岐阜県中小企業資金融資制度は、県・金融機関・岐阜県信用保証協会の三者が協力して融資を行う制度融資です。長期固定の低金利と、信用保証料の一部を県が負担する点が特徴で、令和8年4月1日以降に実行する融資の利率は全資金一律で年0.6%引き上げられました。本記事では経済変動対策資金(中東情勢影響枠を含む)と返済ゆったり資金を軸に、限度額・申込手順を整理します。
要点
この記事で先に確認すること
- 制度の運営主体と特徴
- 岐阜県・金融機関・岐阜県信用保証協会の三者協調で運営。長期固定の低金利と信用保証料の一部県負担が特徴で、金融機関の県内店舗が申込窓口
- 出典: 岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 信用保証料の県補給
- 県が岐阜県信用保証協会に信用保証料の一部を補給。補給率は資金ごと・保証料率区分ごとに異なり、令和8年8月1日現在、経済変動対策資金は年0.10〜1.00%、経営安定資金・企業活力支援資金・事業承継支援資金は年0.0〜0.2%(区分によっては補給なし)。令和8年度は一部資金で補給率を引き下げ
- 出典: 岐阜県「令和8年度 岐阜県中小企業資金融資制度の手引」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/509630.pdf)、岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 経済変動対策資金の限度額・期間・利率
- 融資限度額1億円、融資期間10年(据置2年)、融資利率年2.2%(固定、2026年10月2日確認)。最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少(通常は10%以上、令和9年3月31日までは5%以上)などの要件に該当する事業者が対象
- 出典: 岐阜県信用保証協会「経済変動対策資金(県経済変動)」(cgc-gifu.or.jp/hosho/situation/entry-36.html)、岐阜県「令和8年度 岐阜県中小企業資金融資制度の手引」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/509630.pdf)
- 返済ゆったり資金の限度額・期間・利率
- 融資限度額8,000万円、融資期間10年(据置2年)。融資利率は金融機関所定の固定金利で、県が定める令和8年度の上限は年2.8〜4.0%(旧債務の内容と償還期間で異なる)。制度融資利用中で売上減少・欠損などに該当する事業者が対象
- 出典: 岐阜県信用保証協会「返済ゆったり資金(県返済ゆったり)」(cgc-gifu.or.jp/hosho/stable/entry-37.html)、岐阜県「令和8年度 県制度融資 資金別利率一覧表」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/491118.pdf)
- 令和8年度の制度改定
- 令和8年4月1日から、融資実行日が4月1日以降のものについて融資利率を全資金一律で年0.6%引き上げ。企業活力支援資金の新設(県の政策誘導型7資金を統合)、季節資金・売掛債権担保活用資金の取扱終了、小規模企業資金の新制度、一部資金の県の保証料補給率の引き下げも実施。適用利率・要件は改定で変わるため最新パンフレットで要確認
- 出典: 岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 中東情勢影響枠(令和8年6月1日新設)
- 経済変動対策資金に新設。最近1か月の売上高または売上総利益が前年同期比5%以上減少し、その後2か月を含めた3か月の平均も5%以上減少することが見込まれる中小企業者等が対象。融資利率年2.2%(固定)、融資限度額1億円、償還期間10年以内(据置期間2年以内)
- 出典: 岐阜県「中東情勢の影響を受ける中小企業者等の資金繰りを新たに支援します」令和8年5月14日発表(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/499213.pdf)
SECTION 01
岐阜県中小企業資金融資制度の仕組みと特徴
岐阜県の制度融資は、県が制度を設計し、金融機関が融資を実行し、岐阜県信用保証協会が信用補完を行う三者協調の仕組みです。事業者は取引のある金融機関の県内店舗を窓口に申し込み、保証協会の保証を付けて融資を受けます。
