IT・ウェブの融資ポイント
向いている銀行
ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行・PayPay銀行)はIT企業のビジネスモデルを理解した審査が得意。日本政策金融公庫の無担保融資。スタートアップ支援に積極的なみずほ・三井住友等の都市銀行のスタートアップ部門。
主な資金使途
エンジニア採用・外注費(運転資金)、サーバー・クラウドインフラ費用(設備資金)、マーケティング・広告投資(事業拡大資金)、M&Aによる事業拡大(M&A資金)。
審査のポイント
ARR(年間経常収益)・MRRの推移と成長率。SaaSなら解約率(チャーンレート)・LTV。受注残高と契約継続性。VC調達歴とVCの顔ぶれも信用補完になる。
必要書類
決算書・月次試算表、ARR/MRR推移レポート、契約書の写し(顧客リスト)、事業計画書(KPI含む)。VCから投資を受けている場合は投資契約書の概要も有効。
注意点
赤字でも成長率が高く受注残がある場合は積極的に説明することが重要。担保がなければ信用保証協会付き融資を活用するとハードルが下がる。SES(客先常駐)と自社プロダクトでは審査基準が異なる。
金利の目安
ネット銀行:2〜5%。日本政策金融公庫(無担保):1.5〜3%。都市銀行(安定後):1〜2%台。スタートアップ段階では信用保証協会の保証付きで1.5〜2.5%程度が現実的。
IT・ウェブに向いている銀行
「新規開業・スタートアップ支援資金」(2024年4月に旧新創業融資制度を統合)は新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の事業者を対象とし、融資限度額7,200万円。担保・保証人は希望を伺いながら相談する方式で、無担保・無保証人での対応も可能。事業計画書の内容・経営者の資質を評価する審査方式で、政府系創業融資の代表例。
融資対象は公式に「商工中金の株主になっている中小企業団体(商工中金株主団体)とその構成員」と定義され、中小企業等協同組合・協業組合・商工組合・商店街振興組合などの構成員企業が一般的な融資(事業資金)の利用対象。返済期間は運転資金10年以内・設備資金15年以内(いずれも据置期間2年以内)に設定されており、組合経由の申込により民間銀行では条件が合わない中小企業でも相談しやすい。
「あんしんワイド」は書類・担保・保証人不要で、創業初期・前年度赤字の法人でも申込可能。審査は口座の直近2ヶ月分の入出金明細のみで行われ、決算書は不要。freee・弥生ユーザー向けの連携ローンも同条件で提供している。
信用保証協会保証付貸出(各地の保証協会との提携融資制度)で中小企業の運転・設備資金(原則10年以内)に対応。2025年4月にはオリックスとの保証提携を開始し、中堅・中小企業向けに1社最大1億円まで無担保の事業性融資を提供できる体制を整えた。新規取引先はみずほ銀行の口座開設からの関係構築が前提。
通常の法人融資は業歴2年以上・決算書2〜3期・黒字実績が基本で初取引先は口座開設後に一定の取引履歴が求められる。既存口座保有法人向け「Biz LENDING」はAI審査・決算書不要・最大1,000万円で間口が広がっているが対象は当行既存顧客に限定される。
「ビジネスセレクトローン」は業歴2年以上・決算書3期分を提出できる中小企業向けの無担保・第三者保証不要の融資で、約4万社の取引実績がある。SMBC信用保証(グループ保証会社)と連携した保証協会保証付き融資も整備し、メガバンク3行の中で中小企業向けの商品ラインが最も充実している。
よくある質問
Q創業2年目のIT企業が融資を受けるには?▼
創業2年目なら日本政策金融公庫の新創業融資制度が最適です。ITの場合、自社サービスのサブスクリプション契約数・MRRの成長を示せると審査で有利です。また、受注確定の案件があれば注文書を添付することで実態を証明できます。
QVC未調達のスタートアップでも銀行融資は受けられますか?▼
受けられます。日本政策金融公庫は創業初期に強く、VC調達は必須条件ではありません。重要なのは市場規模・競合優位性・代表者の経歴をまとめた事業計画書の質です。事業実績(売上・顧客数)が少しでもあれば説得力が増します。
QSES(システム開発受託)と自社プロダクト、どちらが融資を受けやすいですか?▼
