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カフェ・喫茶店の開業資金ガイド|設備と使える融資制度

公開: 2026-06-09

カフェ・喫茶店の開業資金は「設備資金(内装・厨房・エスプレッソマシン・什器)」と「運転資金(仕入・人件費・家賃・当面の生活費)」に分けて設計する。設備は単価が読みにくく、開業後も集客が安定するまで時間がかかるため、設備資金は長期融資、運転資金は別枠で厚めに確保するのが基本になる。

ポイント

この記事のポイント

カフェ・喫茶店に必要な営業許可

2021年6月の食品衛生法改正で「喫茶店営業許可」は廃止され「飲食店営業許可」に統合された。カフェ・喫茶店の営業には保健所への飲食店営業許可の申請が必要

出典: J-Net21(中小機構)ビジネスQ&A「喫茶店の開業を予定しています。営業にあたり必要となる許認可制度が変更になったと聞きましたが…」

HACCPに沿った衛生管理の義務化

2021年6月の改正により、原則すべての食品等事業者にHACCPの考え方を取り入れた衛生管理とその記録の保存が求められるようになった

出典: 厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」

日本政策金融公庫 新規開業・スタートアップ支援資金の融資限度額

7,200万円(うち運転資金4,800万円)。対象は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。返済期間は設備資金20年以内・運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)

出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」公式(jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)

カフェの開業資金は「設備資金」と「運転資金」を分けて積み上げる

カフェ・喫茶店の開業資金は、性質の異なる2種類に分けて設計するのが基本だ。1つは設備資金で、店舗物件の取得費、内装・外装工事、厨房設備(シンク・冷蔵冷凍庫・製氷機・調理機器)、エスプレッソマシンやドリップ機材といったコーヒー抽出設備、テーブル・椅子・カウンターなどの客席什器、食器・カップ類が含まれる。これらは開業時に一度そろえる固定的な投資で、購入後も長く使い続ける資産にあたる。もう1つは運転資金で、コーヒー豆・食材の仕入、スタッフの人件費、家賃、水道光熱費、そして売上が安定するまでの当面の生活費を賄うための資金だ。重要なのは、設備資金は返済期間の長い融資で、運転資金は別枠で、というように用途と資金調達の期間を合わせることだ。カフェは内装・什器でコンセプトを表現する業態のため、内装工事や客席什器に資金が集中しやすく、設備資金の見積もりが膨らみやすい点に注意する。具体的な金額は店舗の規模・席数・立地・コンセプトで大きく変わるため、数字は見積書で実額を積み上げるのが確実だ。

カフェ・喫茶店の開業資金の費目分類

区分主な費目対応する資金の性質
物件・内装物件取得費・内装外装工事・給排水/電気/空調工事設備資金(長期)
厨房設備シンク・冷蔵冷凍庫・製氷機・調理機器・食器洗浄機設備資金(長期)
コーヒー抽出設備エスプレッソマシン・グラインダー・ドリップ機材(自家焙煎なら焙煎機)設備資金(リース・割賦も選択肢)
客席什器テーブル・椅子・カウンター・食器・カップ類設備資金(中古活用で圧縮可)
運転資金コーヒー豆/食材の仕入・人件費・家賃・水道光熱費・当面の生活費運転資金(別枠で厚めに確保)

営業許可と設備:2021年改正後の飲食店営業許可とHACCP

カフェ・喫茶店を営業するには、食品衛生法に基づく営業許可を保健所から取得する必要がある。2021年6月の食品衛生法改正で営業許可業種が再編され、従来の「喫茶店営業許可」は廃止されて「飲食店営業許可」に統合された。これにより、コーヒーや軽食を提供するカフェ・喫茶店も飲食店営業許可を取得して営業する形に整理された。許可の取得には施設基準を満たす必要があり、手洗い設備・シンクの数・区画の分け方など、求められる設備がそのまま内装費・厨房設備費に直結する。さらに同改正では、原則すべての食品等事業者にHACCPの考え方を取り入れた衛生管理とその記録の保存が義務づけられた。どの設備が必要か、どの程度の工事が求められるかは施設の状況や提供内容によって保健所の判断が分かれるため、内装設計や設備の発注を確定する前に、必ず管轄の保健所へ事前相談することが重要だ。許可要件を後から知って設備をやり直すと、内装費・厨房費が想定外に膨らむため、資金計画と許可要件はセットで詰める必要がある。

自家焙煎・フード提供で必要な設備は変わる

ドリンク中心のカフェと、自家焙煎やフードを本格提供するカフェでは、必要な設備が変わる。自家焙煎を行う場合は焙煎機や排煙・防火の設備が加わり、設備資金が増える。サンドイッチやパスタ、ケーキなどフードを厨房で本格調理する場合は、調理機器・冷蔵冷凍能力・シンクや作業台が追加で必要になり、提供内容によっては取得すべき許可の範囲も変わってくる。提供メニューを広げるほど設備投資と仕入・人件費が増えるため、コンセプトと収益見込みのバランスで設備の範囲を決め、事業計画書に提供メニューの前提を明記しておくと、審査担当者が収支を理解しやすい。