この制度の最大の特徴は二つあります。第一に長期固定の低金利で、借入時点の利率が返済まで続くため、金利上昇局面でも返済計画が立てやすい設計です。第二に信用保証料の一部を県が負担する点で、県が岐阜県信用保証協会へ保証料の一部を補給するため、利用者が負担する保証料率は県制度融資以外の保証付き融資より低くなります。
補給率は資金ごと・保証料率区分ごとに異なります。
創業支援資金など他のメニューでも県による保証料補助がありますが、補助の範囲はメニューごとに異なるため最新の要綱で確認したいところです。岐阜県は十六銀行・大垣共立銀行・岐阜信用金庫など地域金融機関が制度融資の取扱窓口となっており、製造業・建設業・観光業など県内の主要産業を支える資金調達手段として活用されています。
なお県は制度の見直しを毎年度行っており、令和8年度(2026年度)は4月1日から次の変更がありました。一つ目は、融資利率の引き上げです。融資実行日が令和8年4月1日以降のものについて、全資金一律で年0.6%引き上げられました。
二つ目は、企業活力支援資金の新設です。SDGs推進資金など県の政策誘導型7資金を廃止して一本化し、融資利率は年1.6%(償還期間が10年を超える場合は年2.0%)です。三つ目は、季節資金と売掛債権担保活用資金の取扱終了です。
四つ目は、小規模企業資金の新制度です。商工会議所または商工会を申込窓口にして決算報告書を提出すると、県の信用保証料補給率が年0.2%追加されます。五つ目は、一部資金での県の補給率の引き下げです。
さらに令和8年6月1日には、経済変動対策資金に「中東情勢影響枠」が新設されました(いずれも2026年10月2日時点で岐阜県の公式資料により確認)。適用される利率・要件は年度や改定時期によって変わるため、申込前に最新の県制度融資パンフレットで確認することが必須です。
SECTION 02
景況悪化に備える「経済変動対策資金」と「返済ゆったり資金」
資金繰りが厳しいときに使う代表的なメニューが「経済変動対策資金(県経済変動)」と「返済ゆったり資金(県返済ゆったり)」です。経済変動対策資金は、最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少している(通常は10%以上ですが、令和9年3月31日までは5%以上)、直近の単年度決算で欠損が生じている、親事業者の経営合理化の影響を受けているといった要件のいずれかに該当する事業者が対象で、運転資金・設備資金として利用できます。
岐阜県信用保証協会が公表する内容では、融資限度額は1億円、融資期間は10年(据置期間2年)です。融資利率は年2.2%(固定金利)で、令和8年度の全資金一律の引き上げ後の値です(2026年10月2日確認)。
令和8年6月1日には、中東情勢の影響を受ける事業者向けに「中東情勢影響枠」が新設されました。対象は、中東情勢による影響で最近1か月の売上高または売上総利益が前年同期比5%以上減少し、その後2か月を含めた3か月の平均も5%以上減少することが見込まれる中小企業者等です。県の発表資料では、中東情勢に伴う仕入れの停滞で売上高が減る卸売業や、資材価格の上昇で売上総利益が減る建設業が具体例に挙げられています。
融資利率(年2.2%・固定)、融資限度額(運転・設備とも1億円)、償還期間(10年以内、据置期間2年以内)は経済変動対策資金と同じで、担保は原則不要、保証人は原則として法人代表者以外は不要です。売上減少が見込まれる段階から相談できる点が特徴ですが、融資の可否や保証料率は個別の審査で決まります。
一方「返済ゆったり資金」は、すでに岐阜県中小企業資金融資制度を利用している事業者のうち、売上減少や欠損などの要件に該当する場合に、返済負担を軽減する目的で利用できる資金です。融資限度額は8,000万円、融資期間は運転・設備とも10年(据置期間2年)で、据置期間を活かして当面の返済を抑えながら立て直しを図る設計です。融資利率は金融機関所定の固定金利で、県が上限を定めています。
運転資金の令和8年度の上限は、県制度融資の旧債務だけを借り換える場合は年2.8%(償還期間7年以内)・年3.0%(7年超10年以内)、県制度融資以外の旧債務を含む場合は年3.8%・年4.0%です(2026年10月2日確認)。
いずれも長期固定の制度融資のため、短期のつなぎではなく中期的な資金繰り改善に向きます。
経済変動対策資金・返済ゆったり資金の概要(岐阜県・岐阜県信用保証協会の公表値、令和8年度・2026年10月2日確認)
| メニュー | 融資限度額 | 融資期間(据置) | 融資利率 | 主な対象 |
|---|---|---|---|---|
| 経済変動対策資金 | 1億円 | 10年(据置2年) | 年2.2%(固定) | 売上減少・欠損・親事業者影響などに該当する事業者 |