一般的にSES・受託開発のほうが売上の安定性が見えやすく、短期的には融資を受けやすい傾向があります。自社プロダクト(SaaS等)はARR・MRRが積み上がれば将来的に大型融資の道が開けます。審査では「継続的な売上の見込み」が評価されます。
この業種に向いている銀行
みずほ銀行
みずほ銀行は国内最大規模の都市銀行として、大企業から中堅・中小企業まで幅広い法人融資に対応する。シンジケートローンや社債引受けなど大型案件に強みを持つ一方、中小企業向けの事業資金融資にも専用窓口を設けている。審査は財務状況・取引実績を重視する傾向があり、決算書2〜3期分の提出が基本となる。グループ会社のみずほ信託銀行やみずほ証券との連携により、融資にとどまらない総合的な財務サポートが可能。全国に広がる拠点ネットワークと豊富なビジネスマッチング機能を活用したい中堅・大企業に向いている。
三菱UFJ銀行
三菱UFJ銀行は国内最大の総資産規模を誇る都市銀行であり、法人融資においても多様なラインナップを提供する。大企業向けのプロジェクトファイナンスや海外展開支援から、中小企業向けの運転資金・設備資金まで対応範囲が広い。審査は厳格な財務分析を基本とするが、業歴・業種・担保状況を総合的に判断する。MUFGグループのネットワークを通じた海外送金・貿易金融に強く、輸出入を伴う製造業や商社との親和性が高い。事業承継や事業再生分野にも専門チームを置いており、経営課題が複雑な企業の中長期的な資金調達にも対応できる。
PayPay銀行
PayPay銀行は旧ジャパンネット銀行を前身とするネット銀行で、法人向けにはビジネスローンや当座貸越タイプの事業資金融資を提供している。審査はオンライン完結型で、来店不要・最短翌営業日回答という手続きの迅速さが最大の特徴。法人口座の売上入金実績や資金繰りデータをもとに審査するため、業歴が短いIT系スタートアップや個人事業主の法人成り直後でも検討しやすい。一方で大型の設備資金融資や有担保融資には対応しておらず、運転資金の短期調達に向いたサービスと理解しておく必要がある。PayPayとの連携サービスを活用したEC・小売事業者との親和性が高い。
ソニー銀行
ソニー銀行はソニーフィナンシャルグループのネット銀行で、個人向けサービス(外貨預金・住宅ローン・カードローン等)に特化している。公式HP上で法人向け融資商品(ビジネスローン・事業性融資等)の案内はなく、法人口座開設サービスも提供していない。事業者を対象とした関連サービスとしては投資型クラウドファンディング「Sony Bank GATE」があるが、これはソニー銀行が事業者へ融資する商品ではなく、ソニー銀行口座を持つ個人投資家が事業者プロジェクトに匿名組合出資する仕組みであり、融資調達手段としての適用範囲は限定的。法人融資を検討する場合は他のネット銀行・地銀・信金等を検討する必要がある。
住信SBIネット銀行
住信SBIネット銀行は三井住友信託銀行とNTTドコモ共同経営のネット銀行(2025年10月にドコモの連結子会社化、2026年8月3日に「ドコモSMTBネット銀行」へ商号変更予定)で、法人向けにはビジネスローンやAIスコアリングを活用した融資審査サービスを提供している。財務データだけでなく、口座の入出金データ・クラウド会計ソフトとの連携情報をスコアリングに活用するAI審査が特徴で、創業間もないスタートアップや財務資料が薄い企業でも審査機会を得やすい。申込みから融資実行までオンライン完結が可能で、手続きの簡便さを重視する経営者には使いやすい環境が整っている。IT・EC・サービス業などのデジタル事業者との親和性が高く、会計ソフト連携による経営状況の可視化を積極的に進めている企業は審査で有利に働く場合がある。
GMOあおぞらネット銀行
GMOあおぞらネット銀行はGMOグループとあおぞら銀行が共同出資するネット銀行で、法人向け融資・API連携・外部サービス接続に積極的な点が特徴。法人口座は最短翌営業日開設に対応し、会計ソフト・クラウドERPとのAPI連携によって資金繰り管理を自動化したいIT系スタートアップや中小企業に向いている。融資面では当座貸越型のビジネスローンを提供しており、必要なときに必要な額だけ引き出せる柔軟な資金調達が可能。スタートアップ・フリーランス・EC事業者が主な利用層であり、SaaSや広告代理事業など収益が変動しやすいデジタル系ビジネスの運転資金調達に活用されている。大型の設備資金や担保付融資は対応範囲外のため、補完的な融資源として活用するのが現実的。
