本文へスキップ
法人融資ナビ2026年最新版
Guide

年商5000万円企業の融資戦略

信金からプロパーへの移行設計

執筆: 法人融資ナビ編集部 / 公開: 2026-05-21 / 更新: 2026-10-02

年商5000万円規模の小規模事業者が選べる構成の一つに、信用金庫をメイン、日本政策金融公庫をサブに置く形がある。決算実績を重ねて返済実績と財務改善を示すことが、「保証協会付き」から「プロパー融資」へ段階的に移行する土台になる。借入額は、月商(年商5000万円なら約417万円)の何か月分かを見る債務月商倍率と、債務償還年数で点検する。

要点

この記事で先に確認すること

01
信用保証協会の保証料率(東京信用保証協会の例)
責任共有制度の対象の一般保証で、保証付き融資の合計1,000万円超・無担保の場合は区分1〜9に応じて年1.90〜0.45%(合計1,000万円以下は上限1.55%、500万円以下は上限1.27%)
出典: 東京信用保証協会「信用保証料率表」(2026年6月23日更新)https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/system.files/cgc_sinyouhosyouryouritu_20260623.pdf
02
信用金庫の会員資格
営業地域に事業所を持つ事業者などが会員になれる。法人は常時使用する従業員数が300人を超え、かつ資本金が9億円を超える場合は会員になれない(個人事業者は従業員数300人超で会員になれない)
出典: 一般社団法人 全国信用金庫協会 公式「信用金庫の制度」(https://www.shinkin.org/shinkin/seido/)
03
信用金庫の数(2025年3月末時点)
全国254金庫・店舗数7,058
出典: 一般社団法人 全国信用金庫協会 統計(shinkin.org/shinkin/toukei/)
04
信用保証協会 無担保保証の限度額
無担保保険の限度額は8,000万円。普通保険の限度額2億円と合わせた1企業あたりの保証限度額は2億8,000万円(組合4億8,000万円)
出典: 一般社団法人 全国信用保証協会連合会「利用条件」(https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)
05
責任共有制度のリスク負担割合
原則として信用保証協会80%・金融機関20%(創業関連保証など一部は100%保証で例外)
出典: 一般社団法人 全国信用保証協会連合会 公式(zenshinhoren.or.jp/basic/)
関連銀行日本政策金融公庫政府系
→

SECTION 01

年商5000万円規模の金融機関の選び方:信用金庫メインと日本政策金融公庫サブの構成

地方銀行や都市銀行が、年商1,000万〜5,000万円規模の小規模事業者をどう位置づけているかは公表されていない。担当者の訪問頻度や融資相談の受け方も、金融機関ごとに異なる。

これに対し信用金庫は、一定地域内の中小企業者や地域住民を会員とする協同組織の金融機関だ。全国信用金庫協会の案内では、法人は常時使用する従業員数が300人を超え、かつ資本金が9億円を超える場合に会員になれない。小規模事業者はこの基準に当たらないため、信用金庫の営業地域に事業所があれば会員になれる。

メインバンクを信用金庫1行とし、サブとして日本政策金融公庫を置く「信金+公庫」は、小規模事業者が選べる構成の一つだ。

地方銀行との取引を年商いくらから加えるかの公的な目安は無いため、追加の時期は自社の資金需要と、メインの金融機関で借りられる額を見て決めたい。

年商5000万円規模における金融機関別の使い分け

金融機関役割主な活用シーン
信用金庫メインバンク日常決済・運転資金・設備資金・経営相談
日本政策金融公庫サブ(リスク分散)長期設備資金・低利公的制度・有事のセーフティネット
地方銀行追加を検討する取引先(時期の公的な目安は無い)メイン信金で枠が頭打ちになった段階で
信用保証協会審査補完(協会保証付き融資)無担保保証8,000万円までを上限に併用