| 経済変動対策資金(中東情勢影響枠) | 1億円 | 10年以内(据置2年以内) | 年2.2%(固定) | 中東情勢で売上高または売上総利益が減少し、今後も減少が見込まれる中小企業者等 |
| 返済ゆったり資金 | 8,000万円 | 10年(据置2年) | 金融機関所定(上限 年2.8〜4.0%) | 制度融資利用中で売上減少・欠損などに該当する事業者 |
SECTION 03
申込の流れと相談先:金融機関の県内店舗を起点にする
岐阜県の制度融資は、金融機関の県内店舗の窓口で融資を申し込み、金融機関を通じて岐阜県信用保証協会に保証申込を行い、保証審査を経て金融機関が融資を実行する流れです。まずは取引のある十六銀行・大垣共立銀行・岐阜信用金庫などの融資担当に「岐阜県の制度融資を使いたい」と伝えるのが最短ルートになります。
県内の地域金融機関は製造業・建設業・観光業など岐阜県の主要産業に精通しており、業種特性を踏まえた相談ができます。経済変動対策資金や返済ゆったり資金のように売上減少を要件とするメニューでは、最近3か月の売上高が前年同期比でどれだけ減ったかを示す試算表・売上資料が必要になるため、直近の決算書(税務申告書一式)・試算表・資金繰り表とあわせて準備します。
市区町村にも独自の融資制度や利子補給・保証料補助があり、県制度と併用できる場合があるため、所在市町村の最新案内も確認しておくと総コストを抑えられます。制度融資の全体像や他自治体との比較は自治体制度融資の完全ガイドを参照してください。
保証料の県負担を取りこぼさない
岐阜県の制度融資では、県が岐阜県信用保証協会に信用保証料の一部を補給することで、利用者が負担する保証料率を県制度融資以外の保証付き融資より低くしています。補給率は資金ごと・保証料率区分ごとに異なり、令和8年8月1日現在の県の手引きでは、経済変動対策資金・創業支援資金で年0.10〜1.00%、経営安定資金・企業活力支援資金・事業承継支援資金で年0.0〜0.2%(区分によっては補給なし)と示されています。小規模企業資金では、商工会議所または商工会を申込窓口にして決算報告書を提出する新制度を選ぶと、補給率が年0.2%追加されます。
令和8年度は一部資金で県の補給率が引き下げられているため、申込前に、どのメニューでどの保証料率になるかを金融機関や保証協会に確認すると、実質的な調達コストを見通せます。保証料率は信用保証協会が決算内容などをもとに区分を決めるため、同じ資金でも事業者ごとに異なります。
利率・限度額は必ず最新の要綱で確認する
本記事の限度額・融資期間は、岐阜県の令和8年度パンフレットと令和8年8月版の手引き、岐阜県信用保証協会の公表内容によります。融資利率は、融資実行日が令和8年4月1日以降のものについて全資金一律で年0.6%引き上げられ、経済変動対策資金は年2.2%、返済ゆったり資金は金融機関所定利率(上限は年2.8〜4.0%)です(2026年10月2日確認)。融資利率は固定で、当初の融資で適用された利率は償還が終わるまで変わりません。
一方、県のパンフレットには、金利情勢などによって資金や融資条件が改正される場合があると記載されています。融資対象の要件を満たしていても、金融機関と保証協会の審査の結果、希望に沿えない場合があります。申込先の金融機関または岐阜県信用保証協会で見積もりを取り、県の最新のパンフレット・利率改定一覧表で確認したうえで判断してください。
SOURCES
この記事で参照した根拠
- 01
制度の運営主体と特徴
出典: 岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 02
信用保証料の県補給
出典: 岐阜県「令和8年度 岐阜県中小企業資金融資制度の手引」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/509630.pdf)、岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 03
経済変動対策資金の限度額・期間・利率
出典: 岐阜県信用保証協会「経済変動対策資金(県経済変動)」(cgc-gifu.or.jp/hosho/situation/entry-36.html)、岐阜県「令和8年度 岐阜県中小企業資金融資制度の手引」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/509630.pdf)
- 04
返済ゆったり資金の限度額・期間・利率
