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リラクゼーション・マッサージ店の開業資金ガイド|融資制度

公開: 2026-06-08

リラクゼーション・もみほぐし店は比較的少ない初期投資で開業しやすい一方、業態を選ぶ最初の分岐が「無資格で開ける『リラクゼーション』」か「国家資格が必要な『あん摩マッサージ指圧』」かだ。この区分で必要な手続きも設備も変わる。本記事では資金需要の分解と、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金を中心とした調達ルートを、資格区分とあわせて整理する。

ポイント

この記事のポイント

日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」融資限度額

7,200万円

出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」融資制度ページ(jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)

同制度の対象者・返済期間

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方。設備資金20年以内(据置5年以内)・運転資金10年以内(据置5年以内)

出典: 日本政策金融公庫「新規開業・スタートアップ支援資金」融資制度ページ(jfc.go.jp/n/finance/search/01_sinkikaigyou_m.html)

「あん摩マッサージ指圧」を業とするには国家資格が必要

医師以外であん摩・マッサージ・指圧等を業とする者は、あん摩マッサージ指圧師免許を受けなければならない。無免許で業とした者は50万円以下の罰金

出典: あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律 第1条・第13条の7(e-Gov法令検索)

無資格者によるあん摩マッサージ指圧業の防止

国家資格を持たない者の施術による健康被害相談が報告されており、無資格者によるあん摩マッサージ指圧業の防止が周知されている

出典: 厚生労働省「無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について」

まず決めるのは「無資格リラクゼーション」か「国家資格マッサージ」か

リラクゼーション・マッサージ系の店を開くとき、開業資金の前にまず確定させるべきなのが業態の区分だ。心身のリラックスや疲労回復を目的とした「もみほぐし」「リフレクソロジー(足つぼ)」「ストレッチ」などのリラクゼーションは、医療行為に当たらない範囲であれば資格を必要としない。一方で「あん摩・マッサージ・指圧」を業として行うには、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律により、あん摩マッサージ指圧師の国家資格(厚生労働大臣免許)が必要になる。同法第1条は、医師以外の者があん摩・マッサージ・指圧等を業とするには免許を受けなければならないと定めており、無免許で業とした場合は第13条の7により50万円以下の罰金の対象となる。厚生労働省も「無資格者によるあん摩マッサージ指圧業等の防止について」で、国家資格を持たない者の施術による健康被害相談が報告されているとして注意喚起している。つまり「リラクゼーション」を掲げて無資格で開業すること自体は否定されないが、医療類似のマッサージを業として行うなら国家資格が前提になる。この区分は、後述する施術所の開設届の要否や設備の方向性にも直結するため、資金計画の最初の前提として固める必要がある。

整体・もみほぐし・足つぼの位置づけ

整体・もみほぐし・カイロプラクティック・リフレクソロジーは、医療行為に該当しないリラクゼーション目的の施術として、資格がなくても開業できる業態に位置づけられる。ただし「マッサージ」という語は本来あん摩マッサージ指圧師の業務を指すため、無資格の店が看板や広告で施術内容をどう表現するかには注意が必要で、誇大・誤認を招く表示は避けるのが基本だ。資格の有無は集客手段や保険適用の可否にも関わるため、自店をリラクゼーションとして運営するのか、国家資格者を擁する施術所として運営するのかを最初に決めておく。

国家資格を持つ場合は施術所の開設届が必要

あん摩マッサージ指圧師の免許を持って「あん摩マッサージ指圧」の施術所を開く場合は、開設地の保健所へ施術所開設届を提出する手続きが発生する。多くの保健所では、開設届に加えて施術者の免許証の写し、各室の用途・寸法や消毒設備を示す平面図、案内図などの添付を求めている。無資格のリラクゼーション店ではこの施術所開設届は不要だが、その代わりに「あん摩・マッサージ・指圧」を業として標榜・実施できない点が制約になる。どちらの業態かによって必要な行政手続きが変わるため、開業予定地の保健所で具体的な必要書類を事前に確認しておきたい。

