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キッチンカー・移動販売の開業資金ガイド|車両と使える融資

公開: 2026-06-09

キッチンカー(移動販売)の開業資金は、車両本体・厨房設備の架装・営業許可取得費・運転資金に分けて考える。店舗を借りる飲食店より低資本で始めやすい一方、車両を購入(融資)するか中古・リースにするか、調理営業に必要な保健所の営業許可をどう取るか、安定した出店場所をどう確保するかが鍵になる。車両・架装は設備資金として日本政策金融公庫などで組める。

ポイント

この記事のポイント

自動車での調理営業も保健所の許可が必要

キッチンカーで食品を調理・販売する場合、取り扱う食品の種類や車内での作業内容に応じて、保健所の「営業許可」または「営業届出」が必要になる

出典: 北海道(保健福祉部健康安全局食品衛生課)「自動車営業をはじめられる方へ」(pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/kitchen-car.html)

2021年改正食品衛生法で許可業種が整理

2021年6月1日の改正食品衛生法完全施行により、従来別だった喫茶店営業が飲食店営業に統合され(菓子製造業は独立した許可業種として残存)、HACCPに沿った衛生管理も必要になった

出典: 大阪市「自動車(キッチンカー)による営業について」(city.osaka.lg.jp/kenko/page/0000538403.html)

給排水タンクの容量で扱える調理工程が決まる

給排水タンクは約40L(1工程程度の簡易な調理・水はほぼ使わない)/約80L(2工程程度・調理にも水を使う)/約200L(多品目・大量の水や洗浄・下処理が必要)の3区分で、扱えるメニューの幅が変わる

出典: 北海道(保健福祉部健康安全局食品衛生課)「自動車営業をはじめられる方へ」(pref.hokkaido.lg.jp/hf/kse/kitchen-car.html)

車両・架装は設備資金として公庫で組める

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、対象が新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方、融資限度額7,200万円、設備資金は20年以内(据置5年以内)・運転資金は10年以内(据置5年以内)

出典: 日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金(jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)

キッチンカーの開業資金は「車両・架装・許可・運転資金」に分けて考える

キッチンカー(移動販売)の開業資金は、ひとくくりに「いくら」と考えるのではなく、用途ごとに分けて積み上げると見通しが立てやすい。大きくは、ベース車両(軽自動車・小型トラックなど)の取得費、その車両を厨房に仕立てる架装・改装費(シンク・給排水タンク・換気設備・電源・冷蔵庫・調理機器の設置)、保健所の営業許可取得や食品衛生責任者の資格取得にかかる費用、そして仕入れや出店料・燃料費など開業後しばらくを回すための運転資金の4区分だ。店舗型の飲食店が物件取得費・内装工事・保証金といった「不動産まわり」の固定費を抱えるのに対し、キッチンカーはそこが車両に置き換わるため、相対的に低い資本で開業しやすいのが特徴とされる。ただし「車両を買うか・中古やリースにするか」「どこまで自分で調理するか(=必要な給排水容量)」で必要額は大きく変わる。具体的な金額は車両のグレード・架装の仕様・地域や時期で幅があるため、本記事では金額そのものより「どの費目に・なぜお金がかかるか」を押さえることを重視する。実額は車両製作会社や架装業者の見積りで確認してほしい。

架装の仕様は提供メニューと許可要件で決まる

キッチンカーの架装費は「何を売るか」で大きく変わる。ドリンクや温めるだけの軽食なら簡易な設備で足りるが、複数工程の調理や洗い物・下処理が必要なメニューでは、より大きな給排水タンクや追加の設備が要る。前述のとおり保健所の基準では給排水タンク容量(約40L/80L/200L)で扱える調理工程の範囲が分かれるため、「将来こういうメニューを出したい」という構想を先に固め、それに必要な容量・設備を満たす架装にしておくことが、後からの作り直し(追加費用)を避けるうえで重要になる。許可要件と架装仕様は表裏一体なので、車両製作・架装を依頼する前に、出店予定エリアを管轄する保健所に必要設備を確認しておくと安全だ。

自動車での調理営業も保健所の許可が必要(食品衛生法)

キッチンカーは「移動するから店舗より自由」というイメージを持たれがちだが、車内で食品を調理・提供する以上、店舗の飲食店と同じく食品衛生法に基づく手続きが必要になる。具体的には、取り扱う食品の種類や車内での作業内容に応じて、管轄の保健所から「営業許可」を受ける(または「営業届出」を行う)ことが求められる。あわせて、店舗と同様に食品衛生責任者を置く必要がある。2021年6月1日に改正食品衛生法が完全施行され、それ以前は別の許可だった喫茶店営業が「飲食店営業」に統合され(菓子製造業は独立した許可業種として残る)、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理も必要になった。これにより許可の枠組みは整理されたが、「自動車だから許可が要らない」わけではなく、むしろ衛生管理の考え方は店舗と共通化された点に注意したい。重要なのは、許可の基準(必要な設備・給排水容量など)は自治体・保健所ごとに運用の細部が異なり得ること。出店したいエリアを管轄する保健所に、開業準備・車両製作の前段階で必ず確認するのが鉄則だ。

