ゼロゼロ融資の据置明け2026年最終ピーク|返済が苦しい時の対応策と借換保証
公開: 2026-06-07
民間ゼロゼロ融資の返済負担を軽減するために導入されたコロナ借換保証は、約8割が据置2年以内で組まれており、その据置期間明けが2026年4〜9月に最終ピークを迎える。借換保証自体は2024年6月末で新規申込が終了済みで、今から使える対応策は別制度になる。返済が苦しくなる前にとるべき手を、早期相談→借換・別枠保証→協議会再生の順に整理する。
この記事のポイント
コロナ借換保証の据置明け最終ピーク
据置期間明けによる返済開始が2026年4月から9月に最後のピークを迎える(コロナ借換保証は2025年2月末で30.1万件利用、うち約8割が据置2年以内)
出典: 東京商工リサーチ「2月の『ゼロゼロ融資』利用後倒産は27件 返済開始の最後のピークを控え」(tsr-net.co.jp)
コロナ借換保証は新規申込終了済み
2024年6月末で申込受付終了(令和6年能登半島地震の被害を受けた石川県内の災害救助法適用地域を除く)。保証限度額1億円・保証期間10年以内(据置5年以内)だった
出典: 中小企業庁「民間ゼロゼロ融資等の返済負担軽減のための保証制度(コロナ借換保証)を開始します。」(chusho.meti.go.jp/kinyu/sinyouhosyou/karikae.html)/全国商工団体連合会「6月末で終了、民間ゼロゼロ融資の『コロナ借換保証』」
経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)の枠組み
取扱期限2027年3月31日まで(取扱開始は令和7年3月14日)。保証限度額2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)・保証期間15年以内・据置3年以内・保証料率0.4%(国の補助後)
出典: 三重県信用保証協会「経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証:経営改善・再生支援強化型)」(cgc-mie.or.jp)/神奈川県信用保証協会 公式制度ページ
中小企業活性化協議会の相談
全国47都道府県に設置。収益力改善・再生支援・再チャレンジ支援の3本柱で、一次相談は無料・秘密厳守。経営改善計画策定支援では認定支援機関への報酬の3分の2を協議会が負担
出典: 中小企業庁「中小企業活性化協議会」公式ページ/起業の「わからない」を「できる」に「ゼロゼロ融資を返済しないとどうなる?」
ゼロゼロ融資利用後倒産の累計
2020年7月からの累計倒産は2,333件に達した(2026年4月時点。同月単月は21件、前年同月比22.2%減で小康状態)
出典: 東京商工リサーチ「4月の『ゼロゼロ融資』利用後の倒産 21件 借換保証返済開始ピークの最中も小康状態」(tsr-net.co.jp)
なぜ2026年4〜9月が「最後のピーク」なのか:据置設計の帰結
新型コロナ対策として広がった民間ゼロゼロ融資(実質無利子・無担保融資)は、当初の据置期間を終えた事業者が次々と返済を開始してきた。その返済負担をさらに軽減するために2023年1月から導入されたのがコロナ借換保証で、2025年2月末時点で30.1万件が利用された。重要なのは、この借換保証の約8割が据置2年以内で組まれていた点だ。借換保証の取扱は2023〜2024年に集中したため、据置2年がそこから順に明け、据置期間が終わって元金返済が始まる時期が2026年4月から9月に集中する。これがコロナ関連融資の「最後のピーク」と呼ばれる理由だ。物価高で価格転嫁が進まず、原材料・人件費の上昇に金利上昇が重なり、利益で返済を賄えない企業ほど据置明けで資金繰りが一気に苦しくなる。ゼロゼロ融資利用後倒産の累計は2026年4月時点で2,333件に達しており、単月では小康状態にあるものの、据置明けの集中局面では再び増勢に転じる懸念が指摘されている。
コロナ関連融資の返済局面と据置設計
| 局面 | 時期の目安 | 事業者に起きること |
|---|---|---|