開業資金は「内装・設備」と「運転資金」に分けて設計する

リラクゼーション・マッサージ店の開業資金は、性質の異なる2つの塊に分けて考えると調達設計がしやすい。1つは店舗を立ち上げるためにまとまって出ていく「内装・設備資金」で、内装・改装工事、施術ベッドやチェア(リクライニング・足つぼ用など)、タオルウォーマー、待合什器といった備品、物件取得費(敷金・礼金・保証金・前家賃)が含まれる。もう1つが開業後の「運転資金」で、家賃・人件費・水道光熱費に加え、タオル・オイル・消耗品の補充費が毎月発生する。リラクゼーション業は在庫や高額機器をあまり持たないため、製造業や整骨院に比べると初期の設備投資は軽くなりやすい。一方で売上は施術者の人手に依存する労働集約型で、立ち上がり期は集客が固まるまで時間がかかるため、固定費が先行しやすい。具体的なベッド単価・内装単価・物件費は、自宅開業かテナント開業か、規模や立地、新品か中古かで大きく振れるため、複数業者から見積りを取り、金額を固定してから資金計画に落とし込むのが安全だ。

施術ベッド・チェア・内装は設備資金として組む

施術ベッド、リクライニングチェアや足つぼ用チェア、タオルウォーマー、待合・受付什器などは、開業時にまとまって発生する設備資金だ。新品で一式そろえると負担が増えるため、中古備品の活用やリースで初期支出を圧縮する選択肢もある。内装・改装工事費は、テナントの状態(スケルトン渡しか居抜きか)で大きく変わり、居抜きの美容・サロン物件を活用できれば工事費を抑えられる。物件取得費(敷金・礼金・保証金・前家賃)とあわせて、開業前にまとまって出ていく資金として設備資金枠で組むのが一般的だ。日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金なら、設備資金は20年以内(据置5年以内)の長期返済が使える。

集客が固まるまでの運転資金とタオル・オイルの消耗品費

リラクゼーション業は設備が軽い分、売上は施術者の稼働と来店数に直結する。開業直後はリピーターが付くまで来店が読みにくく、家賃・人件費・水道光熱費といった固定費が先行しやすい。さらにタオル・オイル・使い捨て備品などの消耗品費が毎月発生し、施術回数が増えるほど比例して増える。スタッフ(施術者・受付)を採用する場合は給与が開業初月から発生するため、損益分岐に届くまでの立ち上がり期間を支える運転資金を厚めに見込んでおく必要がある。運転資金は新規開業・スタートアップ支援資金で運転資金10年以内(据置5年以内)の枠が使えるため、据置期間を活用して立ち上がり期の返済負担を後ろ倒しにする設計が有効だ。

使える融資:日本政策金融公庫・民間銀行・自治体制度融資

リラクゼーション・マッサージ店の開業資金の調達ルートは、大きく①日本政策金融公庫、②民間銀行(プロパー・信用保証協会付き)、③自治体の制度融資の3つに分かれる。中核になるのは日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」で、新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とし、融資限度額は7,200万円、設備資金は20年以内(据置5年以内)、運転資金は10年以内(据置5年以内)の長期返済が組める。2024年3月に旧「新創業融資制度」が廃止され、新規開業向けの無担保・無保証人の枠は新規開業・スタートアップ支援資金へ統合・拡充された点に注意したい(古い制度名で情報収集すると現行と食い違う)。民間銀行は決算実績のない新規開業に慎重なのが基本だが、自治体の制度融資(信用保証協会の保証付き)を併用すれば、保証によって民間からの調達ハードルが下がる。制度融資の条件は自治体ごとに異なるため、開業予定地の自治体・信用保証協会の最新要件を必ず確認する。リラクゼーション業は設備投資が軽い分、自己資金の厚みと事業計画(立地・想定客単価・回転数・人員計画)の精度が審査評価を左右しやすいので、無形の人手に依存する業態であることを踏まえた計画づくりが重要になる。創業融資全般の進め方は<a href="/guide/startup-loan-guide">創業融資の基礎ガイド</a>もあわせて参考になる。