使える融資と、居抜き・中古で初期費用を抑える設計

カフェの開業資金調達は、①自己資金 ②日本政策金融公庫の創業向け融資 ③地方銀行・信用金庫の信用保証協会付き融資(制度融資)、を組み合わせるのが基本だ。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方が対象で、融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)。返済期間は設備資金が20年以内(据置5年以内)、運転資金が10年以内(据置5年以内)と長期で、内装・厨房設備に資金が集中するカフェの資金構造に合いやすい。原則無担保・無保証人で利用できる枠がある点も創業期には使いやすい。一方、自治体が信用保証協会・金融機関と連携する制度融資は、低利・保証料補助などの条件が地域ごとに設けられている。初期費用を抑える有力な方法が居抜き物件の活用だ。前のテナントの内装・設備をそのまま使える居抜き物件なら、スケルトン(躯体だけ)の物件に比べて内装工事費を大きく圧縮できる。厨房機器や客席什器を中古でそろえる、エスプレッソマシンなど高額設備をリース・割賦で導入して借入枠を温存する、といった工夫も初期費用の圧縮に有効だ。ただし設備を抑えても、開業後に集客が安定するまでの運転資金は別途しっかり確保しておく必要がある。

集客が安定するまでの運転資金を厚めに確保する

カフェは開業直後から客足が安定するわけではなく、認知が広がり常連がつくまでには一定の時間がかかる。その間も家賃・人件費・仕入・水道光熱費は毎月出ていくため、売上が伸びるまでの赤字や薄利の期間を運転資金で支える必要がある。設備資金を抑えることに気を取られて運転資金を薄くすると、軌道に乗る前に資金が尽きるリスクがある。運転資金は設備資金とは別枠で確保し、家賃数ヶ月分以上を目安に、立地や想定売上を踏まえて厚めに見積もるのが安全だ。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では運転資金枠が最大4,800万円・返済10年以内と設計されており、設備資金とあわせて1本の事業計画で申し込める。

FAQ

よくある質問

Qカフェ・喫茶店を開業するのに必要な営業許可は何ですか?
A

保健所から「飲食店営業許可」を取得する必要がある。2021年6月の食品衛生法改正で従来の「喫茶店営業許可」は廃止され、飲食店営業許可に統合された。施設基準(手洗い設備・シンクの数・区画など)を満たす必要があり、求められる設備が内装費に直結するため、設計を確定する前に管轄の保健所へ事前相談することを推奨する。

Qエスプレッソマシンや厨房設備も融資の対象になりますか?
A

対象になる。エスプレッソマシン・グラインダー・厨房機器・客席什器などは設備資金として融資できる。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では設備資金の返済期間が20年以内と長い。一方、高額なエスプレッソマシンなどはリースや割賦で導入し、融資の借入枠を運転資金側に温存するという選択肢もある。見積書を複数社から取り、価格の妥当性を示すと審査がスムーズになる。

Q居抜き物件を使うと開業資金はどれくらい抑えられますか?
A

居抜き物件は前のテナントの内装・設備をそのまま使えるため、躯体だけのスケルトン物件に比べて内装工事費を大きく圧縮できる。厨房機器や客席什器を中古でそろえれば設備資金をさらに抑えられる。ただし、既存設備が自分の業態・許可要件に合うかは保健所基準で確認が必要で、改修が発生する場合もある。設備を抑えても、開業後の運転資金は別途しっかり確保する必要がある。

Q自家焙煎やフードを出すと資金計画はどう変わりますか?
A

自家焙煎を行う場合は焙煎機や排煙・防火の設備が加わり、フードを厨房で本格調理する場合は調理機器・冷蔵冷凍能力・シンクや作業台が追加で必要になる。提供内容によっては取得すべき許可の範囲も変わる。メニューを広げるほど設備投資と仕入・人件費が増えるため、コンセプトと収益見込みのバランスで設備範囲を決め、事業計画書に提供メニューの前提を明記しておくとよい。

Qカフェの運転資金はどれくらい確保すべきですか?
A

具体額は店舗規模・席数・立地・原価率で大きく変わるため一律には言えないが、開業後に集客が安定するまでの期間を支えられる金額を見込むのが基本だ。家賃・人件費・仕入・水道光熱費は毎月出ていくため、設備資金とは別枠で家賃数ヶ月分以上を目安に厚めに確保するのが安全とされる。公庫の新規開業・スタートアップ支援資金では運転資金枠が最大4,800万円・返済10年以内と設計されている。

Q自己資金はどのくらい必要ですか?
A

創業融資は自己資金が少なくても申込み自体は可能だが、一般に開業費用の一定割合を自己資金で用意できると審査が通りやすくなるとされる。カフェは内装・什器に資金が集中しやすいため、設備の見積書と資金使途を明確にし、自己資金・融資・(活用できる場合は)補助金の配分を事業計画書で具体的に示すことが重要だ。

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