京都銀行
京都銀行は京都府を地盤とする地方銀行の有力行で、伝統産業・IT・精密機械・医療機器など多様な産業が共存する京都の産業特性に対応した法人融資を提供している。京都の老舗企業から大学発スタートアップまで幅広い顧客層を持ち、事業ステージに応じた融資設計が得意。近年はベンチャーファイナンスにも積極的で、ゲーム・IT・医療機器など京都発のスタートアップへの融資・出資実績を積み重ねている。京都府信用保証協会との連携による保証付き融資と自己資本比率が高い企業へのプロパー融資を使い分けており、成長段階に応じた資金調達のサポートが可能。製造業・IT・医療・不動産と業種を問わず対応できる点が強みで、京阪神エリアで事業を拡大する中小・中堅企業に向いた地域金融機関となっている。
横浜銀行
神奈川県を地盤とする東日本最大級の地方銀行。横浜・川崎を中心とした京浜工業地帯の製造業や物流企業との取引実績が豊富で、中小企業融資から中堅企業向け大型融資まで対応幅が広い。横浜フィナンシャルグループ(2025年10月にコンコルディア・フィナンシャルグループから商号変更)の傘下として安定した財務基盤を持ち、長期の設備資金にも対応できる。IT・スタートアップ支援にも力を入れており、横浜市内の創業支援施設と連携した創業融資の実績もある。審査は財務内容だけでなく事業計画の妥当性も重視する傾向があるため、しっかりした資金計画を準備して臨むことが望ましい。
きらぼし銀行
2018年にきらぼしグループとして再編された東京地盤の地方銀行。東京都内全域に店舗網を持ち、都内中小企業・小規模事業者の事業資金融資に強い。IT・サービス業など東京に集積する業種への対応実績が豊富で、創業期から成長期にかけての資金調達ニーズにも応えている。審査は比較的柔軟で、事業計画と成長性を重視する傾向がある。東京都の制度融資を積極的に活用した中小企業融資にも対応しており、都の保証制度と組み合わせることで借入ハードルを下げやすい。都内に拠点を持つスタートアップや小規模法人の最初の取引銀行として検討に値する選択肢。
埼玉りそな銀行
埼玉県を主要地盤とするりそなグループの地方銀行で、県内中小企業・中堅企業の法人融資に幅広く対応する。埼玉県内に密な店舗網を持ち、製造業・建設業・サービス業など多様な業種の事業資金融資を手がける。りそなグループとしての体制を活かした審査の迅速化が図られており、比較的スピーディな融資対応が期待できる。創業融資や成長支援融資にも積極的で、埼玉県の制度融資や信用保証との組み合わせによる資金調達もサポート。IT化支援や経営改善支援など、融資以外のサポートも充実しており、金融機関として経営全般に関わる長期パートナーシップを重視する姿勢が特徴。
多摩信用金庫
東京都多摩地区を中心に活動する信用金庫で、多摩エリアの中小企業・小規模事業者への法人融資を地域密着で支援している。立川・八王子・町田・三鷹など多摩エリアに集積する製造業・IT企業・サービス業への融資実績が豊富。都内でも比較的中小企業が多い多摩エリアの産業特性を熟知しており、事業実態に即した審査・融資対応が期待できる。IT・テック系スタートアップの創業支援にも取り組んでおり、多摩エリアの大学・研究機関との産学連携企業への支援実績もある。東京都や多摩市・八王子市などの制度融資・信用保証との連携も積極的で、担保不足の創業期企業でも事業資金の相談が可能な体制を整えている。
水戸信用金庫
水戸信用金庫は茨城県水戸市を拠点とする信用金庫(1945年創立・66店舗)で、茨城県内の市町村と東茨城郡・那珂郡・久慈郡・稲敷郡・北相馬郡の5郡、千葉県北西部の柏市・我孫子市・流山市・印西市・白井市と成田市・香取市の各一部および神崎町・栄町、福島県いわき市を営業エリアとし、中小企業・小規模事業者への法人融資に取り組んでいます。茨城県は農業・製造業・IT産業など多様な産業が集積しており、各業種の事業資金・設備資金ニーズに幅広く対応しています。地域密着の審査により、事業実績が浅い中小企業でも事業計画書の内容を丁寧に評価する姿勢があります。水戸市内や周辺エリアで法人融資を検討している中小企業にとって、メガバンクでは難しいケースでも相談できる選択肢として位置づけられます。創業支援ローン(最大3,500万円以内・創業後5年未満)から事業拡大まで、各フェーズに応じた資金調達のサポートが受けられます。