| ゼロゼロ融資の当初据置明け | 2022〜2023年 | 元金返済が始まり、借換保証への切替が進む |
| コロナ借換保証の申込受付 | 2023年1月〜2024年6月末 | 据置を付け直して返済を先送り(約8割が据置2年以内) |
| 借換保証の据置明け最終ピーク | 2026年4〜9月 | 据置2年が順に明け、元金返済が再開・集中する |
| 据置明け後 | 2026年10月以降 | 返済を続けられるか、対応策が必要かが分かれる |
借換保証はもう申し込めない:今から使える対応策の地図
注意すべきは、報道や金融機関でよく名前が挙がる「コロナ借換保証」自体は2024年6月末で新規申込受付が終了している点だ(能登半島地震の被害を受けた石川県内の災害救助法適用地域を除く)。当時の条件は保証限度額1億円・保証期間10年以内(据置5年以内)・保証料率0.85%から0.2%への大幅引下げという手厚いものだったが、据置明けで返済が苦しくなった今から新たに申し込むことはできない。したがって2026年の据置明け局面でとるべき手は、①金融機関への早期相談(リスケ=返済条件変更)、②後継制度である経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)の活用、③中小企業活性化協議会への相談、の3本立てになる。共通する鉄則は「返済できなくなってから動く」のではなく「据置明けが見えた段階で先に動く」ことだ。延滞してから相談すると、すでに事故扱いとなり選べる手が狭まる。資金繰り表で返済開始月を可視化し、利益償還が苦しいと判明した時点で、まずメインバンクの担当者に相談を持ち込むのが起点になる。
まずリスケ(返済条件変更)で時間を作る
リスケジュールは、毎月の返済額を一時的に減額・元金据置にして資金繰りを立て直す手段だ。金融機関は「経営行動計画書(経営改善計画)」をもとに継続的に伴走支援を行う前提でリスケに応じることが多い。リスケ自体は新規融資ではなく既存債務の条件変更なので、据置明けで返済が重くなった企業がまず時間を作るための現実的な一手になる。ただしリスケ中は新規融資が原則止まるため、リスケはゴールではなく「次の打ち手を準備する猶予期間」と位置づけるべきだ。
後継制度「経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)」を使う
コロナ借換保証の役割を引き継ぐ位置づけにあるのが、経営改善サポート保証(事業再生計画実施関連保証)の「経営改善・再生支援強化型」だ。これは新型コロナの影響で借入が過大になり、物価高や人手不足の影響で厳しい状況にある中小企業向けに、経営サポート会議や経営改善計画策定支援事業(405事業)等で作成した経営改善・再生計画に基づき、改善・事業再生に必要な資金を信用保証協会の保証付き融資で支援する制度だ。取扱期限は2027年3月31日まで(取扱開始は令和7年3月14日)、保証限度額は2億8,000万円(組合等は4億8,000万円)、保証期間15年以内・据置3年以内、保証料率は0.4%(国の補助後)と設定されている。コロナ借換保証との決定的な違いは、この制度が「経営改善・再生計画の策定とセット」で実行される点だ。単に返済を先送りするのではなく、計画に基づいて資金を入れ替えるため、金融機関から見ても管理された債権になり、伴走支援を受けながら立て直す枠組みになる。最長3年の据置と国による保証料補助が、据置明けで圧迫された資金繰りに余裕を生む。
コロナ借換保証(終了)と経営改善サポート保証(現行)の比較
| 項目 | コロナ借換保証(2024年6月末で終了) | 経営改善サポート保証 経営改善・再生支援強化型(2027年3月末まで) |
|---|---|---|
| 新規申込 | 不可(受付終了済み) | 可(2027年3月31日まで) |
| 保証限度額 | 1億円 | 2億8,000万円(組合等4億8,000万円) |
| 据置期間 | 5年以内 | 3年以内 |
| 前提 | 経営行動計画書+金融機関の伴走支援 | 経営改善・再生計画(405事業・経営サポート会議等で策定) |