リラクゼーション・マッサージ店の開業資金の主な調達ルート

調達ルート主な対象資金特徴
日本政策金融公庫(新規開業・スタートアップ支援資金)設備資金・運転資金限度額7,200万円。設備20年・運転10年の長期返済。新規開業者の中心ルート
民間銀行(プロパー融資)設備資金・運転資金新規開業は慎重だが、事業計画の精度次第で対象になりうる
自治体の制度融資(信用保証協会付き)設備資金・運転資金保証付きで民間調達のハードルが下がる。条件は自治体ごとに異なる
リース施術ベッド・チェア等の設備初期支出を抑えられる。融資購入と比較して選ぶ
FAQ

よくある質問

Qリラクゼーション・もみほぐし店は資格がなくても開業できますか?
A

心身のリラックスや疲労回復を目的としたもみほぐし・リフレクソロジー・整体などのリラクゼーションは、医療行為に当たらない範囲であれば資格がなくても開業できる。ただし「あん摩・マッサージ・指圧」を業として行うには、あん摩マツサージ指圧師等に関する法律により国家資格(あん摩マッサージ指圧師免許)が必要になるため、業態の区分を最初に確定させることが大切だ。

Qリラクゼーションと「あん摩マッサージ指圧」は何が違いますか?
A

無資格で開けるリラクゼーション(もみほぐし・足つぼ等)は、リラックスや疲労回復を目的とした施術だ。一方「あん摩・マッサージ・指圧」を業として行うには国家資格が必要で、あん摩マツサージ指圧師等に関する法律第1条が医師以外の者の免許取得を義務づけ、無免許で業とした場合は第13条の7により50万円以下の罰金の対象になる。資格の有無で必要な手続きや標榜できる施術が変わる。

Q国家資格を持つ場合、開業時に必要な届出はありますか?
A

あん摩マッサージ指圧師の免許を持って施術所を開く場合は、開設地の保健所へ施術所開設届を提出する。多くの保健所では、開設届に加えて施術者の免許証の写し、各室の用途・寸法や消毒設備を示す平面図、案内図などの添付を求めている。無資格のリラクゼーション店ではこの施術所開設届は不要だが、その分「あん摩・マッサージ・指圧」を業として標榜できない。具体的な必要書類は開業予定地の保健所に確認するとよい。

Q開業資金にはどんな項目がありますか?
A

内装・改装工事費、施術ベッドやチェア・タオルウォーマーなどの備品、物件取得費(敷金・礼金・保証金・前家賃)といった設備資金と、開業後の家賃・人件費・水道光熱費・タオル/オイルなどの消耗品費を当面まかなう運転資金に分かれる。リラクゼーション業は高額機器が少なく初期投資が軽くなりやすい一方、売上が施術者の人手に依存するため、立ち上がり期の運転資金を厚めに見込む必要がある。

Q日本政策金融公庫はどの制度を使えますか?
A

新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方を対象とした「新規開業・スタートアップ支援資金」が中心になる。融資限度額は7,200万円で、設備資金は20年以内(据置5年以内)、運転資金は10年以内(据置5年以内)の長期返済が組める。リラクゼーション・マッサージ店の新規開業でも対象となり、据置期間を活用して立ち上がり期の返済負担を後ろ倒しにできる。

Q設備投資が軽い業態でも融資審査で評価されるポイントは何ですか?
A

リラクゼーション業は高額機器や在庫が少なく初期投資が軽い分、自己資金の厚みと事業計画の精度が審査評価を左右しやすい。立地・想定客単価・1日の施術回転数・人員計画・損益分岐までの見通しを事業計画書に具体的に落とし込むことが重要になる。売上が施術者の人手に依存する労働集約型である点を踏まえ、立ち上がり期の運転資金の見積りもあわせて示すと説得力が増す。

Q民間銀行や自治体の制度融資は使えますか?
A

民間銀行は決算実績のない新規開業に慎重なのが基本だが、自治体の制度融資(信用保証協会の保証付き)を併用すれば調達ハードルが下がる。制度融資の条件は自治体ごとに異なるため、開業予定地の自治体・信用保証協会の最新要件を必ず確認すること。日本政策金融公庫と組み合わせて調達するケースが多い。

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