と都道府県の生活衛生営業指導センターに並行して相談するのが効率的だ。

美容室が使える日本政策金融公庫の主な融資制度

制度対象・条件資金使途・特徴
一般貸付(生活衛生貸付)生活衛生関係の事業を営む方(美容業を含む)設備資金(限度7,200万円)。運転資金は対象外
生活衛生改善貸付従業員5人以下+組合等の長の推薦限度2,000万円・無担保無保証人
新規開業・スタートアップ支援資金新規開業または開業後おおむね7年以内設備+運転資金(限度7,200万円)

新規開業・スタートアップ支援資金と制度融資を組み合わせる

一般貸付(生活衛生貸付)は設備資金が対象で運転資金が借りられないため、開業時の運転資金を含めて1制度で組みたい場合は、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」が有力な選択肢になる。対象は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方で、勤務美容師から独立して開業するケースはこの要件に該当する。融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)と長期に組めるため、セット面・シャンプー台・内装の設備資金と、集客が立ち上がるまでの運転資金を同じ制度内でまとめられる。なお、かつての「新創業融資制度」は2024年に廃止されており、現在の創業融資はこの新規開業・スタートアップ支援資金を軸に検討することになる点に注意したい。これを補完する手段が自治体の制度融資だ。都道府県・市区町村の制度融資は信用保証協会の保証を付け、自治体が利子や保証料の一部を補助する仕組みで、地域の信用金庫や地方銀行経由で申し込む。小規模な美容室でも使いやすく、公庫と並行して運転資金枠を確保する補完手段になる。申込にあたっては、美容師としての勤務実績・指名客の状況・想定客単価と来店数を根拠づけた事業計画書(創業計画書)の精度が審査の鍵になるため、複数業者からの見積りと現実的な収支見通しを揃えておくことが重要だ。

独立の形態を先に決める:店舗開業と面貸し・シェアサロンの違い

美容師の独立は、必ずしもテナントを借りて美容室を構えることだけではない。近年は、既存サロンの席を借りて施術する「面貸し」や、施術スペースをシェアして使う「シェアサロン」、サロンと業務委託契約を結んで歩合で働く「業務委託サロン」といった、店舗を持たずに独立する選択肢が広がっている。資金面で見ると、自分の店舗を構える開業は内装工事・セット面・シャンプー台などの設備投資と保証金が必要になり初期投資が大きくなる一方、面貸しやシェアサロンは既存の設備を利用して利用料や売上の一定割合を支払う形のため、内装投資や保証金が発生せず初期費用を抑えてリスクを小さく独立できる。そのため、独立の第一歩として面貸し・シェアサロンで固定客を増やしてから、後にテナントを借りて自分の美容室を開業するという段階的なルートを取る美容師も多い。生活衛生貸付や新規開業・スタートアップ支援資金といった設備資金中心の融資が活きるのは、内装やセット面への投資が発生する「店舗を構える開業」だ。まず独立の形態(店舗開業か面貸し・シェアサロンか)を決め、それによって必要資金の規模と性質(設備資金が大きいのか、運転資金中心なのか)が変わることを踏まえて、どの融資制度を使うかを設計するのが資金計画の出発点になる。

独立形態別の資金の性格

独立の形態初期投資資金の中心
テナントを借りて美容室を開業内装・セット面・シャンプー台・保証金が必要で大きい設備資金(生活衛生貸付・新規開業資金が活きる)
面貸し・シェアサロン既存設備を利用。内装・保証金が発生せず小さい運転資金中心(薬剤・利用料)
業務委託サロン設備はサロン側。歩合で働く初期投資ほぼなし
FAQ

よくある質問

Q美容室・ヘアサロンの開業資金はいくら準備すればよいですか?
A

必要額は立地・席数・規模、居抜きかスケルトンかで大きく変わる。セット面(スタイリングチェア)やシャンプー台といった設備、内装工事、テナントの保証金が設備資金の中心になり、これに薬剤・備品と開業後の運転資金が加わる。具体的な金額は条件で幅が大きいため、内装・設備の見積りを複数業者から取って積み上げ、開業後数か月分の家賃・人件費(運転資金)を加えて算定するのが確実だ。

Q美容室はなぜ日本政策金融公庫の生活衛生貸付が使えるのですか?
A

美容業が「生活衛生関係営業」の業種に含まれているためだ。日本政策金融公庫の一般貸付(生活衛生貸付)の対象「生活衛生関係の事業を営む方」には理容業・美容業が明記されており、理容業・飲食店営業・クリーニング業などと同じ生活衛生関係の事業として、生活衛生貸付(一般貸付・生活衛生改善貸付など)の対象になる。一般の創業融資と並んで業種固有のこの制度を検討できるのが、美容室の資金調達の特徴だ。

Q生活衛生貸付の一般貸付では運転資金も借りられますか?
A

一般貸付(生活衛生貸付)の資金の使いみちは設備資金で、運転資金はこの制度では対象外になる。美容業の設備資金限度は7,200万円、返済期間は13年以内(うち据置期間1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)。開業時の運転資金も含めて1制度でまとめたい場合は、設備資金と運転資金の双方を組成できる「新規開業・スタートアップ支援資金」を使う、または自治体の制度融資で運転資金枠を補完する、といった組み合わせが必要になる。

Q担保や保証人を用意できない個人開業の美容室でも借りられますか?
A

生活衛生改善貸付なら無担保・無保証人で利用できる。常時使用する従業員数5人以下の小規模事業者で、生活衛生同業組合等の長の推薦を受けることが条件で、融資限度額は2,000万円。担保や保証人を準備しにくい個人開業の美容室に向く制度なので、まず生活衛生同業組合や都道府県の生活衛生営業指導センターに加入・相談の可否を問い合わせるとよい。組合への加入と推薦の取得が前提になる点に注意したい。

Q「新創業融資制度」は美容室の開業でまだ使えますか?
A

かつての「新創業融資制度」は2024年に廃止されており、現在は日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」に統合されている。美容室開業の創業融資はこの新規開業・スタートアップ支援資金を軸に検討することになる。融資限度額は7,200万円で、対象は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置5年以内)と長期に組める。申込には適正な事業計画(創業計画書)の提出が必須だ。

Q面貸し・シェアサロンでの独立と店舗を構える開業は、資金面で何が違いますか?
A

テナントを借りて美容室を構える開業は、内装工事・セット面・シャンプー台などの設備投資と保証金が必要で初期投資が大きくなる。一方、面貸しやシェアサロンは既存の設備を利用し利用料や売上の一定割合を支払う形のため、内装投資や保証金が発生せず初期費用を抑えてリスクを小さく独立できる。生活衛生貸付や新規開業・スタートアップ支援資金といった設備資金中心の融資が活きるのは店舗を構える開業のため、まず独立形態を決めてから必要資金と使う融資制度を設計するのがよい。

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