許可は管轄ごと。出店エリアの保健所に事前確認

営業許可は車両を管轄する保健所で取得するのが基本だが、複数の自治体をまたいで出店する場合は、出店先それぞれの自治体の運用も確認しておきたい。給排水タンクの容量で扱えるメニューの範囲が決まるため、許可を取ってから「やりたいメニューが扱えない」と判明すると、架装のやり直しという大きな手戻りになる。準備の順序としては、(1) メニューと販売スタイルを決める、(2) 管轄保健所に必要設備・許可区分を確認する、(3) その要件を満たす車両・架装を製作する、(4) 検査を受けて許可を取得する、という流れが安全だ。条件は自治体・時期で変わるため、最新情報は必ず各保健所の窓口・公式サイトで確認してほしい。

車両は「購入(融資)」か「中古・リース」か

キッチンカーの車両調達には、新車を製作・架装して購入する、すでに営業できる状態の中古車を購入する、リースで月額にする、という選択肢がある。新車製作は内装・設備を自分のメニューに最適化できる反面、準備期間と費用がかさみやすい。中古の架装済み車両は、開業準備期間を大幅に短縮できるのが最大の利点だが、設備や内装のレイアウトが既存仕様に固定されているため、自分のメニューや販売スタイルに合わない場合は追加の改装が必要になることがある。リースは、車両を購入せず月々のリース料で使うため初期費用を抑えやすい一方、リース料が固定費として毎月かかり続ける点に注意がいる。資金面では、車両本体と架装費はいずれも「設備資金」にあたるため、購入する場合はカーローンより金利が低めの事業者向け融資(日本政策金融公庫・銀行・制度融資)を設備資金として使える点が実務上のメリットだ。手元資金をどれだけ温存したいか、開業をどれだけ急ぐか、メニューの自由度をどこまで求めるかで、購入・中古・リースを使い分けるのが現実的だ。

車両・架装は設備資金、仕入れ・出店料は運転資金

融資を申し込むときは、お金の使い道を「設備資金」と「運転資金」に分けて説明できると審査がスムーズだ。車両本体・厨房の架装・調理機器は設備資金にあたり、申込時には車両や架装の見積書を添付して資金使途を明確にする。一方、食材の仕入れ・出店料・燃料費・人件費など開業後しばらくを回す資金は運転資金として申し込む。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では、設備資金は20年以内(据置5年以内)、運転資金は10年以内(据置5年以内)という返済期間が設けられており、設備と運転で返済の組み方が異なる。具体的な適用可否・限度額・期間は制度や時期で変わるため、最新の条件は公庫の支店や取引予定の金融機関に確認するのが確実だ。

キッチンカーの車両調達手段の比較

調達手段主なメリット主な留意点
新車を製作・購入(融資)メニューに合わせて設備・架装を最適化できる/自社資産になる準備期間・費用がかさみやすい/頭金や諸費用がまとまって必要
中古の架装済み車両を購入開業準備期間を大幅に短縮できる設備・レイアウトが固定/メニューに合わなければ追加改装が必要
リース初期費用を抑えやすい/月額で平準化リース料が固定費として毎月かかる/契約条件の確認が必要

使える融資:公庫の創業支援・民間銀行・制度融資

キッチンカーの開業資金で中心的な選択肢になりやすいのが、政府系金融機関である日本政策金融公庫だ。なかでも新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象に、設備資金と運転資金をまかなえる制度で、融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内(据置5年以内)・運転資金10年以内(据置5年以内)とされる。創業段階の事業者向けの制度のため、初めての開業でも相談しやすいのが特徴だ。公庫以外では、民間銀行・信用金庫の事業者向け融資や、自治体・信用保証協会・金融機関が連携する制度融資(自治体が利子や保証料の一部を補助するものもある)も選択肢になる。いずれを使うにせよ、創業時は実績がない分、創業計画書(事業計画書)で「何を・どこで・どう売って返済していくか」を具体的に示せるかが評価を左右する。出店予定先や見込み売上、車両・架装の見積りなど、根拠のある計画を用意したい。なお、ものづくり補助金や小規模事業者持続化補助金などの補助金が開業時に活用できる場合もあるが、補助金は公募要件・時期・採択の有無に左右されるため、融資と補助金は別建てで考え、最新の公募要領を必ず確認することが前提になる。