SECTION 02

借入額の上限の考え方:債務月商倍率と債務償還年数

債務月商倍率(有利子負債÷月商)は、借入の大きさを月の売上と比べて見る指標だ。年商5000万円企業の月商は約417万円なので、たとえば借入総額1,250万円は月商の約3か月分にあたる。

何倍までを健全とみるかは、金融機関ごとに異なる。業種によって売上の回り方や在庫の持ち方が違うため、同じ倍率でも評価は変わる。借入が増えると、債務償還年数(有利子負債÷営業キャッシュフロー)も長くなる。

年商5000万円段階では、信用保証協会の無担保保証枠(最大8,000万円)を使い切る前に、月商と債務償還年数に照らした借入総額の目安を取引先の金融機関と確かめておきたい。その先のプロパー融資への移行を相談する際も、この2つの数字を説明できるようにしておく。

借入額の自己点検:債務月商倍率と債務償還年数の計算

債務月商倍率(有利子負債÷月商)は、自社の決算書と月次の売上から自分で計算できる。年商5000万円なら月商は約417万円で、借入総額が2,500万円なら約6か月分になる。何倍までとするかは金融機関ごとに異なるため、取引先の金融機関に自社の数字をどう見るかを確かめておく。

借入総額の絶対値だけでなく、営業キャッシュフロー(営業利益+減価償却費)で何年で返済できるかという「債務償還年数」も合わせて確認する。何年で区切るかは金融機関ごとに異なる。

公表されている基準の例として、中小企業の事業再生等に関するガイドライン(令和8年3月一部改定)は、事業再生計画の終了年度に有利子負債の対キャッシュフロー比率を概ね10倍以下とする内容を求めている。ただし、この比率の計算式が債務償還年数と同じとは限らない。

SECTION 03

プロパー融資と保証協会付き融資の違い(保証・審査・保証料・融資限度額)

保証協会付き融資とプロパー融資は、誰が返済されないリスクを負うかと、保証料の有無が違う。保証協会付き融資は信用保証協会が金融機関に対して保証(責任共有制度では原則80%、創業関連保証など一部は100%)を提供する仕組みだ。借り手が返済できなくなった場合は、信用保証協会が借り手に代わって金融機関に支払う(代位弁済)。

代位弁済の後は、借り手が信用保証協会に返済する。保証付きで借りられるかは、金融機関と信用保証協会の審査で決まる。

一方でプロパー融資は、信用保証協会の保証を付けずに金融機関が全額のリスクを負って実行する融資だ。信用保証協会の保証料は掛からない。信用保証の限度額の枠も使わず、いくらまで貸すかは金融機関の判断になる。

プロパー融資と保証協会付き融資の主要な違い

項目プロパー融資保証協会付き融資
保証なし(銀行が100%リスクを負う)信用保証協会が保証(原則80%、創業関連等は100%)
審査金融機関が自らの基準で審査する金融機関の審査に加え、信用保証協会も保証の審査をする(保証で金融機関のリスクは軽くなる)
保証料不要別途必要(率は信用保証協会・保証制度・区分ごとに決まる。東京信用保証協会の一般保証・1,000万円超・無担保は年1.90〜0.45%)
融資限度額金融機関の判断(信用保証の限度額の枠は使わない)普通保険の限度額2億円と無担保保険の限度額8,000万円を合わせた2億8,000万円(組合4億8,000万円)

SECTION 04

保証協会付きからプロパーへの移行タイミングと実務手順

打診の時期や、保証付き融資の返済をどれだけ続ければプロパー融資の対象になるかの公的な目安は公表されておらず、金融機関ごとに異なる。返済の延滞が無いことは前提になる。自己資本比率は、金融機関の求める水準に達しているかが見られる。

狙い目のタイミングは①決算直後(最新の決算書で改善を示せる)②既存融資の返済進捗が半分を超えた頃(残債が減って枠の空きができる)③設備投資など新規資金需要が発生した時の3つ。全額を一度にプロパー融資へ切り替えるほかに、一部をプロパー融資にして残りを保証付き融資のまま併用する形もある。併用を認めるか、どの割合にするかは、金融機関の判断になる。

