経営者保証改革プログラムは令和4年12月23日に金融庁・財務省・経済産業省が連携で公表した4分野横断の改革施策だ。スタートアップ創業・民間金融機関融資・信用保証付融資・中小企業ガバナンスの4本柱で経営者保証に依存しない融資慣行への移行が進んでいる。
この記事で先に確認すること
- 民間金融機関の経営者保証なし新規融資割合(2023年度)
- 前年から約15%ポイント上昇しほぼ半数に
- 出典: RIETI「現場目線でみた経営者保証改革」(2024年)
SECTION 01
経営者保証改革プログラム公表の背景と4分野の全体像
経営者保証改革プログラムは令和4年12月23日に金融庁・財務省・経済産業省(中小企業庁)が連携で公表した改革施策だ。経営者保証は経営の規律付けや信用補完の機能がある一方、スタートアップ創出の阻害要因や思い切った事業展開の足かせになっているとの問題意識が背景にある。
プログラムは①スタートアップ・創業、②民間金融機関による融資、③信用保証付融資、④中小企業のガバナンス、の4分野に重点を置く構成で、各分野で具体的な制度創設・監督指針改正・支援態勢構築が動いている。単発の制度改正ではなく、複数の関係省庁と金融機関が連動して動く中期的な構造改革として位置付けられている点が特徴だ。
SECTION 02
4分野それぞれの主要施策と現在の進捗状況
第1の柱「スタートアップ・創業」では、令和5年3月15日から「スタートアップ創出促進保証制度」が開始され、創業時の経営者保証を不要にする信用保証メニューが整備された。第2の柱「民間金融機関による融資」では、2023年4月の監督指針改正により、金融機関が経営者保証を求める際に「どの部分が不十分なのか」「どう改善すれば解除できるのか」を個別具体的に説明する義務が課された。
第3の柱「信用保証付融資」では、ガイドライン3要件を充たさなくても保証料の上乗せや流動資産担保で経営者保証の解除を選択できる制度が創設された。第4の柱「中小企業のガバナンス」では、中小企業活性化協議会の機能強化と支援機関向け実務指針の策定が進められ、ガバナンス整備と保証解除を一体で進める枠組みが整いつつある。
SECTION 03
経営者・事業者として今から活用できる実務的な動き方
改革プログラムの恩恵を実務で受けるためには、自社のフェーズに応じて適切な窓口に当たることが要点になる。
創業前後であれば信用保証協会のスタートアップ創出促進保証制度を取扱金融機関経由で打診する。既存事業者で民間融資の保証解除を狙う場合は、2023年改正後の監督指針を踏まえ、銀行担当者に「なぜ保証が必要か」「何を改善すれば解除できるか」の説明を文書で求める交渉が現実的だ。
信用保証付融資を利用中の事業者は、保証料上乗せ型の保証解除メニューを保証協会に照会する。財務基盤に不安があってもガバナンス整備で道が開ける可能性があるため、中小企業活性化協議会や認定経営革新等支援機関への相談を並行で進めることが有効だ。
SECTION 04
経営者保証を見直すための社内整備を確認する
経営者保証の見直しは、制度名を伝えるだけで決まるものではありません。
法人と経営者個人の資産・経理を分け、役員貸付金や私的支出の処理を確認し、決算書・試算表・資金繰りを適時に提出できる状態を作ります。金融機関へは、保証を求める理由、保証範囲、解除や見直しの条件、代替となる担保・契約条件を確認してください。
創業、借換え、事業承継では利用できる制度や手続きが異なるため、金融庁、中小企業庁、信用保証協会の最新資料を照合し、個別案件の取扱いを相談先へ確認します。相談時の回答と見直し条件は記録し、決算更新や借換えなど再協議する時期を金融機関と共有します。
SOURCES
この記事で参照した根拠
- 01
プログラム公表日
- 02
- 03
スタートアップ創出促進保証制度の開始日
- 04
民間金融機関の経営者保証なし新規融資割合(2023年度)
出典: RIETI「現場目線でみた経営者保証改革」(2024年)
数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q経営者保証改革プログラムはいつ・どの省庁が公表したものですか?▼
令和4年(2022年)12月23日に金融庁・財務省・経済産業省(中小企業庁)が連携で公表した改革施策だ。経営者保証に依存しない融資慣行を加速させるため4分野で具体策をパッケージにした構成になっている。
Q4分野とは具体的に何を指していますか?▼
①スタートアップ・創業②民間金融機関による融資③信用保証付融資④中小企業のガバナンスの4分野だ。それぞれで制度創設・監督指針改正・実務指針策定が連動して進められており、単発の改正ではなく中期的な構造改革として設計されている。
Q民間金融機関の対応はどの程度進んでいますか?▼
2023年4月の監督指針改正以降、民間金融機関の経営者保証なし新規融資の割合は2023年度に前年から約15%ポイント上昇し、新規融資のほぼ半数が経営者保証に依存しない水準まで進んだとされる。改革の効果は数値で表れている。
Q信用保証付融資で経営者保証を外す方法はありますか?▼
ガイドラインの3要件を充たさない場合でも、保証料の上乗せや流動資産担保などの条件を選ぶことで経営者保証の解除を事業者が選択できる制度が改革プログラムで創設された。詳細は所管の信用保証協会に照会することが第一歩になる。
Q中小企業のガバナンス整備はどこから始めればよいですか?▼
中小企業活性化協議会や認定経営革新等支援機関への相談から始めるのが現実的だ。改革プログラムでは支援機関向けの実務指針が策定され、ガバナンス整備と経営者保証解除を一体で進める官民支援態勢が整えられつつある。
関連銀行
記事に関連する銀行
関連する用語
この記事に出てくる用語を確認する
関連記事
次に確認したい記事
自治体制度融資の完全ガイド:保証協会との関係
都道府県・市区町村の制度融資の仕組みを解説。自治体・金融機関・信用保証協会の三者協調、利子補給・保証料補助の代表例、申込手順までまとめました。
IT・スタートアップの資金調達ガイド:銀行融資を無担保で受ける条件と準備
IT企業・スタートアップの資金調達で銀行融資を受けるための審査通過条件を解説。担保がない場合の対処法、VCとの使い分け、日本政策金融公庫の活用法をまとめます。
カラオケボックスの開業・設備資金ガイド|使える融資制度
カラオケボックス開業の防音内装・カラオケ機器・厨房・運転資金を整理。重い設備投資の調達、飲食店営業許可・深夜営業の留意点、日本政策金融公庫や機器リースと購入の使い分けを解説します。
ネイルサロンの開業資金ガイド|小規模開業と使える融資
ネイルサロンの開業資金(ネイルテーブル・内装・材料在庫・運転資金)と使える融資を整理。低資本で開業しやすい一方で物件・内装・集客に資金が要ること、自宅サロンとテナントの資金規模の違い、日本政策金融公庫の新規開業資金や制度融資、面貸し・1人開業まで解説します。