低資本で始めやすい一方、出店場所の確保が課題

キッチンカーは、店舗の物件取得費・内装工事・保証金といった固定費を抱えずに始められるため、店舗型の飲食店に比べて低い資本で開業しやすいのが大きな魅力だ。半面、収益を安定させる最大のハードルが「出店場所の確保」だ。オフィス街の平日ランチ枠、土日のイベント出店、商業施設の定期枠など、曜日ごとに固定の出店先を押さえられるかどうかで売上の安定度が大きく変わる。近年は出店場所のマッチングサービスやシェアキッチンの普及で初心者でも出店先を探しやすくなった一方、人気エリアは出店枠の競争が激しく、参入のハードルは徐々に上がっているとされる。加えて、雨天・猛暑・極寒など天候による売上変動も移動販売特有のリスクだ。融資の審査でも、この「どこで・どれだけ売れる見込みか」は売上計画の根幹として見られる。安定した定期出店先の見込みや出店契約の状況を計画に落とし込めるほど、返済の裏付けが説明しやすくなる。低資本で始めやすいからこそ、開業後に「売れる場所をどう確保し続けるか」を事業計画の中心に据えることが、資金調達と事業継続の両面で重要になる。

FAQ

よくある質問

Qキッチンカー(移動販売)でも保健所の営業許可は必要ですか?
A

必要です。車内で食品を調理・販売する場合、取り扱う食品の種類や車内での作業内容に応じて、管轄の保健所から「営業許可」を受ける(または「営業届出」を行う)必要があります。店舗の飲食店と同様に食品衛生責任者を置くことも求められます。「自動車だから不要」ということはなく、出店エリアを管轄する保健所に車両製作の前段階で確認するのが安全です。

Q2021年の食品衛生法改正でキッチンカーの許可は何が変わりましたか?
A

2021年6月1日の改正食品衛生法の完全施行により、それ以前は別の許可だった喫茶店営業が「飲食店営業」に統合されました(菓子製造業は独立した許可業種として残ります)。あわせてHACCPに沿った衛生管理が必要になり、衛生管理の考え方が店舗と共通化されています。許可の基準の細部は自治体・保健所ごとに運用が異なり得るため、最新情報は管轄保健所で確認してください。

Qキッチンカーの開業資金はどれくらい必要ですか?
A

車両本体・厨房の架装・営業許可取得費・運転資金(仕入れや出店料)に分けて積み上げて考えます。新車を製作するか中古・リースにするか、どこまで自分で調理するか(必要な給排水容量や設備)で必要額が大きく変わるため、一律の金額では言えません。店舗型の飲食店のような物件取得費・内装工事費がかからない分、低い資本で始めやすいとされます。実額は車両製作会社や架装業者の見積りで確認してください。

Q車両は購入とリースのどちらがよいですか?
A

新車を製作・購入すれば設備をメニューに最適化でき自社資産になりますが、準備期間と費用がかさみやすいです。中古の架装済み車両は準備期間を短縮できる反面、設備が固定でメニューに合わなければ追加改装が必要になります。リースは初期費用を抑えやすい一方、リース料が固定費として毎月かかります。開業を急ぐか・メニューの自由度を求めるか・手元資金をどれだけ残したいかで使い分けるのが現実的です。

Qキッチンカーの開業資金は日本政策金融公庫で借りられますか?
A

日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、車両・架装などの設備資金と運転資金をまかなえます。融資限度額は7,200万円、返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置5年以内)です。創業時は実績がない分、創業計画書で売上と返済の見込みを具体的に示せるかが評価を左右します。最新の条件は公庫の支店に確認してください。

Q車両代や架装費は設備資金と運転資金のどちらで申し込みますか?
A

車両本体・厨房の架装・調理機器は「設備資金」にあたり、申込時に車両や架装の見積書を添付して資金使途を明確にします。食材の仕入れ・出店料・燃料費・人件費など開業後を回す資金は「運転資金」として申し込みます。日本政策金融公庫では設備資金と運転資金で返済期間が異なるため、用途を分けて計画を立てると審査がスムーズです。具体的な適用は金融機関に確認してください。

Qキッチンカーで安定して稼ぐうえで一番の課題は何ですか?
A

出店場所の確保です。オフィス街の平日ランチ枠、土日のイベント、商業施設の定期枠など、曜日ごとに固定の出店先を押さえられるかで売上の安定度が変わります。出店マッチングサービスやシェアキッチンの普及で探しやすくなった一方、人気エリアは競争が激しくなっています。雨天や猛暑などの天候リスクもあるため、定期出店先の見込みを事業計画の中心に据えることが、資金調達と事業継続の両面で重要です。

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