移行を切り出す方法の一つは、決算説明の場で担当者に「これまでの返済実績と財務改善を踏まえて、次回融資はプロパーでの取り扱いをご検討いただけないか」と持ちかけることだ。

移行交渉を有利に進める3つの準備

①月次試算表の毎月提出を1年以上継続する(経営の透明性を示し定性評価を高める)②売上入金・経費支払をメイン信金口座に集中させる(取引深度を可視化する)③自己資本比率を取引先の金融機関が求める水準以上に保つ(水準は金融機関・商品ごとに異なる。決算前の役員報酬調整・不要在庫処理で改善)。この3点をプロパー打診の前年から実施しておくと、担当者が稟議書を書きやすくなる。

さらに同業他社との比較で売上総利益率・営業利益率の優位性を口頭で説明できると、定性評価でも加点される。月次決算が遅い・税理士任せで経営者本人が数字を把握していない状態では、プロパー融資の交渉土俵に乗りにくい。

移行失敗のNGパターン

①保証協会付き融資を借入直後にプロパー融資を求める(同じ資金使途で短期間に重ねて申込むと、資金の必要性を説明しにくい)②返済遅延・税金滞納の履歴がある状態で打診する(履歴をどう評価するかの基準は金融機関ごとに異なり、公表されていない)③メインバンク以外の銀行に突然プロパー融資を持ち込む(取引の実績が無い金融機関には審査の材料が少なく、相談しにくい)。この3つは、移行を相談する前に避けておきたい状態だ。

SOURCES

この記事で参照した根拠

  1. 01

    信用保証協会の保証料率(東京信用保証協会の例)

    出典: 東京信用保証協会「信用保証料率表」(2026年6月23日更新)https://www.cgc-tokyo.or.jp/business/guarantee_fee/system.files/cgc_sinyouhosyouryouritu_20260623.pdf

  2. 02

    信用金庫の会員資格

    出典: 一般社団法人 全国信用金庫協会 公式「信用金庫の制度」(https://www.shinkin.org/shinkin/seido/)

  3. 03

    信用金庫の数(2025年3月末時点)

    出典: 一般社団法人 全国信用金庫協会 統計(shinkin.org/shinkin/toukei/)

  4. 04

    信用保証協会 無担保保証の限度額

    出典: 一般社団法人 全国信用保証協会連合会「利用条件」(https://www.zenshinhoren.or.jp/guarantee-system/riyojoken/)

  5. 05

    責任共有制度のリスク負担割合

    出典: 一般社団法人 全国信用保証協会連合会 公式(zenshinhoren.or.jp/basic/)

数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。

FAQ

よくある質問

Q年商5000万円規模で地方銀行・都市銀行をメインバンクにするのは難しいですか?▼
A

不可能ではない。地方銀行や都市銀行が年商5000万円規模の事業者をどう位置づけているかは公表されておらず、対応は金融機関ごとに異なる。信用金庫は、一定規模を超える事業者(従業員300人超かつ資本金9億円超の法人など)を会員から除く協同組織の金融機関で、営業地域に事業所がある小規模事業者は会員になれる。

どの金融機関をメインにするかは、融資相談の受け方や店舗の使いやすさを比べて決めたい。

Q信用金庫と信用組合はどちらを選ぶべきですか?▼
A

どちらも協同組織の金融機関だが、根拠法と会員(組合員)資格が異なる。全国信用金庫協会の比較表では、事業者の場合、信用金庫は従業員300人以下または資本金9億円以下が対象だ。信用組合は従業員300人以下または資本金3億円以下が対象で、卸売業・小売業・サービス業はさらに小さい基準になる。

