要点
EC・通販業が融資を探す前に見るポイント
- 向いている銀行
- ネット銀行の法人向け融資は業種を限った商品ではなく、申込条件と審査の方法が商品ごとに異なる。GMOあおぞらネット銀行のあんしんワイドは同行の法人口座が必要で、決算書の代わりに入出金明細で審査する。PayPay銀行のビジネスローン(法人向け)は業歴2年以上または決算2期終了の法人が対象で、申込時の書類提出は原則不要(審査の過程で決算書等を求められる場合がある)。楽天銀行ビジネスローンは決算書または確定申告書3期分の提出と原則として担保が必要。銀行融資に加え、Amazon Lending(マーケットプレイス出店者向け)も選択肢。中規模以上なら地方銀行・政府系も活用できる。
- 主な資金使途
- 在庫仕入れ・先行購入(運転資金)、広告費・マーケティング費(短期運転資金)、物流倉庫・設備(長期設備資金)、自社ECサイト・アプリ開発(IT投資)、越境EC・海外展開資金。
- 審査のポイント
- プラットフォーム別売上(Amazon・楽天・Yahoo等)のデータ、在庫回転率・廃棄ロス率、広告費対売上比(ROAS)の安定性。季節変動・セール依存度も確認される。返品率の推移も資料にまとめておく。
EC・通販業の融資ポイント
向いている銀行
ネット銀行の法人向け融資は業種を限った商品ではなく、申込条件と審査の方法が商品ごとに異なる。GMOあおぞらネット銀行のあんしんワイドは同行の法人口座が必要で、決算書の代わりに入出金明細で審査する。PayPay銀行のビジネスローン(法人向け)は業歴2年以上または決算2期終了の法人が対象で、申込時の書類提出は原則不要(審査の過程で決算書等を求められる場合がある)。楽天銀行ビジネスローンは決算書または確定申告書3期分の提出と原則として担保が必要。銀行融資に加え、Amazon Lending(マーケットプレイス出店者向け)も選択肢。中規模以上なら地方銀行・政府系も活用できる。
主な資金使途
在庫仕入れ・先行購入(運転資金)、広告費・マーケティング費(短期運転資金)、物流倉庫・設備(長期設備資金)、自社ECサイト・アプリ開発(IT投資)、越境EC・海外展開資金。
審査のポイント
プラットフォーム別売上(Amazon・楽天・Yahoo等)のデータ、在庫回転率・廃棄ロス率、広告費対売上比(ROAS)の安定性。季節変動・セール依存度も確認される。返品率の推移も資料にまとめておく。
ネットショップ開業時の初期費用の内訳
ネットショップの開業費用は、開業前に一括で出る固定費(サイト制作・商品撮影、モール出店の初期費用と月額システム利用料、初回仕入れ)と、売上連動の変動費(販売手数料・売上ロイヤリティ・決済手数料・広告費)に分ける。代表値はAmazon大口出品の月額登録料4,900円(税抜)、Yahoo!ショッピングの月額システム利用料10,000円(税抜)と売上ロイヤリティ2.5%。固定費は創業融資の設備・運転資金、変動費は運転資金や当座貸越で手当てする。
必要書類
決算書(直近2〜3期)、モールの管理画面データ(月次売上・購入件数・在庫数)、広告費用の内訳、物流コスト明細。ネット銀行の融資も必要書類は商品ごとに異なる。GMOあおぞらネット銀行のあんしんワイドは入出金明細で審査し、決算書と事業計画書は不要。同じ銀行のGMOあおぞらビジネスローンは、直近の決算書2期分の提出が必要。
注意点
Amazonブランド規制・楽天規約変更・検索アルゴリズム変更で売上が急変するリスクをどう説明するかが重要。売上が1つのモールに偏っている場合は、複数モールへの出店や自社ECの比率を示してリスクの分散を説明する。
金利確認の観点
EC融資の条件は、審査に使う資料(入出金明細か決算書か)、在庫・売掛金の管理、プラットフォーム依存度、保証の有無で変わる。ネット銀行・地方銀行・プラットフォーム融資は、金利だけでなく利用枠、返済方法、手数料、審査に使う資料を比較する。
EC・通販業に向いている銀行
「新規開業・スタートアップ支援資金」(2025年3月に新規開業資金から改称)は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の事業者を対象とし、融資限度額7,200万円。担保・保証人は希望を伺いながら相談する方式で、無担保・無保証人での対応も可能。創業期の方が無担保・無保証人で利用する場合(旧新創業融資制度)は2024年4月1日に拡充され、限度額が3,000万円から7,200万円になり、自己資金の要件もなくなった。事業計画書の内容・経営者の資質を評価する審査方式で、政府系創業融資の代表例。
商工中金の融資対象は、株主である中小企業団体とその構成員が中心で、共同出資会社、海外現地法人、事業承継予定者などの相談にも応じる。相談時点で組合員でなくても相談できるが、融資時点では構成員等となる必要がある。新規融資の相談は最寄りの本・支店へ電話し、営業日の9時から17時に受け付けるため、自社の組合との関係と資金使途を先に確認したい。法人口座開設は登記事項証明書(作成後6カ月以内の原本提示)と取引担当者の本人確認書類が必要で、所定の資料の提出を求められる場合がある。
