中小企業省力化投資補助金には「一般型」と「カタログ注文型」の2類型がある。導入したい設備がカタログ登録製品ならカタログ注文型、カタログにないオーダーメイド設備や大規模投資なら一般型を選ぶのが基本だ。補助上限・申請方式・計画書作成負担が大きく異なるため、設備の性質から逆算して型を決めるのが失敗しない進め方になる。
この記事で先に確認すること
- カタログ注文型の補助上限額
- 5人以下500万円/6〜20人750万円/21人以上1,000万円(賃上げ特例でそれぞれ750万・1,000万・1,500万円)
- 出典: 中小企業基盤整備機構 2026年3月19日カタログ注文型制度改定ページ
SECTION 01
4つの軸で見る一般型とカタログ注文型の違い
両型の根本的な違いは「導入できる設備の自由度」にある。カタログ注文型は事務局があらかじめ省力化効果を認定した汎用製品のカタログから選ぶ仕組みで、製品が決まっているぶん申請手続きがシンプルだ。
一般型はカタログに縛られず、自社の現場や業務に合わせたオーダーメイド・セミオーダーメイドの設備・システムをゼロから設計して導入できる。この自由度の差が、補助上限額・申請方式・事業計画書の作成負担という残りの3軸にそのまま波及する。
カタログ注文型は補助上限が従業員規模に応じて500万〜1,000万円(賃上げ特例で最大1,500万円)にとどまるが随時申請でスピーディー、一般型は最大8,000万円(賃上げ特例で1億円)まで対応する一方で公募回ごとの締切があり、省力化効果や投資回収期間の算定根拠を含む詳細な事業計画書の作成が求められる。「設備の自由度を取るか、手続きの軽さを取るか」のトレードオフだと理解しておくとよい。
一般型とカタログ注文型の主要比較(2026年6月時点)
| 比較軸 | カタログ注文型 | 一般型 |
|---|---|---|
| 対象設備 | 事務局登録の汎用製品(カタログから選択) | カタログにないオーダーメイド設備・システム |
| 補助上限額 | 従業員規模で500万〜1,000万円(賃上げ特例で最大1,500万円) | 従業員規模で750万〜8,000万円(賃上げ特例で最大1億円) |
| 補助率 | 1/2以下(小規模・再生事業者は2/3) | 中小企業1/2(大幅賃上げ2/3)/小規模事業者2/3 |
| 申請方式 | 随時申請(受付期間中いつでも) | 公募回制(公募回ごとに締切あり) |
| 事業計画書 | 比較的軽い。販売事業者がサポート | 詳細な計画書が必須(省力化効果・投資回収期間の根拠提出) |
SECTION 02
補助上限額の差:規模が大きいほど一般型のメリットが効く
補助上限額は2026年3月19日の制度改定を反映した現行水準で見る必要がある。カタログ注文型は従業員5人以下で500万円、6〜20人で750万円、21人以上で1,000万円が基本で、大幅賃上げ特例を満たすとそれぞれ750万円・1,000万円・1,500万円まで引き上げられる。
一方の一般型は5人以下で750万円、6〜20人で1,500万円、21〜50人で3,000万円、51〜100人で5,000万円、101人以上で8,000万円が基本上限で、大幅賃上げ特例適用時は最大1億円に達する。
投資規模が小さい小規模事業者ではカタログ注文型でも十分カバーできるケースが多いが、複数機器を組み合わせる工場のライン自動化や、数千万円規模のロボット・AI導入を計画している企業は、補助上限の天井が低いカタログ注文型では足りず一般型が現実的な選択肢になる。「投資総額の見込み」と「型ごとの補助上限」を突き合わせ、上限に頭打ちされない型を選ぶことが第一の判断軸だ。
汎用品でもオーダーメイド扱いで一般型を使える場合がある
カタログ掲載の汎用設備であっても、自社の導入環境に合わせて周辺機器や機能をカスタマイズする場合や、複数の汎用設備を組み合わせて高い省力化効果を生み出す場合は「オーダーメイド設備」とみなして一般型で申請できる。「カタログに載っている=必ずカタログ注文型」ではない点に注意したい。標準品をそのまま入れるならカタログ注文型、現場に合わせて組み合わせ・改変するなら一般型、という切り分けが実務的な目安になる。
SECTION 03
申請方式と計画書負担:スピード重視か精緻な計画かで分かれる
カタログ注文型は受付期間中であればいつでも申請できる随時申請方式で、受付期間は2027年3月末頃まで延長されている。製品が事前認定されているため事業計画書の作成負担も比較的軽く、販売事業者が申請をサポートする仕組みになっており、「早く・手間をかけずに」省力化を進めたい事業者に向く。
これに対し一般型は公募回制で、公募回ごとに申請受付期間と締切が設定される(2026年6月に公募が開始され、申請受付は7月上旬からとされている。締切などの詳細は公募回ごとに公募要領で示される)。