信用金庫の預金は会員以外も利用できるが、信用組合の預金は原則として組合員が対象だ。どちらを選ぶかは、事業所の近くで使いやすい店舗があるかと、担当者の対応や融資条件を比べて決めたい。

Qプロパー融資への移行は何期目から相談できますか?▼
A

創業から何期目でプロパー融資を受けられるかは、金融機関ごとの判断になる。決算実績が少ない創業期は、保証協会付き融資が中心になりやすい。返済の延滞が無いことは前提になる。

自己資本比率は、金融機関の求める水準(金融機関・商品ごとに異なる)に達しているかが見られる。相談の時期の一例は決算直後で、最新の決算書をもとに「次回融資はプロパーでの取り扱いをご検討いただけないか」と担当者に切り出せる。

Q保証協会付き融資ばかり使い続けるとデメリットはありますか?▼
A

保証協会付き融資だけで借り続けると、借りるたびに保証料が掛かり、継続的なコストになる。保証料は信用保証協会の保証を受ける対価で、原則として融資の実行時に払う(信用保証協会が認めれば分割払いもできる)。プロパー融資には掛からない。

保証料率は信用保証協会・保証制度・区分ごとに決まり、東京信用保証協会の一般保証で合計1,000万円超・無担保なら年1.90〜0.45%だ。全国信用保証協会連合会は、プロパー融資と保証付き融資を併用すると融資枠の拡大を図れると案内している。併用できるか、どの割合にするかは、金融機関の判断になる。

Q借入額の上限はどう判断すればよいですか?▼
A

債務月商倍率(有利子負債÷月商)は、借入の大きさを月の売上と比べて見る指標だ。年商5000万円なら月商は約417万円で、何倍までとするかは金融機関ごとに異なる。

あわせて債務償還年数(有利子負債÷営業キャッシュフロー)も確認する。何年で区切るかは金融機関ごとに異なる。公表されている基準の例では、中小企業の事業再生等に関するガイドライン(令和8年3月一部改定)が、事業再生計画の終了年度に有利子負債の対キャッシュフロー比率を概ね10倍以下としている(計算式が債務償還年数と同じとは限らない)。

Qメイン信金と公庫の他にサブ銀行を増やすべきタイミングはいつですか?▼
A

地方銀行との取引を年商いくらから加えるかの公的な目安は無い。メインの金融機関で借りられる額と自社の資金需要を見て決めたい。

関連ページ

資金使途・業種・規模・地域から探す

関連する用語

この記事に出てくる用語を確認する

関連記事

次に確認したい記事

政策金利引き上げ局面の資金調達戦略:2026年に中小企業がとるべき対応

日銀は2026年9月に政策金利を1.25%程度へ引き上げた(2025年12月は0.75%程度)。短期プライムレートの上昇が続くなかで中小企業がとる固定金利借換のタイミングと追加借入の判断軸を整理しました。

→

リースバックの資金調達|担保融資との比較・新リース会計基準

保有する不動産や設備を売って借り戻すセール・アンド・リースバックを不動産担保融資と比較。法人税法で借入とされる条件、消費税の扱い、新リース会計基準(企業会計基準第34号)の適用時期と中小企業への関係を、国税庁と企業会計基準委員会の資料で整理します。

→

福井県の制度融資ガイド|中小企業金融制度のメニューと申込手順

福井県中小企業向け制度融資を解説。県・金融機関・福井県信用保証協会の連携と、経営安定資金・中小企業育成資金(限度額8,000万円)・資金繰り円滑化支援資金など令和8年度メニューの条件、県内金融機関を起点にした申込手順を整理します。

→

新潟県の制度融資ガイド|2026年度の融資メニューと申込手順

新潟県の中小企業向け制度融資(令和8年度/2026年度)を解説。経営安定資金・セーフティネット資金・事業再生資金・中小企業創業等支援資金などのメニューと、令和8年4月の全制度一律0.25%利率引上げ、新潟県信用保証協会との連携・申込手順を整理します。

→