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経営者保証なしで借りる:事業者選択型特別保証制度の使い方

公開: 2026-06-06

事業者選択型経営者保証非提供制度は、信用保証付融資で保証料率の上乗せ(0.25%または0.45%)を条件に経営者保証を外せる仕組みだ。申込の入口は取扱金融機関で、要件確認書兼誓約書の提出が必要になる。本記事は申込手順と利用要件、そして「上乗せを払ってまで外すべきか」の判断軸を実務目線で整理する。

ポイント

この記事のポイント

制度の取扱開始日

2024年(令和6年)3月15日から保証申込の受付を開始

出典: 中小企業庁「保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始します」(2024年3月15日)https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2024/240315.html

上乗せされる保証料率

直近決算で債務超過でなく、かつ直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でない場合は所定料率に0.25%、いずれか一方のみまたは設立後2事業年度の決算がない場合は0.45%

出典: 中小企業庁「保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始します」(2024年3月15日)https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2024/240315.html

申込時の必要書類

「事業者選択型経営者保証非提供制度」要件確認書兼誓約書の提出が必要。申込・相談の窓口は取扱金融機関または最寄りの信用保証協会

出典: 東京信用保証協会「保証料の上乗せで経営者保証が不要となる制度について」https://www.cgc-tokyo.or.jp/institution/guideline_2024/jigyoshasentakugata_20243015.html

プロパー融資借換特別保証制度(別制度)による経営者保証の解除

既往のプロパー融資(経営者保証あり)は、本制度とは別の「プロパー融資借換特別保証制度」(2024年3月開始)により経営者保証なしの信用保証付融資へ借り換えられる。資産超過・EBITDA有利子負債倍率15倍以内・法人個人の分離などの要件がある

出典: 中小企業庁「保証料率の上乗せにより経営者保証を提供しないことを選択できる信用保証制度等を開始します」(2024年3月15日)https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/2024/240315.html

この制度で何ができるか:保証料の上乗せと引き換えに経営者保証を外す

事業者選択型経営者保証非提供制度は、信用保証協会の保証付融資において、一定の要件を満たす中小企業者が「保証料率の上乗せ」を条件に経営者保証(代表者の連帯保証)を提供しないことを選択できる制度で、2024年3月15日から保証申込の受付が始まった。従来は財務状況が良くても金融機関や保証協会の判断で経営者保証を求められる場面があったが、本制度では事業者側が上乗せを払う意思を示すことで、保証なしの選択肢を自ら取りに行ける。上乗せ幅は財務要件の充足状況で2段階に分かれ、直近決算で債務超過でなく、かつ直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でなければ所定料率に0.25%、いずれか一方のみまたは設立後2事業年度の決算がない場合は0.45%が上乗せされる。重要なのは、これは「審査に通れば自動で保証が外れる」制度ではなく、上乗せコストを受け入れて経営者が能動的に選ぶ制度だという点だ。だからこそ申込前に「外すべきか」「上乗せを払う価値があるか」という判断が先に来る。

申込手順:取扱金融機関を入口に、要件確認書兼誓約書を出す

本制度は信用保証協会の保証付融資の枠組みで動くため、申込の入口は取扱金融機関(メインバンク等)または最寄りの信用保証協会になる。実務の流れは、まず融資の相談時に「経営者保証を外したい」「事業者選択型経営者保証非提供制度を使いたい」と担当者に明示することから始まる。そのうえで自社が利用要件を満たすかを金融機関・保証協会と確認し、満たす場合は「事業者選択型経営者保証非提供制度」要件確認書兼誓約書を提出する。この誓約書は、利用要件(とくに代表者貸付金がないこと・役員報酬が社会通念上相当であること等)を継続して満たす旨を約束する書類で、提出が制度利用の前提になる。なお、既往のプロパー融資(経営者保証あり)を抱えている場合は、本制度とは別の「プロパー融資借換特別保証制度」(2024年3月開始)により、経営者保証なしの信用保証付融資へ借り換える道がある。ただし資産超過・EBITDA有利子負債倍率15倍以内・法人個人の分離などの要件を満たす必要があり、借換の対象は信用保証付融資ではなくプロパー融資である点に注意する。最終的な保証料率や必要書類の細部は協会ごとに運用差があるため、所管の信用保証協会への照会で確定させる。

担当者への伝え方と、確認すべき2つの分岐

銀行担当者には「経営者保証を外す意思があること」と「制度の利用希望」をまず伝える。そのうえで確認すべき分岐が2つある。第一に、自社が上乗せ0.25%区分か0.45%区分か(直近決算が債務超過でないか・直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でないかの財務要件)。区分によって払う上乗せが倍近く変わるため、決算内容を持参して一緒に判定するのが早い。第二に、そもそも上乗せを払わずに「経営者保証に関するガイドライン」の3要件(法人個人の資産分離・財務基盤の強さ・適時適切な情報開示)で保証を外せないか。ガイドラインで外せるなら上乗せコスト自体が不要になるため、本制度はその選択肢が取れない場合の現実解として位置づくことを理解しておく。経営者保証の解除全体の流れは /guide/manageguarantee-reform-program を、廃業時に保証債務を整理して再起する道筋は /guide/withdrawal-personal-guarantee-2026 を参照されたい。