出典: 岐阜県信用保証協会「返済ゆったり資金(県返済ゆったり)」(cgc-gifu.or.jp/hosho/stable/entry-37.html)、岐阜県「令和8年度 県制度融資 資金別利率一覧表」(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/491118.pdf)
- 05
令和8年度の制度改定
出典: 岐阜県「岐阜県中小企業資金融資制度」(pref.gifu.lg.jp/page/2522.html)
- 06
中東情勢影響枠(令和8年6月1日新設)
出典: 岐阜県「中東情勢の影響を受ける中小企業者等の資金繰りを新たに支援します」令和8年5月14日発表(pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/499213.pdf)
数値・制度は変更される場合があります。確認方法と訂正方針は 運営・編集方針をご覧ください。
FAQ
よくある質問
Q岐阜県の制度融資はどんな仕組みですか?▼
岐阜県・金融機関・岐阜県信用保証協会の三者が協力して融資を行う制度融資です。県が制度を設計し、金融機関が融資を実行し、保証協会が信用補完を担います。長期固定の低金利と、信用保証料の一部を県が負担する点が特徴で、金融機関の県内店舗が申込窓口になります。
Q岐阜県の制度融資は保証料の負担が軽くなりますか?▼
県が岐阜県信用保証協会に信用保証料の一部を補給するため、利用者が負担する保証料率は県制度融資以外の保証付き融資より低くなります。補給率は資金ごと・保証料率区分ごとに異なり、令和8年8月1日現在の県の手引きでは、経済変動対策資金で年0.10〜1.00%です。令和8年度は一部資金で補給率が引き下げられているため、申込前に、利用するメニューの保証料率を金融機関や保証協会に確認するとよいです。
Q売上が減って資金繰りが厳しいときはどのメニューが向きますか?▼
最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少しているなどの要件に該当する場合、経済変動対策資金(県経済変動)を利用できます。この5%は令和9年3月31日までの取扱いで、通常は10%以上です。融資限度額は1億円、融資期間は10年(据置2年)、融資利率は年2.2%(固定、2026年10月2日確認)です。
中東情勢の影響で売上高などの減少が見込まれる場合は、令和8年6月1日に新設された中東情勢影響枠も選べます。すでに制度融資を利用中なら、返済負担を軽くする返済ゆったり資金(限度額8,000万円)も選択肢になります。融資の可否は金融機関と保証協会の個別審査で決まります。
Q返済ゆったり資金とはどんな資金ですか?▼
すでに岐阜県中小企業資金融資制度を利用している事業者のうち、売上減少や欠損などの要件に該当する場合に、返済負担を軽減する目的で使える資金です。融資限度額は8,000万円、融資期間は運転・設備とも10年で据置期間2年が設定でき、据置を活かして当面の返済を抑えながら立て直しを図れます。融資利率は金融機関所定の固定金利で、県が定める令和8年度の上限は年2.8〜4.0%です(2026年10月2日確認)。
Q岐阜県の制度融資はどこに申し込めばよいですか?▼
取引のある金融機関の県内店舗の窓口で融資を申し込みます。十六銀行・大垣共立銀行・岐阜信用金庫など県内の地域金融機関が取扱窓口です。金融機関を通じて岐阜県信用保証協会に保証申込を行い、保証審査を経て金融機関が融資を実行する流れになります。
Q令和8年度に制度は変わりましたか?▼
令和8年4月1日から、融資実行日が4月1日以降のものについて、全資金で融資利率が一律年0.6%引き上げられました。あわせて企業活力支援資金の新設、季節資金・売掛債権担保活用資金の取扱終了、小規模企業資金の新制度、一部資金の県の保証料補給率の引き下げが行われています。利率や要件は年度の制度改定によって変わるため、申込前に最新の県制度融資パンフレット・利率改定一覧表で確認することが必要です。
Q中東情勢影響枠とは何ですか?▼
経済変動対策資金に令和8年6月1日に新設された枠です。中東情勢の影響で最近1か月の売上高または売上総利益が前年同期比5%以上減少し、その後2か月を含めた3か月の平均も5%以上減少することが見込まれる中小企業者等が対象です。融資利率は年2.2%(固定)、融資限度額は運転・設備資金とも1億円、償還期間は10年以内(据置期間2年以内)です。
融資の可否や保証料率は個別の審査で決まるため、取引のある金融機関や岐阜県信用保証協会に事前に相談します。
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