計画も再建も独力で無理なら:中小企業活性化協議会へ相談する
経営改善サポート保証の前提となる「経営改善・再生計画」を自力で作るのが難しい、あるいはリスケでも資金繰りが回らないという段階では、中小企業活性化協議会への相談が次の一手になる。協議会は全国47都道府県に設置された公的機関で、金融機関出身者・公認会計士・税理士・中小企業診断士などの専門家が、企業と金融機関の間に入って計画策定や条件調整を支援する。支援メニューは収益力改善支援・再生支援・再チャレンジ支援の3本柱で、一次相談は無料・秘密厳守のため、銀行に知られたくない段階でもまず相談から始められる。協議会が支援する経営改善計画策定支援事業(405事業)では、経営者が認定経営革新等支援機関に支払う報酬の3分の2を協議会が負担する。協議会が策定を支援した再生計画を土台に経営改善サポート保証で資金を入れるという連携も実務上の定石だ。再建が困難と判断された場合でも、協議会の再チャレンジ支援によって、円滑な廃業や経営者保証ガイドラインに基づく保証債務の整理など、経営者個人の生活再建への道筋を相談できる。据置明けで「もう無理だ」と抱え込む前に、無料の一次相談で選択肢を棚卸しすることが、最悪の事態を避ける最短ルートになる。
よくある質問
Qコロナ借換保証は今からでも申し込めますか?▼
申し込めない。コロナ借換保証は2024年6月末で新規申込受付が終了している(令和6年能登半島地震の被害を受けた石川県内の災害救助法適用地域を除く)。据置明けで返済が苦しくなった2026年時点では、金融機関へのリスケ相談、後継の経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)の活用、中小企業活性化協議会への相談が現実的な選択肢になる。
Qなぜ2026年4〜9月が返済の最終ピークと言われるのですか?▼
コロナ借換保証は2025年2月末で30.1万件利用され、その約8割が据置2年以内で組まれていた。借換保証の取扱が2023〜2024年に集中したため、据置2年が順に明けて元金返済が始まる時期が2026年4月から9月に集中する。これがコロナ関連融資の最後のピークと呼ばれる理由だ。
Q据置明けで返済が苦しくなりそうです。最初に何をすべきですか?▼
まず資金繰り表で返済開始月を可視化し、利益で返済を賄えるか確認する。苦しいと分かった時点で、延滞する前にメインバンクの担当者へ早期相談する。延滞してから動くと事故扱いになり選べる手が狭まるため、据置明けが見えた段階で先に動くのが鉄則だ。
Q経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)はどんな制度ですか?▼
コロナの影響で借入が過大になり物価高・人手不足で厳しい中小企業向けに、経営改善・再生計画に基づき改善・再生資金を信用保証協会の保証付き融資で支援する制度。取扱期限2027年3月31日、保証限度額2億8,000万円(組合等4億8,000万円)、保証期間15年以内・据置3年以内、保証料率0.4%(国の補助後)。経営改善計画策定とセットで使う点がコロナ借換保証と異なる。
Q経営改善計画を自力で作れません。どこに相談すればよいですか?▼
中小企業活性化協議会に相談できる。全国47都道府県に設置された公的機関で、専門家が企業と金融機関の間に入って計画策定や条件調整を支援する。一次相談は無料・秘密厳守。経営改善計画策定支援事業(405事業)では認定経営革新等支援機関への報酬の3分の2を協議会が負担する。
Qリスケをすると新規融資は受けられなくなりますか?▼
リスケ中は新規融資が原則止まる。リスケは既存債務の条件変更で資金繰りの時間を作る手段であり、ゴールではなく次の打ち手を準備する猶予期間と位置づけるべきだ。経営改善計画の進捗を金融機関に継続報告し、計画とセットで経営改善サポート保証などの公的制度を活用していくことで、正常化と新規調達への道筋が開ける。
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