外すべきか外さざるべきか:上乗せ負担とメリットのトレードオフで決める

本制度を使うかどうかは、上乗せ保証料という確定コストと、経営者保証を外して得られるメリットを天秤にかける判断だ。保証を外すメリットは、事業のリスクと経営者個人の資産(自宅・預金等)を切り離せること、万一の廃業・倒産時に個人破産へ直結しにくくなること、事業承継時に後継者が個人保証を引き継ぐ心理的ハードルが下がることなどがある。一方の確定コストは、毎期発生する上乗せ保証料(0.25%または0.45%)だ。借入額が大きく保証期間が長いほど上乗せの絶対額は積み上がるため、「いくらの保証を何年付けるか」で負担総額を試算してから判断する。判断の順序としては、まず上乗せなしでガイドライン3要件により外せないかを確認し、それが難しい場合に本制度の上乗せ負担を評価する。さらに、その上乗せ負担を国の補助で一部圧縮できる時限措置(事業者選択型経営者保証非提供促進特別保証制度=国補助制度)があり、補助率は申込時期で逓減する。コスト最小化の観点と申込タイミングの詳細は /guide/personal-guarantee-premium-subsidy-2026 で整理しているため、本制度を使うと決めたら補助の枠が手厚いうちに動くのが合理的だ。

上乗せ区分を1段階下げる準備:決算前に着手する

使うと決めたなら、上乗せ幅の小さい0.25%区分を狙えるよう決算内容を整えるのが実務の核心になる。区分を左右するのは財務要件(債務超過でないこと/直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でないこと)で、両方満たせば0.25%、片方だけなら0.45%だ。加えて利用要件には「直近決算で代表者等への貸付金等がないこと」「役員報酬等が社会通念上相当と認められる額を超えていないこと」が含まれるため、代表者貸付金の解消や役員報酬の適正化は決算を締める前に着手しないと間に合わない。決算期の数か月前から税理士とこれらの論点を共有しておくことが、上乗せ区分を下げ、そもそも要件を満たすうえでの現実的な打ち手になる。具体的な保証料率は信用力に応じた協会所定の料率に上乗せされるため、最終料率は所管の信用保証協会への照会で確定させること。

FAQ

よくある質問

Q事業者選択型経営者保証非提供制度とは何ですか?
A

信用保証協会の保証付融資において、一定の要件を満たす中小企業者が保証料率の上乗せを条件に経営者保証(代表者の連帯保証)を提供しないことを選択できる制度です。2024年3月15日から保証申込の受付が始まり、事業者側が能動的に「保証なし」を選べる点が特徴です。

Qどこに、どうやって申し込めばよいですか?
A

申込・相談の入口は取扱金融機関(メインバンク等)または最寄りの信用保証協会です。融資相談時に経営者保証を外したい旨と制度の利用希望を担当者に伝え、利用要件を確認したうえで「事業者選択型経営者保証非提供制度」要件確認書兼誓約書を提出します。必要書類の細部は協会ごとに運用差があるため所管協会に照会してください。

Q保証料はどのくらい上乗せされますか?
A

直近決算で債務超過でなく、かつ直近2期連続で減価償却前経常利益が赤字でない場合は所定の保証料率に0.25%、いずれか一方のみまたは設立後2事業年度の決算がない場合は0.45%が上乗せされます。最終的な保証料率は信用力に応じた協会所定の料率に上乗せされるため、所管の信用保証協会への照会で確定します。

Q今ある経営者保証付きの借入をこの制度で外せますか?
A

本制度そのものではなく、別の「プロパー融資借換特別保証制度」(2024年3月開始)を使う方法があります。経営者保証付きの既往プロパー融資を、経営者保証なしの信用保証付融資へ借り換える制度で、資産超過・EBITDA有利子負債倍率15倍以内などの要件を満たせば利用できます(信用保証付融資の借換は対象外)。取扱金融機関に可否を確認してください。

Q上乗せを払ってまで経営者保証を外すべきですか?
A

上乗せ保証料という確定コストと、事業リスクと個人資産を切り離せるメリットを天秤にかけて判断します。借入額が大きく保証期間が長いほど上乗せの絶対額は積み上がるため、負担総額を試算してから決めます。まず上乗せなしでガイドライン3要件により外せないかを確認し、難しい場合に本制度の上乗せ負担を評価する順序が合理的です。

Q上乗せ負担を軽くする方法はありますか?
A

2つあります。1つは上乗せ幅の小さい0.25%区分を狙えるよう、決算前に代表者貸付金の解消・役員報酬の適正化・財務要件の充足を整えること。もう1つは上乗せ分の一部を国が補助する時限措置(国補助制度)を使うことで、補助率は申込時期で逓減します。詳細は /guide/personal-guarantee-premium-subsidy-2026 を参照してください。

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