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経営セーフティ共済(倒産防止共済)の借入活用|取引先倒産と一時貸付

公開: 2026-06-07

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、銀行融資ではなく中小機構の共済制度を使った借入手段だ。取引先が倒産したときの「共済金の借入」(掛金総額の10倍・上限8,000万円・無担保無保証・無利子)と、倒産がなくても使える「一時貸付金」(760万円まで・期間1年)の2つを備える。掛金は損金算入でき、平時から積み立てておくことで連鎖倒産対策と一時資金の両方に効く。

ポイント

この記事のポイント

共済金の借入限度額

回収困難となった売掛金債権等の額と、掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ない額。無担保・無保証人・無利子

出典: 中小機構 経営セーフティ共済「共済金の借入条件」

共済金借入の実質コスト(1/10控除)

無利子だが、借入金額の10分の1に相当する額が納付済み掛金から控除され、その掛金の権利が消滅する

出典: 中小機構 経営セーフティ共済「共済金の借入条件」

一時貸付金の限度額・期間

解約手当金の95%の範囲内で最高760万円。借入期間は1年。利率は変動(令和6年4月1日時点 年0.9%)で利息は借入時に一括前払い

出典: 中小機構 経営セーフティ共済「一時貸付金制度」

2024年10月の再加入規制

2024年10月1日以後に解約して再加入する場合、解約日から2年を経過する日までに支出する掛金は損金・必要経費に算入できない

出典: 中小企業庁・中小機構 制度改正資料

取引先倒産時の「共済金の借入」が制度の本体

経営セーフティ共済の中核は、取引先事業者が倒産して売掛金等の回収が困難になったときに受けられる「共済金の借入」だ。借入できる額は、回収が困難となった売掛金債権等の額と、納付した掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ない額になる。たとえば掛金総額が300万円なら借入枠は最大3,000万円、回収困難額が2,000万円ならそのうち少ない2,000万円が借入額となる。無担保・無保証人で、保証協会の保証も不要、銀行のような審査期間や格付けの影響も受けにくいのが共済固有の強みだ。返済は借入額に応じて5年(5,000万円未満)・6年(5,000万円以上6,500万円未満)・7年(6,500万円以上8,000万円以下)で、いずれも6か月の据置期間を含む。利息はかからないが「無料」ではない点に注意が必要で、借入金額の10分の1に相当する額が納付済み掛金から控除され、その掛金の権利が消滅する。実質的には借入額の10%を積立金から失う形のコストと理解しておくとよい。

倒産がなくても使える「一時貸付金」と節税効果

取引先が倒産していなくても、契約者が臨時に事業資金を必要とする場合には「一時貸付金」を利用できる。借入限度額は、その時点で解約した場合に支払われる解約手当金の95%の範囲内で、最高760万円だ。共済金の借入と違い、こちらは利息が発生する(利率は金融情勢により変動し、令和6年4月1日時点で年0.9%)。利息は借入時に一括前払いで、借入期間は1年と短期のつなぎ資金向けになる。さらに見逃せないのが節税効果で、毎月の掛金(月5,000円〜20万円の範囲で選択、総額800万円まで積立可能)は法人なら損金、個人事業主なら必要経費に算入できる。平時に掛金を積み立てて課税所得を圧縮しつつ、いざというときは共済金借入・一時貸付金として手元資金に転換できるため、節税と資金繰り対策を同時に進められる設計になっている。

共済金の借入と一時貸付金の比較

項目共済金の借入一時貸付金
利用できる場面取引先が倒産し売掛金等の回収が困難倒産していなくても臨時資金が必要なとき
限度額掛金総額の10倍・最高8,000万円解約手当金の95%・最高760万円
利息無利子(ただし借入額の1/10を掛金から控除)有利子(変動・一括前払い)
借入期間5〜7年(据置6か月含む)1年
担保・保証人無担保・無保証人無担保・無保証人

2024年10月改正と加入・活用の実務ポイント

2024年10月1日からの制度改正で、解約後に再加入する場合の取り扱いが厳しくなった。具体的には、解約した日からその2年を経過する日までの間に支出する掛金は、損金または必要経費に算入できなくなった。これは「加入後3〜4年目に解約手当金が満額に近づくと解約し、すぐ再加入して再び損金算入する」という節税目的の短期回転利用を制限する措置だ。実務上は、安易な解約・再加入は2年間の節税メリットを失うことになるため、加入月数が40か月以上(解約手当金が掛金全額相当に達する目安)になるまで継続する、掛金を一時的に減額する「掛止め」を活用する、といった対応が現実的になる。なお共済金の借入はあくまで取引先倒産という事由が前提であり、平時の運転資金は一時貸付金や銀行融資・日本政策金融公庫の制度融資と役割を分けて考えるのがよい。共済は「連鎖倒産という最悪の事態への備え」と「掛金による節税」を主目的に据え、通常の設備・運転資金は金融機関融資で賄う組み合わせが、中小企業にとって無理のない資金戦略になる。

FAQ

よくある質問

Q経営セーフティ共済の共済金借入は無利子と聞きましたが、本当にコストはかからないのですか?
A

金利という形の利息はかからないが、完全に無料ではない。借入金額の10分の1に相当する額が、納付済みの掛金から控除され、その分の掛金の権利が消滅する。たとえば1,000万円を借りると100万円分の積立を失う形になるため、実質的には借入額の10%相当のコストが発生すると理解しておく必要がある。

Q共済金の借入はいくらまで受けられますか?
A

回収が困難となった売掛金債権等の額と、納付した掛金総額の10倍(最高8,000万円)のいずれか少ない額が借入限度となる。掛金総額が少ない加入初期は借入枠も小さくなるため、平時から掛金を積み立てておくことが連鎖倒産対策として重要になる。

Q取引先が倒産していなくても借りられる制度はありますか?
A

ある。「一時貸付金」は取引先の倒産がなくても、契約者が臨時に事業資金を必要とする場合に利用できる。限度額は解約した場合に受け取れる解約手当金の95%の範囲内で最高760万円、借入期間は1年だ。ただし共済金の借入と異なり利息が発生し、借入時に一括前払いする点に注意する。

Q掛金は税金の計算上どう扱われますか?
A

毎月の掛金は、法人の場合は損金、個人事業主の場合は必要経費に算入できる。掛金は月額5,000円から20万円まで選べ、総額800万円まで積み立てられる。課税所得を圧縮しつつ、いざというときに借入原資として転換できるのが共済を使う大きな利点になる。

Q2024年10月の改正で何が変わったのですか?
A

2024年10月1日以後に共済を解約して再加入する場合、解約した日から2年を経過する日までの間に支出する掛金は損金・必要経費に算入できなくなった。解約手当金が満額に近づく時期での短期解約・再加入による節税利用を制限する改正であり、安易な解約は2年分の節税メリットを失うことになる。

Q銀行融資と経営セーフティ共済はどう使い分ければよいですか?
A

共済は「取引先倒産による連鎖倒産への備え」と「掛金の損金算入による節税」を主目的に据えるとよい。通常の設備資金・運転資金は日本政策金融公庫や商工中金、民間銀行の融資で賄い、共済はあくまで非常時のセーフティネットと一時的なつなぎ資金(一時貸付金)として位置づける役割分担が、無理のない資金戦略になる。

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