事業融資の申込では、決算書(直近2〜3期分)・試算表・資金繰り表が基本セット。さらに納税証明書・登記簿謄本・借入金一覧などが加わる。書類が揃っているほど審査担当者が状況を判断しやすく、やり取りの往復が減って審査がスムーズに進む。
要点
この記事で先に確認すること
- 基本となる財務書類
- 決算書2〜3期分+直近月までの試算表+資金繰り表
- 出典: 各金融機関の融資申込要件・創業融資ガイド等より
- 納税証明書の交付手数料
- 書面請求400円・オンライン請求370円が単位(その1・その2は税目数×年度数×枚数、その3・その4は枚数で計算)
- 出典: 国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/01.htm)
- 登記事項証明書の手数料(2025年4月1日以降)
- 書面請求600円・オンライン請求で送付520円・オンライン請求で窓口交付490円(1通50枚まで)
- 出典: 法務省「登記手数料について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)
- 公庫(国民生活事業)の確定申告書・決算書
- 勘定科目明細書を含めて申込の都度2期分(税務申告が1期のみなら1期分)
- 出典: 日本政策金融公庫「インターネット申込の必要書類のご案内」(https://www.jfc.go.jp/n/service/doc_internet.html)
SECTION 01
事業融資の申込で必要になる書類一式
事業融資の申込で求められる書類は、大きく「財務を示す書類」「企業の実在・信用を示す書類」「申込本人を確認する書類」の3つに分けられる。財務を示すのが決算書・試算表・資金繰り表・借入金一覧で、企業の実在を示すのが登記簿謄本(履歴事項全部証明書)や定款、信用を裏づけるのが納税証明書だ。これに借入申込書と本人確認書類が加わる。
ただし、どこまで求められるかは金融機関と融資の種類によって変わるため、申込前に取引先の窓口へ確認しておくと、準備の手戻りを防げる。
財務を示す書類(決算書・試算表・資金繰り表・借入金一覧)
決算書は法人なら決算書一式、個人事業主なら確定申告書の控えを、直近2〜3期分そろえるのが一般的だ。試算表は決算後の月次の状況を示す書類で、直近の月までの分を用意すると「決算からの変化」が伝わる。資金繰り表は将来数か月〜1年先の入出金を見積もり、返済原資が確保できることを示す。
さらに既存の借入がある場合は、借入先・残高・毎月の返済額をまとめた借入金一覧(銀行取引一覧表)を求められることが多い。
企業の実在・信用・本人を示す書類(登記簿謄本・納税証明書・本人確認)
法人は登記簿謄本(履歴事項全部証明書)で会社の実在と代表者・資本金などを示す。定款の写しや印鑑証明書を併せて求められることもある。
納税証明書は所得額・納税額や未納の有無を証明する書類で、税金の滞納がないことの裏づけになる。担保を希望する場合は対象不動産の登記簿謄本など、状況に応じた追加書類が必要だ。
最後に、借入申込書と本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカード等)を添えて申込が完成する。
SECTION 02
書類が揃っているほど審査がスムーズに進む理由
審査担当者は、提出された書類だけを材料に「返済できる先か」を判断する。書類に欠けがあると、担当者は不足分を追加で求めることになり、そのたびにやり取りが往復して時間がかかる。
逆に、必要書類が初回で過不足なく揃っていれば、担当者は一度で全体像を把握でき、審査が前に進みやすい。特に試算表と資金繰り表は「決算書だけでは見えない最新の状況」を補う役割を持つため、最新の経営実態を伝えるうえで重要になる。
試算表・資金繰り表で「最新の状況」を示す
決算書はあくまで過去の一時点を切り取ったものだ。決算から半年・1年が経っていれば、その間に売上や利益が変化している可能性がある。
試算表は決算後の月次の数字を、資金繰り表は今後の入出金見込みを示す書類で、この2つがあると担当者は「決算後どう推移しているか」「これから資金が回るか」を判断できる。最新の状況がわかる書類が揃っているほど、担当者は安心して評価しやすくなる。
SECTION 03
公庫・銀行・制度融資で求められる書類の違い
必要書類は融資の種類によって傾向が異なる。日本政策金融公庫の創業融資では、創業計画書と本人確認書類が全員に必要で、設備資金なら見積書、法人なら登記簿謄本などが加わる。
民間銀行のプロパー融資は決まった様式が少なく、金融機関や企業の状況に応じて「その都度指示を受ける」形が一般的だ。信用保証協会を使う制度融資・保証付き融資は、保証協会の様式に沿った書類がある程度決まっているため、求められる書類が見通しやすい。
どの経路でも共通するのは決算書・試算表・資金繰り表で、ここを先に固めておくのが近道だ。
日本政策金融公庫(国民生活事業)の法人の提出書類
国民生活事業のインターネット申込の案内によると、はじめて利用する法人は、事業を始めて間もなければ創業計画書、それ以外は企業概要書を用意し、直近期と前期の確定申告書・決算書(一式)、最近6か月以内の履歴事項全部証明書、代表者の本人確認書類、送金先の預金通帳などを添える。
確定申告書・決算書は勘定科目明細書を含めて申込の都度2期分を出し、税務申告が1期しか終わっていなければ1期分でよい。試算表は決算後6か月以上たっている場合や事業を始めたばかりで決算前の場合に、見積書は設備資金を申し込む場合に加わる。
融資の種類別・必要書類の傾向
| 融資の種類 | 書類の決まり方 | 特徴的な書類 |
|---|---|---|
| 日本政策金融公庫(創業) | 様式が公開され必要書類が明確 | 創業計画書・本人確認書類・(設備資金は)見積書 |
| 銀行のプロパー融資 | 決まった様式が少なく都度指示 | 決算書・試算表・資金繰り表+個別指示の書類 |