融資枠型ビジネスローンのあんしんワイドはオンライン完結型で、決算書、事業計画書、担保、保証人が不要と案内されている。審査はGMOあおぞらネット銀行または他行の入出金明細で行われ、申込時には法人代表者と同行ローン担当者のオンライン面談(商品概要説明書ではZoomまたは電話、商品ページの流れでは電話ヒアリング)があり、申込内容により面談なしで審査結果が連絡される場合もある。その後、審査結果のメール通知、契約後のインターネットバンキング借入と進む。申込には同銀行の法人口座が必要なため、口座開設と日々の入出金を同じ銀行に集約している法人ほど使いやすい。
「創業支援ローン〜起業のとびら〜」は独立・新規開業者向けの専用商品。農業・畜産・建設など岩手の主力産業に精通した担当者が在籍し、業種固有の季節的資金繰りや収穫期の運転資金需要を考慮した審査スタンスを持つ。地方銀行として都市銀行より中小企業向けの対応が積極的。
「77ニュービジネス支援資金」は新規創業から創業後5年以内を対象に運転資金10年・設備資金15年の長期融資を提供。宮城県信用保証協会との連携があり、創業専用相談窓口を設けており、業歴が浅い段階でも融資相談への入口が広い。
常陽ビジネスローン「クイックJ」は決算書1期・自己資本または税引後当期利益のいずれかプラスで申込可能で、担保・第三者保証は不要。法人設立1年以上から対象で、ネット/FAXで申込みすると3営業日以内に仮審査結果が回答される。通常の地方銀行より間口が広い設計。法人口座開設はWEB申込みに対応し、当行と取引がない茨城県内本店法人が対象(通帳発行のない事業用普通預金口座に限る)。必要書類は履歴事項全部証明書・印鑑登録証明書(ともに発行後3カ月以内)、実質的支配者の確認資料(株式会社のみ)等で、申込から口座番号連絡まで2〜3週間程度を要する(年末年始や追加確認がある場合はさらに時間を要する)。
よくある質問
Qネットショップの開業資金はどこから調達できますか?▼
ネットショップ開業の初期費用は、サイト制作費や初回仕入れなど開業前に出る固定費と、モールの販売手数料や広告費など売上連動の変動費を分けて積み上げ、事業計画に載せます。モールの費用は公式料金表で確認でき、Amazon出品サービスは大口出品が月額登録料4,900円(税抜)、小口出品は商品ごとに100円で、いずれも販売手数料(多くの場合5〜15.4%)が別途かかります。Yahoo!ショッピングは初期費用0円・月額システム利用料10,000円(税抜)・売上ロイヤリティ2.5%に加え、ストアポイント原資1%とアフィリエイトパートナー報酬2〜4%が必須で、決済サービス利用料は決済方法により異なります(2026年9月時点の各社公式案内)。固定費・初期の運転資金は、日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(最大7,200万円)が代表的な候補です。開業前や、開業後の税務申告を2期終えていない創業期は、原則として無担保・無保証人で利用できます。自社ECの構築費用は、デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)との併用も検討できます。売上が立ってからの仕入れ・広告費は、ネット銀行のオンライン融資商品やプラットフォーム融資と比較して選びます。
Q創業直後のECサイトでも融資を受けられますか?▼
困難ですが選択肢はあります。①日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資金(事業計画書・自己資金が重要)②デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)でシステム構築費用を補助③地域の信用金庫に創業融資を相談。ECは「実店舗なし」なので店舗担保がなく、審査は事業計画と代表者の経験が中心になります。EC業界の職歴・過去の実績(他社での管理経験等)を積極的に説明してください。
QAmazon・楽天などのプラットフォームが提供する融資は銀行融資の代わりになりますか?▼
「Amazon Lending」「楽天スーパービジネスローン」等のプラットフォーム融資は、売上データを審査に使える点が特徴です。商品ごとに対象者・必要書類・利用枠・金利・返済方法が異なるため、銀行融資と総支払額や返済期間を比較します。小口・急ぎの仕入れ資金では候補になりますが、大口・長期の調達では複数金融機関へ相談します。
QEC事業の在庫をABL(動産担保融資)で借りることはできますか?▼
原則として可能ですが、EC在庫の担保評価は厳しく見られる場合があります。理由は「陳腐化リスク」「流通価格の変動が大きい」「写真で在庫確認が難しい」ことです。在庫ABLの取扱いは金融機関ごとに異なるため、売掛金担保融資(注文後・配送後の未収入金)なども比較します。
※ 制度名・金額は目安です。最新情報は公式情報でご確認ください。