さらに省力化効果(業務量の削減割合)や投資回収期間を根拠資料とともに示す詳細な事業計画書が必須で、労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる計画の策定も求められる。申請には事前にGビズIDプライムの取得が必要で、GビズID公式サイトによれば書類郵送申請は最大1か月かかることがある(マイナンバーカードによるオンライン申請なら最短即日)ため、一般型を狙う場合は公募スケジュールから逆算した準備が欠かせない。
手続きの軽さを取るならカタログ注文型、補助額の大きさと引き換えに計画づくりの労力をかけられるなら一般型、という整理になる。
SECTION 04
後払い精算ゆえの融資併用:どちらの型でも立替資金が要る
型選びと並んで見落とせないのが資金繰りだ。一般型・カタログ注文型のいずれも補助率は経費の一部(中小企業1/2など)にとどまり、残りは自己負担になる。
加えて補助金は事業完了後に金額が確定する精算払い(後払い)が原則のため、設備購入代金はいったん全額を企業側で立て替える必要がある。立替期間の資金繰り対策としては、日本政策金融公庫(jfc)の設備資金融資や、商工組合中央金庫(shoko-chukin)・民間銀行の補助金つなぎ融資の活用が現実的だ。
採択通知書は事業計画の実現可能性を第三者が認定した材料として融資審査でプラスに働くことがあるため、採択後は早めに取引銀行へ相談したい。実績報告での減額・不採択リスクに備え、つなぎ融資は補助金見込額の100%ではなく80%程度に抑えて組成するのが堅実な設計になる。
補助金と融資の役割分担の考え方は、補助金と融資の併用設計(/guide/digital-ai-subsidy)でも整理している。
SOURCES
この記事で参照した根拠
- 01
カタログ注文型の対象設備
- 02
一般型の対象設備
- 03
カタログ注文型の補助上限額
- 04
一般型の補助上限額
- 05
申請方式の違い
- 06
一般型の第7回公募
数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q一般型とカタログ注文型はどちらを選ぶべきですか?▼
導入したい省力化設備が事務局の製品カタログに登録されていればカタログ注文型が手続きも審査もシンプルで早い。カタログにない設備、複数機器を組み合わせるオーダーメイド構成、補助上限1,000万円超の大規模投資の場合は一般型を選ぶ。設備の性質と投資規模から逆算して型を決めるのが基本だ。
Qカタログに載っている設備なら必ずカタログ注文型になりますか?▼
そうとは限らない。カタログ掲載の汎用設備でも、自社の導入環境に合わせて周辺機器や機能をカスタマイズする場合や、複数の汎用設備を組み合わせて高い省力化効果を生み出す場合は「オーダーメイド設備」とみなして一般型で申請できる。標準品をそのまま入れるならカタログ注文型、現場に合わせて改変・組み合わせるなら一般型が目安になる。
Q一般型とカタログ注文型で補助上限はどれくらい違いますか?▼
カタログ注文型は従業員規模に応じて500万〜1,000万円(賃上げ特例で最大1,500万円)が上限だ。一方の一般型は750万〜8,000万円が基本上限で、大幅賃上げ特例適用時は最大1億円まで対応する。数千万円規模の投資を計画しているならカタログ注文型では天井に頭打ちされるため、一般型が現実的な選択肢になる。
Q一般型は申請にどれくらい手間がかかりますか?▼
一般型は公募回制で公募回ごとに締切があり、省力化効果(業務量の削減割合)や投資回収期間を根拠資料とともに示す詳細な事業計画書が必須だ。労働生産性を年平均成長率3.0%以上向上させる計画の策定も求められる。申請にはGビズIDプライムの取得も必要で、GビズID公式サイトによれば書類郵送申請は最大1か月かかることがある(オンライン申請なら最短即日)ため、公募スケジュールから逆算した準備が欠かせない。
Q補助金が出るまでの設備代金はどう用意すればよいですか?▼
どちらの型も補助金は事業完了後に金額が確定する精算払い(後払い)が原則のため、設備購入代金は一度全額を企業側で立て替える必要がある。立替期間の資金繰りには日本政策金融公庫の設備資金融資や民間銀行の補助金つなぎ融資が現実的だ。実績報告での減額リスクに備え、つなぎ融資は補助金見込額の8割程度に抑えるのが堅実な設計になる。
Q採択されると銀行融資の審査で有利になりますか?▼
採択通知書は事業計画の実現可能性を第三者(事務局)が認定した材料として、融資審査でプラスに働くことがある。補助金は後払いで立替資金が必要になるため、採択後は早めに取引銀行や日本政策金融公庫へ相談するのが望ましい。ただし採択=融資確約ではないため、自社の返済能力や事業計画の妥当性は別途審査される点には留意したい。
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