| 制度融資・保証付き融資 | 保証協会の様式である程度決まる | 保証協会所定の申込書類+決算書等 |
SECTION 04
納税証明書・登記事項証明書の請求先と手数料(国税庁・法務局)
国税の納税証明書と登記事項証明書は自社で作る書類ではなく、それぞれ税務署と登記所(法務局)に請求して取り寄せる書類だ。どちらも書面請求とオンライン請求があり、手数料はオンライン請求のほうが安い。
申込日から逆算して請求方法を決め、決算書や試算表の準備と並行して早めに請求しておくと、取り寄せ待ちで申込が遅れにくい。
納税証明書(その1〜その4)の証明内容と交付手数料
国税庁の区分では、納税証明書は4種類ある。その1は納付すべき税額・納付した税額・未納税額等、その2は所得金額、その3は未納の税額がないこと、その4は証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことを証明する。
請求先は現在の住所地(納税地)を所轄する税務署で、窓口か郵送で交付請求書を出すほか、e-Taxソフト(WEB版)からオンラインで請求できる。手数料は書面請求400円・オンライン請求370円が単位で、その3・その4は枚数分、その1・その2は税目数×年度数×枚数分かかる。
オンライン請求では、電子納税証明書(PDF・XML)、税務署の窓口、郵送の3通りから受け取り方を選べる。申告や納税の直後は当日中に発行できない場合があると国税庁は案内している。
登記事項証明書(履歴事項全部証明書)の取得方法と手数料
会社の登記事項証明書は誰でも手数料を納めて請求でき、商業・法人登記情報交換システムにより、最寄りの登記所で他の登記所が管轄する会社の分も取得できる。謄本にあたる全部事項証明書のうち履歴事項証明書には、現在効力のある登記事項に加えて、請求日の3年前の日の属する年の1月1日以降に抹消された事項も記載される。
手数料は2025年4月1日以降、書面請求600円、オンライン請求で送付を選ぶと520円、窓口交付を選ぶと490円(いずれも1通50枚まで)だ。オンライン請求は「かんたん登記・供託申請」などから行い、手数料はインターネットバンキングや電子納付対応のATMで納める。
SOURCES
この記事で参照した根拠
- 01
基本となる財務書類
出典: 各金融機関の融資申込要件・創業融資ガイド等より
- 02
公庫の創業融資で全員が必要
出典: 日本政策金融公庫「創業予定の方」申込手続きページ(jfc.go.jp)
- 03
プロパー融資の提出書類
- 04
納税証明書の交付手数料
出典: 国税庁「G-1 納税証明書の交付請求手続」(https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nozei-shomei/01.htm)
- 05
登記事項証明書の手数料(2025年4月1日以降)
出典: 法務省「登記手数料について」(https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/)
- 06
公庫(国民生活事業)の確定申告書・決算書
出典: 日本政策金融公庫「インターネット申込の必要書類のご案内」(https://www.jfc.go.jp/n/service/doc_internet.html)
数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q決算書は何期分そろえればよいですか?▼
法人は決算書一式、個人事業主は確定申告書の控えを、直近2〜3期分そろえるのが一般的です。創業して期が浅く2期分そろわない場合は、代替書類や創業計画書で補う形になります。必要な期数は金融機関により異なるため、申込前に確認するのが確実です。
Q試算表と資金繰り表はなぜ求められるのですか?▼
決算書は過去の一時点を示すため、決算から時間が経つと最新の状況が見えません。試算表は決算後の月次の数字を、資金繰り表は今後の入出金見込みを示し、この2つで「決算後の推移」と「返済原資の確保」を担当者に伝えられるため求められます。
Q納税証明書や登記簿謄本はどこで取得しますか?▼
納税証明書は税務署(または自治体)で、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)は法務局やオンライン申請で取得できます。発行に日数や手数料がかかる場合があるため、申込スケジュールに余裕を持って早めに取り寄せておくと準備がスムーズです。
Q納税証明書の「その1」から「その4」は何が違いますか?▼
国税庁の区分では、その1が納付すべき税額・納付した税額・未納税額等、その2が所得金額、その3が未納の税額がないこと、その4が証明を受けようとする期間に滞納処分を受けたことがないことの証明です。請求先は現在の住所地(納税地)を所轄する税務署で、手数料は書面請求400円・オンライン請求370円が単位です。
Q既存の借入がある場合は何を用意しますか?▼
借入先・残高・毎月の返済額をまとめた借入金一覧(銀行取引一覧表)を求められることが多いです。既存借入の状況は返済能力の判断に直結するため、最新の残高がわかる返済予定表などをもとに正確に整理しておくと、担当者とのやり取りが円滑になります。
Q公庫・銀行・制度融資で必要書類は違いますか?▼
傾向が異なります。公庫の創業融資は創業計画書など必要書類が公開され明確で、制度融資は保証協会の様式である程度決まります。一方、銀行のプロパー融資は決まった様式が少なく、金融機関や企業の状況に応じて都度指示を受ける形が一般的です。
Qまず何から準備すればよいですか?▼
どの融資経路でも共通して使う決算書・試算表・資金繰り表から固めるのが近道です。これらは作成に時間がかかることもあるため先に着手し、登記簿謄本や納税証明書などの取得物は申込スケジュールに合わせて手配します。詳細は申込先の窓口で確認してください。
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